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【タイトル変更】世界が分断されちゃって日本の生存確率低下中、西日本は俺達に任せとけ  作者: かぶんす


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十八話 加護を集める旅――二週間の静かな狂騒

八話が途中で文章が切れていたことに今更ながらに気が付きました。

改定版投稿しました。

佐那が退職届を提出したのは、金曜の朝だった。春分から数えてまだ6日目、分断の影響が大きすぎる。


「……これで、終わりね」


会社のロッカーを閉める佐那の横顔は、どこか吹っ切れていた。

所属転送の影響で業務は縮小し、部署は事実上の解散。

有休消化に入り、彼女は完全に“自由”になった。


「宮本さん。行きましょう。

 できる限りの加護を集める」


「……ああ。準備はできてる」


二人は大阪を拠点に、近畿圏の“公表済み”あるいは“ネットで確認された”ダンジョンを巡る旅に出た。


大阪、兵庫、京都、奈良、滋賀、和歌山。

都市部から山間部まで、黒い渦は至るところにあった。


二人は車を使い、時に電車を使い、時に徒歩で山道を登り――

二週間で50個のダンジョンに入った。


ただし、どれも“攻略”はしない。

目的はただ一つ。


加護の収集と、精神力の底上げ。


三日目。

奈良県の山中にある小規模ダンジョンで、佐那が虚実看破を起動した瞬間、声を上げた。


「宮本さん……これ、見て」


「どうした?」


「加護……“複数取得できる”。

 しかも――同ランクの加護を四つ集めると、

 一つ上のランクに“昇格”するみたい」


「……マジか」


虚実看破の視界には、加護の“内部構造”のようなものが浮かんでいた。


《加護:風属性魔法(小)×4 → 風属性魔法(中)に昇格》


《身体能力向上(中)×4 → 身体能力向上(大)に昇格》


「つまり……小を集めれば中に、中を集めれば大に……

 大を四つ集めれば、極に届くってことか」


「ええ。

 だから、私たちのやってる“数を回る”方法は……正しい」


宮本は深く息を吐いた。


(……やっぱり、ゲームのシステムに近いな)



十個目のダンジョンで、巨大なオーブが落ちた。


サッカーボールほどの大きさ。

虚実看破が反応する。


「……これ、中身が“重油”よ。量は……200リットルくらい」


「200!? そんなに入るのか」


「ええ。驚かせようと黙ってたけど、やっと出たわね。

 最低ドロップは1個単位だけど、

 野菜が複数入っているときや資源系は“巨大オーブ”で落ちるみたい」


その後も――


米(30kg)


小麦粉(50kg)


鉄鉱石


アルミ



医薬品の素材


ポーション素材


次々と巨大オーブで落ちた。


「……これが均すってことか、討伐数さえ増やせれば無尽蔵の資源じゃないか」


「ええ。

 だからこそ、政府も海外も“攻略者”を欲しがるのよ」



「でもね鑑定(小)は“中身の種類”まで。量までは分からないみたい

 鑑定(中)以上がなければ、オーブガチャみたいなものよ」


「佐那の虚実看破は……やっぱり別格だな」


佐那は照れたように視線をそらした。


◆社会は、静かに壊れ始めていた

二人がダンジョン巡りを続ける間にも、

外の世界は急速に混乱していった。


●加護持ち同士の“決闘騒ぎ”

SNSには毎日のように動画が上がる。


《火球 vs 風刃》

《身体強化(中)同士の殴り合い》

《接触爆破がコンビニで暴発》


「……もう、治安が崩れ始めてる」


「加護を得た人が増えすぎたのよ。

 しかも、制御できてない」


●加護を使った強盗事件

《大阪市内で“瞬間移動(小)”を使った強盗》

《奈良で“筋力強化(中)”の男がATMを破壊》


「……これ、警察じゃ止められないな」


「ええ。

 でも、政府は“加護持ちの登録制度”を検討してるみたい」


「登録したら最後、戦力として徴用されるだろうな」


二人は顔を見合わせた。


(だからこそ、今はまだ“表に出ない”)


◆SNSは戦場になった

《加護持ちは危険!隔離しろ!》

《加護は人類の希望だろ!》

《政府は隠蔽してる!》

《鑑定(小)持ちの動画は本物だ!》

《いや全部フェイクだ!》


加護肯定派と否定派が、

毎日罵倒し合っていた。


「……これ、もう“社会の分断”よね」


「モンスターのオーバーフローは怖いけど、身近じゃなければ加護は必要ないか」


佐那はスマホを握りしめた。


「宮本さん……

 私たち、どう動くべきだと思う?」


宮本は答えた。


「――今はまだ、力を蓄える時期だ。

 表に出るのは……もっと後でいい」


佐那は静かに頷いた。


◆二週間後――二人は“別人”になっていた

生駒山から大阪の夜景を見下ろし、二人は並んで座っていた。


■宮本晃司(認識変更:宮本孝治)

適応値:260 / 999

精神力:380 / 999


取得加護


認識変更(極)

亜空間(極)

身体能力向上(極)

地図(極)

思考加速(極)

風属性魔法(大)

(※極ランクは40、大は20として計算 → 合計260)


■和田紗代(認識変更:和田佐那)

適応値:285 / 800

精神力:300 / 800


取得加護


身体強化(極)

身体能力向上(極)

思考加速(極)

道具作成(極)

亜空間(大)

水属性魔法(極)

土属性魔法(大)

風属性魔法(大)

火属性魔法(大)

火属性魔法(小)

(※極40×4=160、大20×4=80 、小5×1=5 合計=285)


「……精神力、380まで来たか」


「私も300。

 この二週間で、ずいぶん変わったわね」


「加護も揃ってきた。

 そろそろ……“次の段階”に進める」


宮本は思案を巡らせる。


「――攻略だ。オーバーフローをさせないためにも

 近畿圏の“大型ダンジョン”を、順番に潰す」


佐那は微笑んだ。


「……一緒に行くわ。

 あなたとなら、どこまでも行ける」


「ありがとう、嬉しいし心強いよ」


二週間で距離は無くなっていた、肩を寄せ合いキスをする。


「今更だが。俺は佐那が好きだ付き合ってくれるか?」


「今更だけど。言葉にしてくれるのはうれしいわ。私も孝治さんが好きよ」


3月の夜風はまだ肌寒く二人は車に戻った。


「明日から、大型ダンジョンのクリアを撮影して動画サイトにアップロードする。仮面と認識変更した名前で表に出る。ダンジョンの怖さ、資源・食料の必要性、ポーションの有用性、今後の日本がどうなるのか。クリアのインパクト使って、警鐘を鳴らそうと思う」


車の中に沈黙が流れる。


ドスッ。音とともに孝治がハンドルにもたれかかる。


「さっきまでのムード、完全にぶち壊してくれましありがとうございます。さっさと車出してくれます?」


冷たい視線にさらされ、痛む脇腹を抑えながら車を出した。


「ごめん」


これから始まる関係が垣間見えた。


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