ー0009ー
夕暮れ前、豪華な馬車に魔熊と聖剣の描かれた家紋を揺られる窓から1人の青年が外を見る。
「あれは?………先日、騎士学校の廊下にいた。
庶民か?」
その呟きに老年の執事が答える。
「はい。確かにすれ違いに成られました。
傭兵だったのですね」
「そんな事は見れば分かる。
何故そのハンターが騎士学園に入れたのかが問題だろう。」
「………見ますに大型のマモノを討伐されていますから有望なハンターとして依頼を出されたのでは?」
「誇り気高き騎士の学び舎である学園がか?
話にならんな」
「申し訳ございません」
「いい、お前には難しい問題だった。
興味が失せた。
先を急がせろ!!」
ハンターギルドの職員等や2人のハンターは人力荷車で運んでいるのを追い越して行った。
☆
「普通はこういうサービスはされない。
では何故か?」
「分かんない」
「ホッホホッホ!
それは俺がハンターランクRRRだからだ!!
まぁ手数料みたいなの取られるんだけどな!ワッハッハッハハッ!!」
「笑ってないで手伝ってください。」
「あっスイマセン」
「シャルルのヤツ、怒られてやんの!」
「なんだとぉう!」
「だから遊んでんじゃねぇーーー!」
「「すいませんでした」」
アルテミスズ市に門から入りハンターギルドの裏にある解体所に到着する。
マモノ解体担当に驚かれ買取も巨体から数日掛かると告げられ2人はギルドの受付へ向かうように言われる。
解体場の入り口から表のフロアに入るとナイトは見知らぬ人物2人に声を掛けられる。
「よぉ兄弟!!
登録2日目のルーキーで大物を倒したって?」
「だれ?」
「お?
俺達を知らねぇ〜て?
その名は泣く子も驚き叫ぶ【赤烈怒2兄弟】っ〜たぁ!
俺達のことよぉ〜!!」
歌舞伎のような言い回しとポーズで格好良く決める。
「知らない」
「ガックシ!
つれねぇ〜なぁ〜兄ちゃんよぉ〜」
「アンちゃん?」
「それも知らねぇ〜の?
人間の子供の事なんかをそう呼ぶんだよ!」
「へ〜〜」
そこに買取作業や報告、取り決めで遅れていたシャルルがやって来る。
「アカフクじゃんか!
帰ってたのかよ、久し振り!
相変わらずブルーは寝てるんだな!!」
「いや寝てはいない。
静観していただけだ。」
「紛らわしい!!
サングラスで寝てるか起きてるか分かんないんだよ!
分からんっての、っつ〜て!!」
「ツッコミがクドい、長い!
減点だ」
「なんの点数だよ!」
「シャルルが。
楽しそうで………良かったよ。」
何かに納得するように腕を組んで、うんうんとナイトは少し後ろから3人を眺めていた。
体が大きく筋肉を見せつけるようにタンクトップにデカデカと赤とプリントされた服を着込み、大剣を左右、背に預けているのはモヒカンに牛獣人のアカフク。
サングラスを掛け、沢山の様々な武器を体の至る所に付けて上着から見えるTシャツには青とプリントされているのは人間種のブルー。
この2人から成るのがハンターチーム・レッドコンビである。
シャルルも交えて改めて紹介されたナイトだったが、一通り聞いてある疑問を思い付く。
「なんでレッドコンビ?」
「ん?
どした?」
「アカフクは赤いし赤色着てるし牛だし分かる。」
「アカフクさんな。」
「牛だしってなんだ!!」
「牛だしww」
「アンタは?」
「ふ、確かに俺は赤く無いな!
それは────」
その時、スピーカーでナイトが呼ばれてしまい話は中断される。
「「ナイトさん!
ナイトさん、至急、3番受付に御越し下さい。」」
「おっと稀代のルーキー、呼ばれてるぞ。
別に隠す事でも長引かせるようなネタでもないんだが又、会った時に教えると言う事で楽しみにでもしていてくれ。
じゃあな!」
「またよ、アンちゃん!!」
そう言うとレッドコンビの2人は出口に。
シャルルとナイトの2人も呼ばれている3番受付に向かった。
☆
「良かったの?」
「良いんだよ、お前が1人で倒したんだ。
それに央都でオークションになるなんて言われたら………だぜ?
ランクアップも検討されてるんだ。
お前の頑張りに唯で横入りするのもナンだろ?」
「そっか?
……でもシャルルも色々してたよ。」
「それは、お前っ!
先輩として後輩の知らない事はやるさ!
だから覚えろよ!」
「全部は……見て無かった。」
「はぁ!?
まぁ、今度は教えてやるか。
それにだ。
ナイトの装備もちゃんとしないとだしな。
でもゴハンとか奢ってくれよ!」
「うん……いいよ分かった。」
「ん、なら早速行くか!!」
「?
何処に?」
「下見に武器なんかを見とくんだよ。
値段把握してた方がいいだろ?
それに予約とか出来たら、しとんくだよ、値切りは任せとけ!
ホラっ行くぞ!!」
シャルルがジャンプして太陽に影を作ってナイトが眩しいと思っていると凄い勢いで近付いて来る馬車があった。
馬車に描かれている家紋は上を向いた女性が目を瞑り胸の前で両手を合わせている物で、それにはナイトも前日に見たばかりの記憶に新しい馬車だ。
2人の前でキキーっと車体を上げて止まるとバンッと扉が開き降りてくるのは怒り心頭の少女。
「やっと見つけた!
ちょっと聞いたわよ!!
こほん、聞きましてよ。」
「オソラだ」
「どっ、どうしましたオソラ、いえアルテミスズ嬢!」
いきなりの事に驚きながらも、お辞儀をしてオソラの執事が返事を返して来た事、数名の護衛が居た事で余計に緊張が募り冷や汗が流れ、胃がひっくり返りそうに気持ち悪くてシャルルは、もう倒れそうだった。
「どうしたっじゃ、無いでしょ!!
今日は勉強会するから迎えに行くわねって約束だったでしょ!!」
「そっ、そうだっけ?」
「うん、昨日のゴハンの時にオソラが言ってた。」
「そうなのか!
なら朝の時に言ってくれよ!」
「言ったよ。待たなくていいのって。
でも誰を待つんだよ〜ってシャルルが言ったからいいのかなって。」
「それじゃあ分かるかよ!!
ってすみません、俺の不手際です。」
「それはそう!
でも今はそんな事より、ナイトがキングドラゴンモドキを単独討伐した件よ!!」
「そうなの?」
「そうなの!」
「そうなんスか?」
「ほら巫山戯てないで乗って!
乗った乗った!!」
シャルルとナイトは理由もわからず、アルテミスズ家に連れられて行くのだった。
===赤烈怒2兄弟===
次回からは、お昼の更新になります。




