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ー0016ー

今回も少し長いです。

 次の日、シャルルとナイトはアルテミスズ市街にある公園にいた。

シャルルの体調は、やはりというべきか全快では無く。例の暗殺者が使った毒の効果が微量に感じられていた。


 そのため試験合格を目指し挑むならばとオソラの助言で療養する事になったがシャルルが辿り着いたのが街の公園だった。

ベンチに座り流れる雲と、ゆるやかで少しぬるい風に声高々に遊ぶ子供達を眺めては疲れも癒されるような、そんな長閑な日常の一部なかに紛れている。


「あっ、つつつ。

筋肉痛だぜ…………。」


「筋肉痛?」


「そう( ー`дー´)キリッ!

名誉の勲章さって、お前にカッコつけても意味無いか。

大人になると昨日の疲れが次の日……とか数日後に襲ってくるんだよ。

遅ってな、なんつって!!」


「へーー。」


「ありがとう。

予定調和のリアクションをくれて。」


「どう、いたし……まして?

うん、でも許してもらえて良かったね」


「んあ?

あぁ、ポロポロのおっさんの事か?

まぁそうだな、ほんとに許してんのか分かんねぇけどな?

でもドマジさんに会いに行ってみるとか言ってたからな、何とかなんだろ」


「うん、たぶ…ん?」


 そんなシャルルたち2人の近くでは子供たちの1人が魔法の練習をしていた。

本来では子供の魔法発動及び習得は禁止されてる。

12年齢以下なので使用は以ての外であり公共の場では処罰の対象にさえなる。

そんな少年の発動した魔法は不安定であり発動者のコントロールを外れシャルルの顔に────〝顔面にミラクルヒット〟────当たってしまう。


「ほげぇ!」


 当然、シャルルはベンチから後ろに倒れ込む。


「わぁ」


 平坦に驚くナイトと草花を身体中にくっつけて立ち上がり顔から黒焦げた煙を立たせるシャルルは怒号を上げていた。


「コラーーーーー!!!」


「やべ、逃げろーーー」


「わぁーーー」


「だから言ったのに!!」


 蜘蛛の子を散らすように子供達が走ってゆく。


「逃げんなコラーーーーーーー!!!」


 目を血走らせ追い掛ける、頭部黒焦げシャルルと依然とベンチに座ったままのナイト。


 目こそ、赤く染まり顔が黒焦げのため表情は分からないがシャルルは怒りから……多少の怒りこそ有れど、何も怒り全開マックスから追い掛け回してはいなかった………多分。

追い掛けている理由、それは注意するためだった。

彼らの親はおらず、子供だけで公園で遊んでいる。

それはこのまちでは珍しい事では無いが子供のみで、子供が魔法の練習という本来なら死人が出てもおかしくない出来事に、そしてソレが別の誰かや役人等に知られれば少年達がどうなるか、その親・両親にどんな罰が下りるか予想に難くない。

そんな訳からくる注意をするため、シャルルは少しばかりの感情に苛まれながらも少年少女らを追い掛け捕まえようとしていた。


 しかし子供と大人、それも多数対1では誰一人として捕まえられないでいた。

それは誰一人として本気の死を覚悟した逃走でも無ければ追跡でもないからだ。

子供達は、いつの間にか楽しくなり悲鳴なりは歓喜に変わりシャルルも笑顔を、こぼしながら子供達を追い掛けてまさに鬼ごっこと化していた。


「大の大人が何を子供をぉ〜怒鳴り回しとんねん!!

ど突き回すぞ」


 現れたのは見窄らしい服装の青年だった。

髪は酷く長く、アゴにも少しのヒゲがあり汚れた衣服の様子から奴隷どれい農奴のうどと間違いそうな汚らしさと臭さだ。

しかし奴隷にしては首輪は無く。

農奴にして小汚く臭過ぎる。

その謎の出で立ちの匂いを発する男はクチに加えていた葉っぱをプッと捨てると荷物や手編みの魚籠を下ろして釣り竿を取り出して構える。


 慣れた手付きで振り被って投げられた釣り糸はシャルルをグルグル巻きにして絡め取ってゆく。

釣られたシャルルは、糸から逃げようとするが謎の男の方が上手で、ついに動けなくなり転ける。


「ぐほぉ!!」


「悪は成敗や!」


「なにが悪だ、この野郎!!」


「おっちゃん、大丈夫か?」


「誰がおっちゃんだコラ!

まだ、お兄さんだろがい!」


「また、お前は子供相手に偉そうに!」


「あぁん?

誰だテメェ!先にコレぇ外せコラァ!

テメェは俺に偉そうなんだよ!」


「なんやねん、自分?

なんでそんなケンカ腰なん?」


「あぁぁ・あ・あ・あ・ん?

この状況見て言えや!

