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ー0010ー

 キングドラゴンモドキ討伐の後、シャルルとナイトはオソラ・アルテミスズの家にてその経緯を話していた。


「記憶喪失ぅーーー!?」


 オソラの高い声に窓が揺れる。

外の木々で休んでいた小鳥が逃げ出す。


「うん」


 ケロッと答えるナイト。


「お前っ、なんで言うだよ!」


 気まずそうに “あ〜あ” と額に手をやるシャルルと三者三様の様子にオソラの絶叫を聞いた執事等が駆け付けるのは必然だった。

室内の警護用の騎士達とオソラとシャルルが説明する事で大きな騒ぎには成らなったが振り返ったオソラは蟀谷に筋を立てていた。


「って試験は明日なのよ!!」


「あっ、アレそっち!?」


「何よ!

どう言うつもりかしら?

どういう了見で私に隠してたのかしらね!」


 わざとらしく、お嬢様風の口調で怒りを示してシャルルに圧を掛けるオソラとボーとしているナイト。


「い、いえ、別に隠してた訳ではなくてですね。」


「はぁ、もういいわ。

こんな時間も惜しいもの。

ナイト、今から筆記試験の勉強するわよ!!」


「えっ、そんな!!

いいんスか?

ご迷惑じゃ!」


「何言ってるの?

コッチが推薦しといて0点なんて取られたら、それこそ推薦したコッチが恥かくでしょ?

まぁそれ関係が無くても今日は一緒に試験勉強しようって話だったんだし。

教える視点からも覚え方に深みとか出るじゃない?

ほらアンタもやるわよ」


「俺もかよ!」



「試験内容は筆記、実技、面接、これらをクリアして始めてエントリー出来るの。

その後にパーソナル、つまり経歴や学歴、身辺調査から交友関係なんかも精査されるわ。 まぁ貴族は甘い判定だし、過酷な実地試験はパス出来るから、ほぼ全員合格。

難しいのは一般枠、つまりアンタ達よ!!

分かってんの?

それなのに、記憶喪失?

どうするつもりだったのよ!」


「いや今からってか帰ってから知識をだな。

授けるってか、…………一夜漬けさせようかと思ってました。

すみません。」


「はぁ呆れた………ほらやるわよ!!」


「カッコいい」


「あ、ありがとう。

納得だわ。

ナイト、君からは幼さ?って言うのかな。

弟がいたらこんな感じなのかなって思うのよね」


「ありがとう」


「いや、これ褒められてね〜ぞ。」


 オソラとの勉強会はナイトの凄まじい学習能力でオソラの家庭教師から貰っていた教科書等を全て覚えていきオソラの出す問題に全問正解する程だった。

逆にシャルルは殆どが不正解でオソラからは反転してシャルルを心配される始末。

その結果、父ベアオランの一言で泊まりで勉強会が開催される事に。

シャルルは貴族りょうしゅとしては俺達を信頼してくれている証拠で嬉しくは有るのだが父親としては年頃の娘と勉強会といえどお泊りなんてって言って御開きにして欲しかったと遅まきながら願うのだった。


「まぁ、ここオソラ嬢の実家だし手を出すような怖い物知らずじゃ無いけどな」


「へ?何か言った?

無駄口をたたいてないで、ほら又此処、間違えてる!」


「へい!!」


「ふざけない!

教育に悪いからナイトが変な事、覚えないように気を付ける!」


「え〜〜〜」


「返事!」


「はい!」


 結局、一夜漬け作戦はシャルルに挿げ替える形で深夜近くまで続いた。

後は朝と試験直前で頭に知識を押し込むしか無いと半ば諦めながらオソラがシャルルに告げて自室に戻って行った程だった。


「そうだ、コレお前のブレスレット忘れてたぞ!

唯一の持ち物だろ、忘れんなよな!」


 裸で浜辺に倒れていたナイトが左右に着けていたシンプルなデザインの腕輪、それを寝る前に渡しそびれてたと、今度は忘れまいとナイトに投げ渡す。


「ありがとう?」


「おう、おやすみ」


「おやすみ」


 真夜中、アルテミスズ家の屋敷にツノを生やした狼の群れが侵入しようとしていた。

そこに怪しい光が影を月明かりを照らす。

狼達を指揮するのは人型の狼系統のマモノだった。

その気配を察知した怪しい光が高速で動き出す。

そして家の外、森では周囲の地面を血溜まりに汚し死骸が乱雑に斃れてゆく。


 人型の狼の首を掴み淡く赤い発光を血しぶきに染め、満月の明かりとで妖しく陰を落とす不気味な姿がそこにあった。


===試験勉強===


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