第27話 出たがり属性開花
「……美咲かい・かん」
「お電話お待ちしてまーす!」
三姉妹の収録映像が流れる。
「まあ、かわいらしいこと!」
「美咲ちゃんは、またおもしろいことを始めたようね」
静香と母マーガレットは、リビングで映像を見ていた。
「強硬派の勢いが加速……」静香がつぶやく。
「そうでしょうね。でもこのビジネスが軌道に乗れば、無茶なことはしないはずよ」
マーガレットは画面を見ながら、ふと思いついたように言った。
「そうだ静香、あなたはこの制作ディレクターとは顔見知りなのよね?」
「わりと……」
「私たちもこれに出演させてもらいましょう」
「お母さま?」
「だって楽しそうじゃない。私も出たいわ」
静香は無表情ながら、内心は小躍りしたいほど喜んでいた。
ディレクターに出演交渉することになった。
◆数日後、第2スタジオ
三姉妹は第2スタジオに集合していた。
「今日はここで収録ということはアウトドア関連ね」
パチッ!
背景が夏のビーチに切り替わった。
「海だね」
「お?」
「あっちの方に誰かいるね、行ってみようよ」
「うん。ちょっと待った。あたしが行ったらまた壁にドンでしょ。わかってるんだから……」
「二度も同じ手は通用しないわよ、まったく。通販と関係ないじゃないの」
「通用しないのじゃ……」
「え?でも今回は違うみたいだよ。行ってみよ」
三人が歩いていくと――
「あれ?静香とお母さんじゃないの」
そこには、水着にビーチサンダル、パーカー姿の親子がいた。
マーガレットがドローンを操作している。
「ドローン……」静香がぽつり
「うん見ればわかるよ。でも水面に近すぎない?落ちちゃうよ」
ポチャ。
ドローンは水に沈んでしまった。
「ほらぁ、落ちちゃった」
「でも安心」
マーガレットが胸を張る。
「そうなんです!このドローン『ミエールくん』は水陸両用なんです!」
静香がタブレットのモニターを見せる。
「ウォーターレジスト100%機能により水の中でも安心設計、さらに水の中でも撮影できちゃうんです」
「うわぁ魚だ!アジの群れが写ってる」
「美咲ちゃんどうですか?」
「これはあたしもほしい!」
メアリが進行役として声を張る。
「美咲ちゃんもお気に入りのミエールくん。今回は携帯に便利なミエールくんミニを付けまして――1万円でのご奉仕です!」
「いっ1万円!中学生にはちょっと高いけれど、お小遣いを貯めて買うのもありだね」
「今すぐお電話を!」
「はいカット!」
◆収録後
「お疲れ様でしたあ」
静香とマーガレットが三姉妹に近づいてきた。
「静香たちも出ることにしたの?」美咲が聞く。
「ときどき、ディレクターに頼んだ」静香が答える。
マーガレットは満面の笑み。
「美咲ちゃん、これからよろしくね」
美咲は親子を見てぽつり。
「家族総出でやるなんて相当気合入ってるね!
(ていうか、お母さん化粧が濃いなぁ)」
◆
数日後――
強硬ビルの通販サイトに新商品情報が掲載された。
『ミエールくんミニ(特別版)
非売品グラビア写真集
“マーガレット・オン・ザ・ビーチ”付き』
美咲
「ええええ!? なんでグラビア付いてるの!?」
紺
「出たがりが加速しておるのじゃ……」
メアリ
「これ……通販番組の範囲を超えてるよね……?」
静香は顔を覆った。
「……やめてほしい……」




