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百話 植物の化物

「..........」


 急激に成長を続ける、目の前の植物。元の原型など一切残っておらず、人間だったなんて信じられない。


「っ!やっぱこっちを狙ってくる植物はあるか。にしても、一体何になるんだ」


 儂の方にちょくちょく伸びてくる植物を剣で対応しつつ、大元に目を向ける。


 いろんな種類の茎?根?がよくわからんが絡み合ってうねうね動いて成長してやがる。害はあるし、駆除は必須だろうが。


「体がかなり重くなってきやがった、そろそろ魔力の限界か」


 これからもうひと頑張りが必要なこの状況で体の重みが深刻になってきた。


「こりゃ早々にケリつけないと.....ん?」


 剣を握る手に一層焦りが増してきたその時だった、儂はあることに気づく。


「体が軽く.....魔力が吸われなくなって、いや流れてきてる?」


 ここにきて突然、魔力が吸われていた異常が解消された。何が起きたのかはわからないが脱力感が一気になくなり、驚くほど体が軽くなっている。


「なんかよくわからんが、これならあと一戦全然いけるぞ!」


 儂はさっきの脱力感からの解放の反動もあり、意気揚々と剣を構える。


 さっさとコイツを倒して娘たちの安否を確認してーーー


「んなっ⁉︎」


 そいつを見て儂はまた驚くこととなる。偶然かその植物の化物は人型になっていたのだ、植物が絡み合ってはいるが全体で見ると丸みのあるまるで胴のような部分から腕っぽいのと足っぽいのが二つずつ突き出ている。


 流石に頭はないっぽいが首っぽい場所はちゃんとあるな、気味悪りぃ。


「..........」


 流石に発語能力はないため、声は聞こえない。ただ静かにこちらに片方の腕っぽい方をこちらに向けてくる、まるで意思があるかのようにそれは儂の方を指している。その動きは儂らが腕を上げる動作に似ていた。


 アキラの奴、本当は意思が残ってるのか?いや、流石に有り得んか。


「主人の仇討ちでもするつもりか?」


 植物に意思などないはず、しかしそんな考えとは裏腹に儂はそんな言葉が口をついて出ていた。


「不気味な奴だ、何かする前に仕留めるか」


 何をしてくるのか皆目見当もつかない、目の前の化物。しかし、だからこそ悠長に観察をするのは危険。儂はすぐに対処するため、剣を構えて地を蹴る。


「..........!」


 儂に反応したか、こちらに向いていた腕から大量のツタかなんかの植物が伸びてくる。


 やることは似たような感じか、ならやれるはずだ!


「全部刻んで終わらせてやる」


 アキラと同じような攻撃、同じ要領で斬り進む。


「こんなもんか?そんな攻撃で儂を阻めると思ったら.....ん?」


 化物にたどり着くより早く、攻撃が止んだ。それに気を取られていると、もう片方の腕をこちらに向けてきた。そして、その先から何かが。


 .....つぼみか?


「ーーーんなっ⁉︎」


 腕の先にくっついていたのはつぼみらしきもの、花でも咲かすのかと思ったのも束の間、つぼみのまま儂の方に向かって飛んできた。


「流石に予想外だ、それは!間に合ったが離されたな」


 防御はできた、しかし驚きも相まってその場で踏みとどまることは出来なかった。故に対面時と同じくらい後退させられてしまった。


「..........」


「それ繋がってんのかよ、いや植物としてはあってんだろうけどよ」


 儂にぶつけてきたつぼみは茎の部分が繋がっていたようで、化物の方に戻っていく。


 ここにきて見たことないのがきたな、なんでアキラのやつは使わなかったのか知らんがこれはもうちょっと気を引き締めた方が良いな。植物との戦闘経験を少しは積んどくべきだったかもしれん。


「どんどん見せてみろ、全部潰してやるさ」


 答えは返ってこないのはわかっていても、何故かコイツには話しかけてしまう。


「........っ!」


 その化物は両の腕を絡み合わせ、一つの大きな筒を形成する。これまた違う動作。


 今度はなんだ、嫌な予感がする。


「ぬおっ⁉︎まじかそれ、やっぱ大砲かーーーっ!」


 嫌な予感は的中、まさかあるとは思わなかったが筒からでかい球体が射出された。その動作はまるで大砲。


「ぬぅぅぅぅらぁ!!」


 発射された砲弾ではない何かを儂は剣で弾いた。


 つぅ.....おっもい一撃だな、腕が震えてる。


「うぐ、うぅ!これ以上はまずいな、たかが植物が大砲の真似事をしてくるとは予想外だった.....ん?」


 腕を押さえ、今更ながら焦りを感じてきたその時だった。視線を戻したその先に何故か萎れたようにクタッと倒れた植物の姿が。


 ほう、さては今のが本気の一撃か。反動で動けないみたいだな、この状況を逃す手はないな。


「聞こえているかは分からんが楽しかったぞ、アキラよ。今度こそ、終わりだ」


 儂は動けない様子の植物に近づき、一思いに一刀両断してやった。その際、一切の抵抗はなかった。

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