ー0017ー
「癒しだ!!
癒しが足りなーーーーい!」
あくる日の朝、シャルルは天井に向けて慟哭した。
「おはよう。
うるさいよ」
小鳥の鳴き声と窓から射し込む温かい朝日の気持ちのいい目覚めでは無くシャルルの叫び声で目覚めたナイトは階段からシャルルに、いつもように平坦に告げる。
「お、お前………。
悪い、じゃない!
癒しだよ、癒し!男2人、むっさ苦しい。
女っけ、女っけが女性成分が不足してるぞーーーー!
持て囃されたい!!」
「…………。」
「なんだぁ〜その虫けらでも見るような、その目は!」
「別にぃ〜?」
「かーーー疑いの目!!
よし!今日はアソコに行くぞ!!
ナイト付いて来い!」
「………ドコに?」
「へっ、決まってんだろ!
飯屋だよ」
「めしや?」
☆
シャルルがナイトを連れて訪れたのは3階建ての1階にある飲食店だった。
「フラワー………花屋?」
「ふっ、違うんだな。
確かにブルーム・フラワーって店名で実に、ややっこしいが料理屋なんだな〜」
「いらっしゃい!
あらシャルル君じゃない。
久し振りね」
シャルル達を出迎えたのは長い髪を束ねてエプロンに質素な姿でも美しさが損なわれる事のない妖艶な女性だった。
「ははは、いや〜」
「最近来てくれないから、もう忘れられたのかと思っちゃった」
「そんな訳ないじゃないッスか!
あは、あははははは」
「うわ〜〜」
「なんだこの野郎。
今日はお前から蔑みしか向けられてねぇ〜ぞ!」
「あら?
どちら様かしら?」
「あっ、コイツは俺が!
ニヒ <( ̄︶ ̄)>
助けた──」
「ナイトです。
はじめまして」
「丁寧にありがとう。
はじめまして!
私はレティシアよ」
「遮りやがって。
このレティシアさん、レティーさんはだな、このブルーム・フラワーの店長なんだぞ」
「店長って言っても雇われ店長なんだけどね」
「そ、そうだったんスか?」
「お腹すいた」
「あら、そうね!
だったらテーブルに案内するわね」
「ったく、お前は良いトコで邪魔しやがってからに」
「え?
なにか言った?」
「いえ!!
何も!」
「朝早いってのもあるから今日はシャルル君とナイト君の貸切ね!」
「はーーい!!」
「……………。」
「カウンターでいいかしら?
お話したいもんね♡
メニューはどうする?
シャルル君は、いつものでいいのよね」
「はい!」
「メニュー、見たい」
「了〜解。
今、持ってくるわね」
☆
両手で頬杖を作りシャルルを見つめるレティシアはまだ朝食のオムライスを不慣れた手付きでスプーンを握って食べているナイトに目線を向けて戻す。
「ご無沙汰なのは彼が関係あるのかしら?」
「そっ、そうなんですよ」
「教えてくれるのかしら?」
「勿論ですよ!」
「ふふっ楽しみだわ」
「あれは今日のように爽やかな太陽が照らす早朝でした。
俺は朝日が見たくて浜辺を波を追い掛けて歩いてたんです。
すると潮風に誘われるようにッ、コイツを!
倒れているナイトを見つけたんです。」
「えぇーーーー!?
海を流されてきたの??」
「そうなんですよ!
そして俺はコイツを優しい精神の元、介抱ふると────」
それから拳を強くさせ白熱して語るシャルルと彼を柔らかい瞳で眺めるレティシア。
「念願の騎士への一歩ね」
「あっありがとうございます。
へへっ!」
「あら、満腹かしら。
おかわりする?」
「うん。
おかわり欲しい」
「そう、じゃっ持ってくるわね」
「えっ?」
「え?