お前が俺をこんなんにしてるからだろうが!」


「いきなり、ガッゆわれても分からんわぁ〜。

っで自分実際は何してたん?」


「は、知らずにしゃしゃり出てきたのかよ!

まず先にテメェが誰だコラ?」


「うるさいやっちゃのう。

人に名前尋ねるんなら先に言わなあかんで?」


「くっ、なんだろう。

コイツと話してたら寿命が削られていく感じがする」


「えっ!?

それヤバない?そりゃすまん。

けど子供を追い回したらアカンやろ?」


「そ、それは………オレがこのおじ……お兄さんに魔法ぶつけちゃって………うぅ、ごめんなさい!!」


「ほぉ〜そやったんや。

ほんなら謝れて偉いな!

偉いやんけ、勇気出して凄いな〜

そしたら、も〜帰り!

走らんと歩いてな!」


「う、……うん………。うぅ臭い……………。」


「友達も一緒に帰ったりぃ〜なねぇ!!」


「良いトコ持っててんじゃねぇ〜よ!

この浮浪者がぁ!!!」


「そんなカリカリして自分、アホちゃうん?」


「誰のせいでカリカリしてると思ってんだ!!」


「カリカリって、ベーコンやないんやから!」


「誰がベーコンだコラァ!!

笑ってんじゃーーね!」


「自分がベーコンって言い出したんやないか!!」


「言ってねぇ〜よ!!」


「耳痛いなぁ〜

キーンってしたでぇ?

小魚でも食べぇなぁ!」


「おっ前、お前ホントッ腹立つ!!

ムカつくーーーー!」


「なんでやねん」


「何でもやろがぁ!

勘違いで俺を捕まえたんだろ?

だったら謝れよ!

ってか解け!!」


「……………いやや。

俺、別に悪ぅ無いもんねぇ〜」


「かっちーーん。

ぶっとばす!!」


 それまでナイトが糸を解こうとしていたが細い事と半透明だったため指をカリカリっと音を立てるだけに終わっていたがシャルルがブチブチブチっと壊して拘束から逃れて立ち上がり睨む。


「あーー!

もーー何してくれてんねん!

それ、作るのに難儀するんやで」


「知るか、ナイト!!」


 右手をナイトの方に向けて名前を呼ぶ。

だがナイトはシャルルの動作の意味を理解しかねる。


「‥‥‥‥ナイト、ナイトさん!!

こう言う時は俺の武器を投げ渡してくれ。

……えっとベンチの横に置いていた木剣があるだろ、それを下さい。」


「ん、分かった」


 スタスタとベンチ横まで取りに行き、スタスタと戻って来ると手渡しでシャルルに預けるとナイトはベンチに戻り座り観客になる。


「イマイチ、決まらん男やな」


「うるせーーー!」


 言いながら木剣用の布のケースを開けて掴もうとしてシャルルは愕然とする。


(ポロポロのおっさんのとこで借りてくるの忘れた!!

そうだ、いつもはおっさんの所でメンテナンスするからじーさんが用意してくれるけど、今回はドマジさんのとこに預けたから忘れてた。

ヤバい、マジヤバい、ドマジさんだけにドマジでヤバい!

ってそんな言葉ねぇ〜よってノリツッコミしてる場合じゃーねーー。

泣けてきた)


 スッと閉じて地面に置く。


「って使わんのかい!

自分、面白おもろいな!」


「う・る・せ・ぇーーーー!!

そういうお前は釣り道具でいいのかよ!ププッ」


「オレか?

オレは漁師や、つっても猟師やないけどね〜

漁師やから釣り竿で十分やねん。」


「えっ漁師さん!

いつも美味しい魚をありがとうございます!

お世話になってます」


「これはご丁寧にありがとさん。

綺麗なお辞儀やね」


 それはそれは見事な180°だったという。


「まぁ最近は暇やから趣味で川魚しかっとらんけどね」


「この野郎、俺をおちょくってんのか?

俺の礼を返せ!」


「無理かな、もうあの礼は受け取ったし」


「このままじゃラチがあかねぇ」


 糸を投げ捨てると低姿勢から走り出し跳んで殴り掛かる。


「◯ツの穴の小さいやっちゃな〜」


 素早い動きで釣り竿から糸を外し新しい物に取り替えるとシャルル目掛けて釣り竿を振った。

たちまち空中で捕まったシャルルは再度グルグル巻きにされて公園中を空中遊覧されてゆく。


「うわわあぁぁぁぁぁ」


 人々は逃げていきシャルルは時々、木々等に激突したり公園外に投げ出され焦った漁師の男が釣り糸で巻き取って回収して事なきを得ると又、空中で目を回すように男が釣り糸を操る。


「自分って、どっちの事?」


「ほ?

