表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【タイトル変更】世界が分断されちゃって日本の生存確率低下中、西日本は俺達に任せとけ  作者: かぶんす


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

31/38

三十話 東日本停電 ――立ち上がる大阪

鹿児島市内のダンジョンを攻略し、地上へ出たのは午前11時前。

空は晴れ、観光客の姿もまばらに見える。

だが、その穏やかな景色とは裏腹に、空気がどこかざわついていた。


「……なんか、変じゃない?」

美佳が周囲を見回す。


「うん。人がスマホ見ながら騒いでる」

美穂が眉をひそめた。


孝治のスマホにも、通知が一気に流れ込んできた。


【速報】東日本で大規模停電発生

 東京23区を含む広範囲で電力供給が停止


「……停電か」

孝治が低く呟く。


佐那がスマホを操作しながら言う。


「テレビ局やラジオ局は非常用電源で放送続けてるみたい。

 でも、家庭のテレビはつかない。情報はスマホかラジオ頼り……」


「スマホも、充電切れたら終わりだよね」

美穂が不安げに言う。


「東日本は人口が多いから、影響も大きいはず」

玲子が冷静に分析した。


周囲では、観光客や地元の人たちが口々に騒いでいた。


「東京の電車、全部止まったらしいぞ!」

「信号も一部消えてるって!」

「病院は? 大丈夫なんか?」

「スマホの充電どうしよう……」


日常が音を立てて崩れていく気配が、鹿児島の空気にまで伝わってきていた。



孝治たちは車に戻り、エンジンをかけた。

カーナビのニュースが自動で流れ始める。


『東日本の電力網が不安定化。

 原因は“周波数の違いによる連系線の負荷集中”とみられる』


『政府は“復旧の見通しは未定”と発表』


『SNSでは混乱が拡大。

 “情報が錯綜している”との声も』


「……政府、完全に後手だな」

孝治が苦い顔をする。


「東と西でヘルツが違うから、電力融通が難しいんだよね」

佐那が補足する。


「大阪府知事が言ってた通りだ……

 “まず西日本を守るべき”って」

美佳が呟く。


玲子は腕を組み、静かに言った。


「東日本の停電は、これからもっと広範囲に影響が出る。

 私たちが動ける範囲は限られてるけど……

 西日本を守るために、急がないと」


孝治は深く頷いた。


「よし。

 日が暮れるまでは、鹿児島のダンジョンを回る。

 加護を集めて、知事のところへ向かうぞ」



車を走らせると、街のあちこちで人々がスマホを見ながら立ち止まっていた。


「東京の友達からLINE来た!

 “エレベーター閉じ込められた人が続出してる”って!」


「うちの親、関東なんだけど……

 電話つながらない……」


「停電で冷蔵庫止まったらどうすんのよ!」


「コンビニ、モバイルバッテリー売り切れてるって!」


鹿児島は停電していない。

だが、遠く離れた東日本の混乱が、まるで津波のように全国へ広がっていた。


美穂が不安げに言う。


「……私たち、本当に間に合うのかな」


孝治は前を見据えたまま答えた。


「間に合わせる。

 そのために、俺たちは加護を集めてるんだ」


佐那が微笑む。


「大丈夫。

 私たち、ここまで来れたんだから」


美佳も拳を握る。


「うん。

 西日本を守るために、やれること全部やろう」


玲子が静かに言った。


「……行きましょう。

 次のダンジョンへ」



車は鹿児島市内を抜け、次のダンジョンへ向かう。

空は青く、桜島が静かに煙を上げていた。


だが、その美しい景色とは裏腹に――

日本全体が、確実に“非常時”へと傾き始めていた。


孝治はハンドルを握りながら、心の中で呟いた。


(急がないと……

 西日本が持たなくなる)


