第16話 アジに奔走する少女と一掃作戦
夕方の公園。
美咲とメアリが並んで立ち、池に向かってキャストの練習をしていた。
周囲には動物たちがずらりと並び、真剣な表情で見守っている。
美咲
「こんな感じでキャストするの。ほら、こうやって振って……」
メアリ
「こう?」
美咲
「うん……いいよいいよ。でね、魚信があったら合わせて、バーッと巻く」
メアリ
「合わせて、バーッと?」
美咲
「そうそう。バーッと、でも勢いありすぎるとバレちゃうから……
バーッとサッと、かな」
メアリ
「バーッとサッと……」
動物たち
(真剣にうなずく)
美咲
「そうそう、バーッとサッと。覚えておいてね」
メアリ
「うん!」
動物たち
(さらに真剣にうなずく)
■
日曜日のファミレス。ぼくと美咲は向かい合って食事をしていた。
「メアリもここでの生活に馴れたようだな」
美咲
「うん。毎日練習してるからね」
「ほう」
美咲
「すじはいいよ。飲み込み早いし」
ぼく
「そりゃてーしたもんだ」
美咲
「また!しゃべり方が変!」
ぼく
「おっとすまねえ、江戸っ子が出ちまったな」
美咲
「あんた!いつ江戸っ子だったっていうの。全然違うじゃないの」
美咲は呆れた様子でスマートフォンをいじり始めた。
そこへ、作家先生が現れた。
作家先生
「やあ」
ぼく
「これはこれは」
美咲
「あら先生、こんにちは」
美咲は軽く挨拶すると、再びスマートフォンに視線を戻した。
「おっと!たいへんたいへん!」
ぼく
「どうした?」
美咲
「メアリがピーターから聞いたんだって!南の入り江にアジの群れがいるって!」
「アジか」
美咲
「アジなら……サビキよね……あたしもう行くから!」
「どこに?」
美咲
「釣り具屋よ!紺も呼ばないと!
じゃあ先生またね!」
美咲は脱兎のごとく立ち去り、ぼくと作家先生だけが取り残された。
作家先生は、静かに口を開いた。
作家先生
「……実はね。メアリを追って、過激派がこの町に潜入しているらしい」
ぼく
「……、穏やかじゃないな」
作家先生
「宇宙人勢力と徹底抗戦を企む危険な連中だ。警察も政府も警戒している」
■
その夜。ぼくは静香に連絡を入れ、状況を伝えた。
静香
「過激派の潜入は観測済み。宇宙人勢力が隠密裏に排除作戦を開始している」
ぼく
「任せておいて問題ないのか?」
静香
「合理的判断」
静香は淡々と端末を操作し、宇宙人勢力の作戦進行をモニターしていた。
静香
「……作戦成功。過激派、排除完了」
美咲
『よーし!今から釣ります!紺もメアリも準備できてる!?』
彼女の声は高らかに鳴り響いた。