どうかした?」
「いえいえ」
レティシアが持ってきた、おかわりをナイトが食べ終わろうとする頃にはモテようと自身の活躍が盛られた話が終盤に差し掛かっていた。
「ナイト君、もう少し綺麗に食べられない?
クチにフラワーチップが付いてるわよ」
「………まだ練習中です。
ごめんなさい。」
「そうなの?
あ〜記憶喪失だって言ってたものね」
「うん」
「はい、だろうが!
お前はレティーさんに馴れ馴れしいんだよ!」
「フラワーチップって何?」
「あら、説明してなかったかしら。
うちってフラワーって店名に入ってて花屋と間違われる位には紛らわしいでしょ?」
「うん」
「ハイだろ」
「だからフラワーに、かこつけて花を料理に入れる事にしたの。
だからうちは全料理に自家製のフラワーチップ入りになったのね、……あっ!
安心して食べられる花びらを燻製みたいにしてるだけだから♡
丹精込めてウチで育ててる花だから、とびっきり安全だしね♡」
「へー
美味しいよ」
フラワーチップは香り付けだけに思われたがフラワーチップその物も食べれば食感が面白く、チップに依っては味も違うので食べていて楽しい。
まさに料理に花を添えていると言えた。
「でしょ?
って自分でゆうのもお店だから変なんだけど、手作りしてる身としてはやっぱり嬉しいかな」
「はい!
レティシアさんは素敵です!!
最高です!
ですです!!」
「ありがとう♡」
「…………。
うん美味しいよ」
「ふふ、おかわりしてくれてるんだもんね。
美味しくなかったらしないものね。
ナイト君はこのまま素直でいてね」
「そうだね……ん?
シャルル……。」
「あ?
あんだよ」
「ニオイが変」
「あ〜〜ん!?
あっ香水か?
良いコロンの匂いだろ!
高いんだぜぇ!」
「くさい」
「はぁ!?
あーーーーー臭いだぁ!!!
分かって無いね!
このファビュラスでフレグランスなパフュームをよ。
ねぇ〜レティーさん!」
「え?
そうね、フフフっ!
私も嫌いではないけどね!」
「ですよね〜〜〜!!
レティーさん!
……ってだから、その目をやめろってば!!
そもそもだ!
お前はいつもだな!」
「ニオイといつもと関係ないと思う」
「なにぃ!?
なんだとコノヤロウめぇ!」
シャルルとナイトの掛け合いを楽しく微笑んでいるレティシアがいる店内はもう少しだけ続いた。
☆
ドアベルが鳴り来客が入ってくる。
「レティーちゃん!
おはよう」
「いらっしゃい」
「接客中かい?
先に選んでるよ」
「ありがとう♡
サービスに何か1品付けるわ」
「長いしてすみませんレティーさん
食べ終わったで、そろそろ帰ります」
「そう、残念。
はい御会計ね」
「おりゃ」
合計金額を見たシャルルが、一瞬フリーズする。
「どうしたの?」
「いえ、なんでもありません」
(ギリギリだな。
ナイトの奴、おかわりしたからか)
「はい、ちょうどを頂きました。
次は早めに来てちょうだいね!」
「はい、モチロンですよ」
後ろ髪を引かれながらシャルルは手を振りながら振り返してくれるレティシアの店から出ても見えなくなるまで止めなかった。
「金欠なの?」
「ぐお!?
キツイ一撃だぜぇ〜。
往来で言うなよ!
そうだよ。
………うーん。
まだ朝早いしな。
今日はハンター業で稼がないとだな!」
「わかった」
「お前の倒した大物はオークションはだいぶ先みたいだからな。
家に武器、取りに戻るぞ」
「うん。
でも………。」
「はぁ?
でも、なんだよ?」
「トイレ行きたい」
「ぐえ!?
行って来い」
「うん」
近くのハンターギルドに寄りトイレを借りてハンカチで拭きながら出てきたナイトが見たのは受付嬢に言い寄っているシャルルの姿だった。
===モテたい男===




