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【タイトル変更】世界が分断されちゃって日本の生存確率低下中、西日本は俺達に任せとけ  作者: かぶんす


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二十九話 揺れる心 ――結ばれる絆

孝治たちは朝から大分・宮崎のダンジョンを最速でめぐり、夕方には八つ目のダンジョンで加護を得た。

精神力共有の影響か、パーティー全体の動きは日に日に洗練されていく。


「今日の私たち、めっちゃ速くなかった?」

美佳が笑う。


「息が合ってきた証拠ね」

玲子が落ち着いた声で言う。


「精神力の流れも安定してるし、いい感じだよ」

佐那が頷く。


「……でも、ちょっと疲れたわ」

美穂が苦笑した。


孝治は全員の表情を見て、早めに宿を取ることを決めた。



予約したのは、空港近くの温泉旅館の“離れ”。

広い和室に専用の露天風呂までついている。


「ここ……すごいね」美穂が目を輝かせる。


「孝治さん、遠慮して一人部屋希望してたのに、結局みんなで泊まることになっちゃったね」

佐那が笑う。


「まあ……離れなら広いし、問題ないだろ」

孝治は苦笑しながら荷物を置いた。


夕食は豪華な会席料理。

地鶏の炭火焼き、黒豚しゃぶしゃぶ、きびなごの刺身。

温泉宿らしい地酒も並び、全員の頬がほんのり赤くなる。


「……こういう時間、久しぶりだな」

孝治が呟くと、


「うん。戦ってばっかりだったからね」

玲子が静かに微笑んだ。


食後、孝治は一人で露天風呂へ向かった。

湯気が立ち上る岩風呂に身を沈め、ようやく肩の力が抜ける。


(……今日はよく頑張ったな)


そう思った瞬間――


「……あれ?孝治さん?」


振り返ると、佐那、美佳、美穂、玲子の四人が立っていた。


「ちょ、ちょっと待て! なんで全員来るんだ!?」


「えっ、ここって男女別じゃなくて“貸切”って書いてたよ?」

美佳が首をかしげる。


「予約表に“空き”ってあったから……」

美穂が小声で言う。


「……つまり、貸切風呂の予約表を更新せずに入ってたのね」

玲子がため息をついた。


気まずい沈黙。


しかし、佐那がぽつりと言った。


「……もう、いいんじゃない?私たち、一緒に戦ってきたんだし」


その言葉に、他の三人も頷いた。


孝治は観念し、視線をそらしながら言った。


「……分かった。ただし、距離は保てよ」


四人の返事が後ろから聞こえた。


湯気の中、ぎこちない空気のまま、しかしどこか温かい時間が流れた。



洋室に乙部親子、和室は佐那と美穂、障子仕切った先に孝治が一人で寝ることになった。

しかし深夜――


「……孝治さん、起きてる?」佐那の声。


続いて美佳、美穂も現れた。


「ちょっと……話したくて」

「なんか、胸がざわざわして眠れなくて……」

「精神力共有のせいかも……」


三人は疲労もあるが精神力の共有による衝動で限界に近かった。

孝治は障子を開け、三人を落ち着かせるため招き入れた。


「大丈夫だ。精神力共有は、いつも以上に感情が揺さぶられる。疲れも出て寝付けないでいるんだよ」


孝治の声を聴き安心した美佳が孝治を押し倒した。


「佐那さんに孝治さんを好きなこと、こういう関係になることは相談済みです」


「泣きながら相談されちゃったから、私もほだされたわ。美佳だけじゃないけどね」


佐那が視線だけでもう一人が誰なのか示してくる。美穂と目が合う。美佳に浴衣を脱がされながら近づいてくる二人を目で追う。


「私も、美佳も叔母さんもあなたのことが好きよ。ちゃんと受け入れて」


胸の奥で、“カチリ”と音がした気がした。

【Fate Enter:第二ロック解除 対象を複数指定可能】

【Fate Enter:第三ロック解除 代償対象を複数指定可能】


(このタイミングか・・・・・・)



