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【タイトル変更】世界が分断されちゃって日本の生存確率低下中、西日本は俺達に任せとけ  作者: かぶんす


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八話 崩れ行く秩序ーーそして決断

春分の翌日。

朝の空気は妙に重く、街全体が“昨日とは違う世界”になったことを告げていた。


テレビをつけると、どの局も緊急特番を続けている。

だが、昨日より明らかに“混乱の色”が濃い。


《米軍横田基地で、武器庫が荒らされたとの情報が入っています》

《現場はほぼ無人で、監視システムも一部停止していた模様です》

《複数のアウトロー集団が武器を持ち出した可能性が高く……》


(……最悪だ)


昨日の“所属転送”で、基地の多くの米兵がアメリカ本土へ強制転移した。

残されたのは、最低限の日本人職員だけ。


そこに目を付けた連中がいた。


《銃器を持った集団が、都内で車両を強奪したとの通報が相次いでいます》

《警察は対応に追われていますが……黒い渦の封鎖で人員が不足しており……》


(警察も自衛隊も、渦の対応で手一杯……)


昨日の時点で、東京だけで三十を超えていた渦は、

一夜明けると“六十”を超えていた。


封鎖など、もはや不可能だ。



SNSでは、渦に入る動画が次々と投稿されていた。


《加護ゲットした!》

《筋力強化(中)出た!マジで身体が軽い!》

《渦の中、マジでダンジョン。敵は狼だけじゃない》

《仲間がやられた……加護なしで入るのは無理だ》


(……加護持ちが増えてる)


テレビでも、専門家が困惑した表情で語っていた。


《渦に入ることで得られる“加護”は、身体能力の向上だけでなく、

 一部では“火を出す”“物を浮かせる”などの報告も……》


(もう、世界が完全に変わってしまった)


ベランダに出た。東の陸橋は昨日と変わらず渦巻いている。

遠くでブレーキ音と衝突音が聞こえた。


(まさか、また渦ができたのか?)


外から悲鳴が聞こえた。



「逃げろ!!」


「うわあああああ!!」


玄関に走りに飛び出す。


団地やマンションの間から見える小学校の校庭に黒い渦が発生していた。黒い狼のような影が走り回っている。


(渦が二つも近くに発生するとは)


昨日テレビで見たものと同じだ。しかし、校庭にできた渦は陸橋の渦と違いかなり大きく感じる。

だが、今度は“現実の街”に出てきている。


(渦から……漏れたのか!?渦が大きいほど外にモンスターが出てきやすい可能性もある)


狼は見えなくなったが悲鳴や避難を呼びかける声が聞こえる。


「こっちに来てるよな」玄関から見える交差点に狼の姿が見えた。


(大きすぎる、大型犬どこじゃない。こんなのが渦の中にいるのか)


狼が車のボンネットに飛び乗り、爪で引き裂いた。

悲鳴を上げながら逃げる人々。

その中に、子どもを抱えた母親が転んだ。


「やめて……来ないで……!」


狼が飛びかかる。


(まずい……!)


だが、その瞬間、別の男が飛び出した。

昨日の大学生と同じように、身体能力が異常に高い。


「うおおおおお!!」


男は体当たりするように突進して鉄筋を突き刺した。

狼は光になって消え、地面に“肉の塊”が落ちた。


「加護:筋力強化(中)……マジで強ぇ……!」


男は息を荒げながら笑った。


(……加護持ちが、一般人を守ってる)


だが同時に、理解した。


(加護がなければ……一般人は、ただの餌だ)


胸の奥が冷たくなる。



テレビでは、さらに悪いニュースが流れていた。


《大阪・名古屋・福岡でも、渦から出たモンスターによる被害が確認されています》

《警察は対応しきれず、自衛隊も渦の封鎖で手が回らない状況です》

《政府は“加護持ちの協力を求める可能性”に言及しました》


(加護持ちが……治安維持に使われる?

 そんなの、もう国家じゃない)


街では、加護を得るために渦へ突入する者が増えていた。

中には、武器を持ったアウトロー集団もいる。


(このままじゃ……日本は崩壊する)



テレビが緊急速報を流した。


《速報:千葉県で“渦の暴走”が確認されました》

《渦の大きさが急激に拡大し、周囲の建物を飲み込み始めています》

《専門家は“渦の成長”の可能性を指摘……》


(渦が……成長する?)


映像には、ビルの壁が黒い霧に触れた瞬間、

“紙のように吸い込まれていく”様子が映っていた。


《周辺住民は避難を開始していますが、渦の拡大速度が速く……》


(もう、誰にも止められない……)


胸が締めつけられる。



SNSでは、別の動画が拡散されていた。


《渋谷で加護持ち同士の喧嘩勃発》

《接触爆破 vs 気圧変動》

《一般人巻き込まれてるぞ!》


動画には、二人の加護持ちが路上で能力をぶつけ合う様子が映っていた。

見た目は地味だが結果が危ない、接触爆破が石を投げると何かに接触すれば小規模な爆発が起きている。気圧変動は気圧を操作することで風を起こして直撃を避けている。


(……もう、力を持った者が暴れ始めている)


虚実看破の女が言っていた通りだ。


テレビを消し、深く息を吐いた。


(俺は……何をしてるんだ)


自分は“運命入力”という、他の誰も持っていない権能を持っている。

だが、怖くて使えずにいた。


(でも……このままじゃ誰も守れない)


視界の端で、Fate Enter が揺らめく。


【Fate Enter:入力待機中】

【対象:任意】

【効果:運命の一部を書き換える】


(俺は……俺自身を、強化できるのか?)


試したことはない。

だが、対象は“任意”。

自分自身を選べない理由はない。


外では、また悲鳴が上がった。


「誰か助けて!!」


震えながら、Fate Enter のウィンドウを見つめた。


(怖い……でも……)


胸の奥で、“カチリ”と音がした。


(正義感じゃない、俺は俺のやりたいようにやらせてもらう)


【対象:宮本孝治】

【入力:モンスターに負けない力を】


【実行しますか:Y/N】 Yを選択する。


◆宮本孝治に加護“身体強化(極)”が付与されました。

ウィンドウが強く光った。


(これが……俺の運命入力……!)


体の奥から、熱が湧き上がる。全能感か体を突き抜けた。

筋肉が軽くなり、視界が鮮明になる。


(……いける)



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