表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
20/33

第20話 かつぐ神輿はぱーがいい

ファミレスのテーブル席に、島の主要メンバーが勢ぞろいしていた。

先日放送された美咲のテレビ出演――釣り番組としては成立していない内容だったが、

美咲のカルト的なカリスマ性が視聴者の心をつかみ、大反響を呼んでいた。


「お姉さまなら当然の結果なのじゃ」

 紺は胸を張っている。


「いや〜、あたしもびっくりしたよ。

 出演料、10万円ももらっちゃった!」


美咲はテーブルに身を乗り出し、目を輝かせた。


「紺、あとで釣具屋に行くわよ。

 これで新しいリール買おうっと。

 リール買ってもおつりがくるだろうし、竿も買っちゃおうかな」


「お姉さまの買い物に付き合えるなんて……光栄なのじゃ!」


紺は完全に浮かれていた。

美咲はそのまま紺を連れて、釣具屋へ向かっていった。



美咲と紺が去ったあと、テーブルには静香、メアリ、ろぼみ、そしてぼくが残った。


「さて……島の運営について」

 静香がタブレットを開く。


「コミュニティが拡大したことで、維持費が増えている。

 動物勢力の食費、設備の老朽化、外界との通信費……」


静香は淡々と数字を羅列した。


「ほう……そんなにかかってるのか」

ぼくは天井を見て応えた。


「みんなでアルバイトするっていうのはどうかな?」

ぼくが提案すると、メアリがぱっと顔を上げた。


「わたし、アルバイトやってみたい!」


しかし静香は首を横に振る。


「わたしたちには純粋な人間が少ない。外界での労働は困難」


「……まあ、そうだよな」

 ぼくは肩を落とした。



後日、静香の端末が通知音を鳴らした。


「美咲に、テレビ局から新しいオファーが来ている。食レポ番組への出演依頼」


「食レポ? 釣りと関係ないじゃん」

 美咲は乗り気ではなかった。


しかしメアリが思い出したように言う。


「そういえば……その店の近くで魚影を見たって、ピーターが言ってたよ」


「えっ、ほんと?」

 美咲の目が一瞬で変わる。


「釣り船に乗せてもらえるなら……OKしちゃおっかなあ」


完全に釣り目的だった。


「でも食レポって何すればいいの?

 食べて『うまっ!』って言えばいいのかな?」


「比喩表現が必要」

静香が即答する。


「お姉さまなら大丈夫じゃ!」

紺がどこからともなく戻ってきて胸を張った。



美咲のタレント活動を島の資金源にする――

その案に、全員が賛同した。


「わたし、働くってどういうことか知りたいの。

 だから……マネージャーやってみたい!」

メアリが手を挙げる。


「財務は私が担当したい」

静香が淡々と告げる。


「じゃあぼくは……裏方の総責任者ってことで」

ぼくは苦笑しながら引き受けた。


「わしは広報じゃ! 家臣団も総動員するのじゃ!」

紺はやる気満々だ。



翌日。近所の公園

静香は母にこの計画を報告した。


「お母さんに話した。応援してくれるって」


穏健派は美咲の活動に賛同し、島の新しい体制を支援することになった。


ぼくは言った。


「みんなで美咲のタレント活動を応援する……それで行こう」


メアリは感動したように言う。


「美咲ちゃん……すごい……」


ぼくは照れ隠しのつもりで言った。


「かつぐ神輿はぱーがいい……」


「ちょっとあんた!

 パーいいって何それ、どういう意味よ?」

 美咲がむっとする。


「どういう意味なのじゃ……!」

 紺も眉根を上げる。


ぼくは笑って答えた。


「つまりそれは……美咲は島の宝だということだよ」


美咲は一瞬だけ照れたように見えた。


「……もう、そういうこと言うんだから。

 そんなの……照れるじゃない……」


美咲がデレて一件落着。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