朝、孝治だけが早く目を覚ました。


(……なんだ、この状況)


自分の周りで四枚の浴衣が散乱し、三人が寄り添うように眠っている。

昨夜の“感情の暴走”を思い出し、頭を抱えた。


(とりあえず……風呂だ)


現実逃避するように離れの専用露天風呂へ向かう。


湯気の向こうに、先客がいた。


「……おはようございます、孝治さん」


玲子だった。頬を赤らめ、視線をそらしている。


「すみません、玲子さんが居るとは思ってなくて。出直しますね」


すぐに背を向け出ようとすると玲子に呼び止められた。


「昨日一緒に入った仲ですから、一緒に入って……」


思わず振り返る。自分が言った言葉に少し驚いたのか玲子は手で顔を覆っていた。

遠慮して、距離を開け朝の露天風呂に入る。


「夜……佐那さんが了承しているのは知っていますが、それでも美穂さんや美佳まで……」


「……さすがに聞こえますよね。普通に考えると不適切だとわかっています。でも、俺も彼女たちに好意を持っています。パーティーの仲間としても、一人の女性としても大切にしたいと思っています。精神力共有の影響もあって、玲子さんから叱責を受けるような状態になったのは申し訳ない」


玲子は湯に肩まで沈め、ぽつりと言った。


「私……夫を亡くしてから、怖かったんです。娘に頼ってしまって、つぶしてしまわないか、まだ夫を亡くしてから一週間、ずっと抑え込んでた。

 でも、昨日の三人を聞いて……あなたのことを近くに感じて、夫とは違う安心を感じる」


孝治は静かに頷いた。


「玲子さんは強いです。でも、美佳も思ってるはずだ、抑え込まず、気持ちを教えてほしいって。俺も、佐那も美穂さんも同じ気持ちだから」


玲子は少しだけ涙を浮かべ、微笑んだ。


「……ありがとう」


静かに玲子が移動してきた、隣に座り、朝の静かな湯に身を預ける。


「ふしだらと思われ……」玲子が話し出したのをキスで遮る。


「旦那さんのこと、忘れてほしいとは言いません。でも、俺は玲子さんが好きです。これからも大切にしたいと思っています」


胸の奥で“カチリ”と音がした気がした。

【Fate Enter:第四ロック解除 運命記入の情報開示】


(またこのタイミングか)


視線が絡み、そのまま肌を重ねた。



その頃、和室で目覚めた三人は――


「……孝治さんがいない」

「玲子さんもいない」

「まさか……」


不安になり、露天風呂へ向かった。


そこで聞こえてきたのは、孝治の落ち着いた声と玲子の胸に閊えた声。

夫を亡くし、娘に頼った自分を責めていた。

そんな彼女に孝治は向き合い、みんな同じ気持ちだと言っていた。


「私もあなたのことが好きです。依存するつもりはありません、仲間として、一人の女として一緒に居たいと思っています」


三人はその会話を聞き、胸が締め付けられた。


(私たち……昨日、甘えすぎたんだ)

(精神力共有に頼りすぎてた……)

(孝治さんに負担をかけてた……)


しばらくして、二人が湯から上がると――


「孝治さん!」

「昨日はごめんなさい!」

「私たち、ちゃんと話したい!」


三人が一斉に頭を下げた。


孝治は驚きつつも、優しく言った。


「……よし。

じゃあ、全員で話そう。

 これからのことを」



和室に戻り、全員で円になって座る。


・精神力共有の影響

・感情の暴走

・依存と距離感

・パーティーとしての役割

・互いを守る覚悟


涙も笑いも混じりながら、長い話し合いが続いた。


最後に玲子が言った。


「私たち、強くなりましょう。

 孝治さんに守られるだけじゃなくて”支える側”にもなれるように」


全員が頷いた。


朝日が差し込み、部屋が明るくなる。


「よし、行くか。

 次のダンジョンへ」


孝治の言葉に、全員が立ち上がった。


こうして、パーティーは新たな絆で結ばれ、旅館を後にした。


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