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第7話 静香の親睦会

夕方の公園。紺はベンチに腰掛け、静かに空を見上げていた。

周囲には近所の動物たちが集まっている。

犬、猫、カラス、スズメ、タヌキ、時々飼いウサギまで。

定例報告会である。

彼らは紺に向かって口々に報告する。

「紺様、静香の家、最近何か変です」

「番犬ロボが警戒モードで怖いです」

「ひどい目に合わされた仲間もいます」

「敷地内はロボが巡回してて近づけない」

「空の上で変な気配もします」

紺はほぼ無表情で聞いていた。

「ふむ、どうしたものか……そういうこともあるじゃろう。

じゃがな動物たちよ、それは人間界のこと、わしはあまり興味がないのじゃが……

まあ、それとなく探ってみることにするかの。」

動物たちはざわつくが、紺は淡々としている。


昼休み。静香がぼくたちに声をかける。

「今日、うちに来てほしい。お母さんが会いたいって。」


美咲は気乗りしない。

「えぇ~……どうしよっかなぁ。でもあんたが行くなら行ってもいいけど。」


紺は静かに言う。

「静香殿の家に異変ありと聞いたゆえ、わしも参るとしよう。

美咲お姉さまが心配でもあるしの。」


ぼくは普通に「行くよ」と答える。


作家先生は静香の家の方向を見て、妙な気配を感じ取る。

「……今日は何やら危険な匂いがする。張り込みをするか。」

彼は自称作家だが、妙に鋭い勘を持っている。


静香の家の玄関が開き家族一同が出迎える

「我が家へようこそ」

静香の父は礼儀正しいが冷たい。

ぼくを“観測対象”のように見つめる。


「いらっしゃい。静香のお友達のみなさん。」

静香の母は明るく歓迎する。


「来てくれて嬉しいわ!静香、ずっと楽しみにしてたのよ!」

静香は少し照れながら「ありがとう」と言う。


美咲は珍しい家具に目を奪われワクワクしている。

ぼくは普通。

紺は無言。


紺は玄関に入らず、外に残る。

番犬ロボが敷地内を巡回している。

ロボ「警戒モード。不審者判定。」

紺「ほう……わしを不審者と申すか。

ならば、少し相手をしてやろうかの。」

ロボ「……対決開始。」

そして始まる意味不明な儀式。

● 相撲を取る

ロボが四股を踏む。

紺も四股を踏む。

互角。

● 踊りのような不可思議な動作

ロボが奇妙なステップを踏む。

紺も同じステップを踏む。

完全に同期。

● 最後に揃って遠吠え

ロボ「ウォォォォン」

紺「ウォォォォン……じゃ」

静香の家の外で、人間とロボが揃って遠吠えする。


張り込み中の作家先生は双眼鏡を落としそうになる。

「私は今、何を見せられているのだろうか。」

「……何だこれは。儀式……?相撲……?踊り……?遠吠え……?まったくわけが分からない……。」


儀式が終わると紺は静かに家に入る。

番犬ロボは職務を放棄し、紺の後ろをついてくる。

紺が席に座ると、ロボはその横に鎮座する。

「……紺様の護衛モードに移行。」

美咲は気づかない。

ぼくは「またか……」と思う。

静香は困惑。


父の反応──「……(これは本当に問題だ)」

ロボが紺の横に鎮座しているのを見て、

静香の父は表情を変えず、母の耳元にだけ小声で言う。

「……これは本当に問題だ。」

母は主人公一派を見て安心したように微笑む。

「いいじゃない。紺ちゃんも美咲ちゃんも、静香のお友達なんだから。」

父は言葉を失う。


静香は父の言葉に気づくが、

母の笑顔を見て少し安心し、

ぼくたちの方を見てふっと笑う。

「……来てくれて、本当に良かった。」


美咲は家具を褒めていた流れのまま、静香に笑いかける。

「静香、いい家に住んでいるのね。見たことない家具ばかりだし。」

静香は嬉しそうに笑う。


ロボは美咲の方へ首を向け、

腰を左右に大きく揺らし始める。

「……美咲様の発言を受信。崇拝度、上昇。尻尾振りモード、強化します。」

静香「さっきより尻尾振ってる……!」


紺はゆっくりロボを見て、

ほんの少しだけ目を細める。

ロボは即座に尻尾振りを停止し、姿勢を正す。

「……紺様の視線を受信。警戒。姿勢を正します。」


ロボは紺の横で鎮座したまま震え始める。

「……美咲様を視認したい欲求を検知。しかし紺様の視線を優先。忠誠度の葛藤が発生しています……。」

静香「葛藤してる……!?ロボって葛藤する機能あったっけ……?」

美咲は気づかず家具を褒めている。


美咲がロボを褒める。

美咲「あら、かわいいじゃない!」

紺(急に妹モード)

「お、お姉さま……!あまり甘やかすと……ロボが調子に乗りまする……

でも……お姉さまが褒めるなら……よいのでございます……」

ロボ(昇天)

「……紺様の柔らかい声を受信。忠誠度、最大値……!」

(紺、完全に美咲に弱い……)

静香(紺ちゃん……声が……)

父(意味が分からない……)

かわいい……


「今日はみんなありがとう」

父は表向きは友好的に礼を述べた、

母は安心した笑顔を浮かべ、

静香は主人公一派を見て嬉しそうにし、

美咲は家具を褒め、

紺は美咲だけ妹口調になり、

ロボは忠誠の葛藤で震え、

作家先生は意味不明な儀式を思い出して自問自答を繰り返す。

この時の静香の家は、

一触即発のピンチでありながら、

同時にただの“日常の団らん”でもあった。


親睦会が終わりぼくたちは静香の家を後にした。

紺は帰り道にぼくの家へ立ち寄って

番犬ロボを懐柔して美咲信者に仕立てあげたこと

今日の親睦会の表と裏

番犬ロボから得た内部事情などを告げて帰っていった。


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