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【タイトル変更】世界が分断されちゃって日本の生存確率低下中、西日本は俺達に任せとけ  作者: かぶんす


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十五話 殻鬼蟹との総力戦 ――“身体強化(極)”

二階層の奥――

湿った空洞に、重い足音が響いた。


ズ……ズン……ズズ……


「……来る。殻鬼蟹シェルオーガクラブ。強化個体よ」


佐那の虚実看破が震え、光が揺らぐ。


「正面一体。でかいな……」


殻鬼蟹は二メートルを超える巨体。

甲殻は黒鉄のように硬く、前脚は大人の胴体ほどの太さがある。


「正面から殴っても通らない。弱点は……探すわ」


佐那が集中する。


前に出て動けるように構える。


「じゃあ俺が注意を引く。佐那さん、頼んだ」


「……信じてる」


《共有ステータス補正:+2》


殻鬼蟹が咆哮し、突進してきた。


「来い!」


宮本は横へ跳び、爪をギリギリで避ける。

地面が抉れ、岩が砕けた。


(やば……これ直撃したらどうなるんだ)


だが、佐那の気配が背中にあるだけで、恐怖が薄れる。


《共有ステータス補正:+1》


「弱点、見えた! 腹部の“節”が薄いわ!水属性の魔法持ちよ」


「了解!」


宮本は殻鬼蟹の懐へ潜り込む。

だが――


バシャッ!


体ごと水に突っ込んだ、拳は水の膜を通り抜けたが勢いが落ちダメージにつながらない。


殻鬼蟹が巨大な爪を振り下ろす。


「宮本さん!」


佐那が叫ぶ。


宮本は反射的に佐那の方へ振り返った。


その瞬間――


《共有ステータス補正:+3》


世界がスローモーションになる。


(……守らなきゃ)


宮本は佐那を抱き寄せ、殻鬼蟹の爪を紙一重で避けた。


ドガァァン!


地面が陥没する。


佐那は宮本の胸の中で息を呑んだ。


「……っ、ありがとう……!」


「無事ならいい」抱きかかえ殻鬼蟹から距離をとる。


二人の距離が近すぎて、心臓の音が聞こえる。


《共有ステータス補正:+1》


殻鬼蟹が再び構える。今度は体を引くくし足で刺すかのように移動してくる。


(モンスターにもクールタイムあるなら水の膜はまだ使えないはず)


「あいつの弱点を見えるようにするから、火球をお願い」


殻鬼蟹が突進してくる。スライディングで足をかいくぐり足の付け根を全身のばねを使い蹴り上げる。


「佐那さん、火球!」


「――《火球》!!」


火球(小)が殻鬼蟹の腹部を焼く。

甲殻が赤熱し、わずかに柔らかくなる。


「ここ!」


体勢を整え跳び上がって、蹴りを叩き込んだ。


ドガァァァン!!


殻鬼蟹の腹部が砕け、巨体が崩れ落ちる。


光が弾けた。


「……倒した……!」


佐那が息をつく。


「佐那さんのおかげだよ」


「違うわ。あなたが……私を守ってくれた」


二人は見つめ合い、すぐにそらした。


《共有ステータス補正:+1》


だが――


奥の通路から、重低音が響いた。


ゴ……ゴゴゴ……


佐那の虚実看破が強く光る。


「……いる。二階層のボス。

 “跳猿王キングスキップエイプ”」


宮本は拳を握り直した。


「行くか」


二人はボス部屋へと歩みを進めた。



二階層の最奥。

天井は高く、岩壁には無数の爪痕が刻まれていた。


ズ……ゴッ……ズズ……


重い振動が地面を伝う。


佐那の虚実看破が強烈に光り、震えた。


「……来る。跳猿の上位種……“跳猿王キングスキップエイプ”」


宮本は拳を握り、地図(大)を展開する。


「位置は……正面奥。でかいな」


影が揺れた。


次の瞬間――

岩壁を蹴り、巨大な猿が落雷のように降りてきた。


ドガァァァン!!


「っ……!」


跳猿王は三メートル近い巨体。

筋肉は縄のように盛り上がり、腕は人間の胴ほど太い。

目は赤く光り、知性のある殺意を宿していた。


「宮本さん、気をつけて! こいつ……“考えて動く”!」


跳猿王は二人を見比べ、

――“弱い方”を狙うように佐那へ向けて跳んだ。


「佐那さん!!」


宮本は反射的に飛び込む。


《共有ステータス補正:+3》


世界がまた遅くなる。


(守る……!)


宮本は佐那を抱き寄せ、跳猿王の拳を紙一重で避けた。


ドゴォォォン!!


地面が陥没し、岩が粉砕される。


佐那は震える声で言った。


「……ありがとう。でも、こいつ……殻鬼蟹よりずっと強い」


「分かってる。けど――二人なら勝てる」


《共有ステータス補正:+1》


跳猿王が壁を蹴り、瞬間移動のような速度で迫る。


「速っ……!」


宮本は拳を構えたが――

跳猿王はフェイントを入れ、逆方向へ跳んだ。


「読んでる……!」


佐那が叫ぶ。


「宮本さん、こいつ……“あなたの動きに適応してる”!」


跳猿王は岩壁を蹴り、天井を走り、死角から襲いかかる。

その動きは、もはや獣ではなく“戦士”だった。


「佐那さん、火球は!?」


「クールタイム中! あと十秒!」


「十秒か……!」


跳猿王が迫る。

宮本は拳を構え、迎え撃つ。


ガッ!!


拳と拳がぶつかるたびに空気が震えている。拳のぶつけ合いにいらだったのか踏み込みと同時に両腕を組んで振り下ろしてきた。


ドンッ!!


(重い……でもダメージは無いな)


跳猿王の腕力は殻鬼蟹以上。

宮本の足が地面にめり込む。


その瞬間――

佐那の声が飛んだ。


「宮本さん!! 左腕の付け根出血してる、理由はわからないけどダメージが入ってるわ」


「わかった」


跳猿王を力任せに押し返し、体勢を崩させる。そのまま距離を詰め左肩に掌底を叩き込む。


ガコッ!!という音とともに跳猿王がバランスを崩して倒れる。


《ゴガーーーー》叫び声に威嚇を乗せ衝撃を浴びせてきた。その衝撃に追撃できず一瞬硬直する。


無防備な状況に跳猿王の横なぎの足がくる。



「――《火球》!!」


火球(小)が跳猿王の顔面を焼き、俺を狙った蹴りが外れる。


硬直が解けた!すかさず跳び上がり、拳を振り下ろす。


「おおおおおおおッ!!」


ドガァァァァァン!!


跳猿王の頭部が砕け、巨体が崩れ落ちる。


光が弾けた。


静寂。


佐那は膝から崩れ落ち、息をついた。


「……勝った……の?」


宮本は頷いた。


「勝ったよ。二人でな」


佐那は宮本を見上げ、微笑んだ。


「……ありがとう。あなたと組めて、本当に良かった」


《共有ステータス補正:+1》


だが――


その瞬間、宮本の視界に異変が走った。


《身体強化(極):代償発動条件――充足》


(……え?)


視界が白く染まる。


佐那が叫ぶ。


「宮本さん!? どうしたの!!」


宮本は答えようとしたが、声が出なかった。


意識が、暗闇に沈んでいった。


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