そして、車は次のダンジョンの入り口へと到着した。


鹿児島で五つ目のダンジョンを攻略し終えた頃には、すでに日が暮れていた。

東日本の停電は拡大し、SNSでは混乱の声が止まらない。


「……状況、悪化してるね」

美佳がスマホを見ながら呟く。


「東京の地下鉄、ほぼ全線ストップ。

 帰宅難民が大量発生してるって」

美穂が眉を寄せる。


「病院の非常電源も、長くはもたないところが出てきてる」

玲子が静かに言った。


孝治は深く息を吸い、鈴木知事に連絡をとった。


「鈴木さん、宮本です。姫路・泉北・堺に液化天然ガスの貯蔵施設ありますよね。これから鹿児島出て、姫路から回ります。明日の9時ごろに姫路着くと思いますので、先方に受け入れ態勢とってもらうよう依頼していただけませんか」


『そのガスは既存の施設で使えるんか?』


「鑑定の内容では、成分的に問題ないと出てます。まずは、一基入れてみて現地で成分分析していただければ」


『わかった、折り返す』


通話を終えハンドルを握る。


「……鹿児島での加護集めは十分だ。

 今から大阪へ戻る」


佐那が頷く。


「うん。

 西日本のインフラが止まる前に、動かないと」


こうして、夜の高速道路を北へ向かって走り出した。



深夜の九州自動車道は、驚くほど静かだった。

大型トラックがまばらに走るだけで、観光客の車はほとんどいない。


「……なんか、世界が変わったみたい」

美穂が窓の外を見つめる。


「非常時って、こういう空気になるんだね」

美佳が小さく呟く。


玲子は地図アプリを見ながら言った。


「このまま行けば、明け方には本州に入れるわ。

 休憩は最低限にしましょう」


孝治はハンドルを握りながら、静かに言った。


「……急がないと。

 西日本のインフラが止まったら、東日本以上の混乱になる」


車内の空気は重く、しかし全員の意志は固かった。


午前8時 美穂に運転を代わってもらい、後部座席で仮眠をとっていた。スマホに着信が入り回らない頭でつないだ。


『宮本さん、鈴木です。昨日の件了承得ました。ガスのプラントを先にいっていただき、そのあとに電気の方へお願いします』


意識が覚醒し答える。


「わかりました。続けて堺や泉北もお願いします」


通話を終える。


午前9時前――

車はついに姫路市へ入った。



「……着いた」

佐那がほっと息をつく。


「ここまで来れば、大阪までもう少しだね」

美佳が笑う。


車をガス会社のプラントに走らせる。

着くと早速敷地に案内され、一つ目のタンクにオーブを開放し注入する。


「検査が終わるまでお待ちください」


隣接された職員用のカフェで凝り固まった体を伸ばしながら休憩する。

二十分ほどで結果を持った職員が来た。


「純度が高く、問題なく使えます。後5基ありますがいけますか?」


孝治が頷き返すと残りの5基を案内されオーブを開放する。


「鈴木府知事に連絡だけ入れておいてください。これから大阪に移動します」


言い残して敷地を出た。


美穂に運転を任せて後部座席で情報収取をしていると着信が入った。

スマホに届いた通知を見て、表情を引き締める。


【大阪府知事】

 “堺・泉北のエネルギー基地の補充作業に立ち会わせてもらう”


「……まず堺へ向かうぞ。知事が動いてる」


堺市の臨海部にあるエネルギー基地は、すでに緊迫した空気に包まれていた。

作業員たちが走り回り、警備員が周囲を固めている。


「ここが……大阪の生命線か」

美穂が呟く。


「液化天然ガス(LNG)と石油の備蓄基地。姫路もだけど、ここが止まったら、関西の電気もガスも終わりよ」

玲子が説明する。


孝治たちは受付で現場責任者連絡を取ってもらう。

所長室に案内され、知事と初めて対面した。


夜、知事の会見が行われた。

テレビやWEBメディアでも放送され、孝治が石油タンク・液化天然ガスタンクに補充を行い、知事と握手をするところまで放送されていた。


『宮本氏の協力により、姫路・堺・泉北のLNGおよび石油備蓄を、本日夕方までに“許容量いっぱい”まで補充した』


『西日本の電力・ガス供給は、当面の間安定を確保できる』


『引き続き、関西は自力で復旧を進める』


会見を見ていた美穂が言う。


「……知事、やっぱりすごいね」


「覚悟が違うわね」

玲子が頷く。


佐那は孝治を見つめた。


「孝治さん。

 私たちも、もっと動かないとね」


孝治は静かに頷いた。

面白いと思ったら評価お願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