そやね、よ〜聞かれねん。

俺の言う自分は相手の事なんよ、………たまにホンマに自分自身の事とか、そんな場合もあるんやけどな」


「外国の言葉?」


「おーーナイトが試験勉強の成果か色んな知識が増えてて俺は嬉しいっゾ!!!」


「はぁ!?

お───ぶらぱぁ」


 シャルルの言葉が頭上から聞こえて振り替えるとシャルルが漁師の男目掛けて右腕の拳が当たる瞬間だった。

殴られた漁師の男は後ろに飛ぶ。

そして手には釣り竿、巻き付いたままのシャルルもそれに付いて引っ張られてビーンっと後を追う。

砂場に激突し土煙が舞いながら、もみくちゃになった男2人の山が完成してナイトは “おーー” と声を漏らし拍手した。


「これで仲良しになれた?」


「なれるかい!

もっと仲悪うなったわ!」


「同感だ、コイツはずっと胡散臭い!

あと臭い!!」


 全身に付着した土や砂を払いながら立ち上がった漁師の男はシャルルにゴチャゴチャに絡まった釣り糸を解きながらナイトに話しかける。


「あっ、それとさっきの答えやけど。

実は違うんよ」


「言葉のこと?」


「そや、別に国外でも海の先でもないねん。

まぁ〜詳しゅ〜は知らんねんけど母方の言葉遣いらしゅうてな、面白ろいから使こてるだけやっちゅうだけの話や!

どや?つまらんやろ」


「ふ〜ん」


「ふーんって、自分から聞いてきたんやろ!

ほならこれはどうや?

この髪型はホーステイルゆうねん!って誰が───」


「馬の尻尾?

ただ伸びた髪を後ろで結んでるだけ?

に見えるよ」


「あっ、はい。

俺の渾身の例えが遮られたわ。

君とは相性悪いみたいね」


「ごめ、ん?」


「いや、ええねん、

ってもう帰らな!

今度は俺がしばかれるッッ!!」


「帰るの?」


「嫁が心配するからな、かれこれ数カ月は家ぇ留守にしとるからな………ここだけの話、俺、方向音痴やねん、ほんまキツイわ〜」


「大変だね」


「せやろ?

ほんなら起き上がろ〜として滑って気絶としる、このアホの事は任せたわ!

ほならな!」


「バイバイ〜〜」


「おう、ほな帰るわ!

決まったわ、こらイカスな」


 夕日をバックにしたイメージでまだ昼間の公園を後にしようとして数歩歩き出した、そこにナイトの声がして振り向く。


「はい」


「ん?」


 ナイトが渡そうとしたのは彼が捨てた葉っぱだった。


「おーー。

ありがとうな。

けど1回、地べたに捨てたんはバッチ〜イからポイポイしな」


「分かった」


 ポイポイ。


「ほなら今度こそ、ほなね!」


「名前は?」


「お〜〜名乗っとらんかったっけ?

俺はジョン!

ジョン・ベルンや!宜しくね!」


「ナイト」


「ナイトゆうんか。

また何時か会えるとええな!」


 今度こそ、誰にも邪魔されずにジョンは公園を去っていった。

少しして荷物を忘れたのを思い出したのか取りに戻ってきたが、その時は恥ずかしかったのか赤くなった顔と俊敏な動きで軽く会釈をするだけで直ぐに立ち去っていった。


(あいつ………、まさかな。)


 既に起きていたシャルルがジョンを見て、ふと思っていると、そこで公園の前に1台の馬車が止まり、オソラが出てくる。

表情は見なくとも分かる程に全身から怒りのオーラが滲み出していた。


「アンタ達!!!」


「げっ、なんでバレたんだ!?」


「げっ、なんでバレたんだ!?

じゃないでしょ!!

こんな大騒ぎ起こして!

逆になんでバレないと思ったの!

はぁ〜………あのね、あの一件以来、アルテミスズ家ではアンタ達を見張って……って言うか見守ってるのよ!!

特にアンタよ!」


「はぁ!?俺ぇ?なんでだよ!!

っか、はぁ!?

見守るって!!

ようは監視だろ!

ん?あの一件ってどの一件からだよ!」


「ナイトがキングドラゴンモドキを倒したって街が大騒ぎした時からよ。

見回りの騎士達はアンタ達を見つけたら、一様はこっちに連絡が来るようになってるから。

そのつもりでこれから生活しなさい。

普通によ、普通にね!」


「フリか?」


「巫山戯ない!!

じゃ帰るから」


「ベロベロバー」


 変顔をしてオソラの背中に挑発をしているとオソラが振り向き、シャルルの動きが止まる。


「何してるの?」


「顔の体操を少々。」


「そう、それは健康志向ね。

‥‥‥‥シャルル、アンタの言動から一挙手一投足まで全身、ううん。

存在その者がナイトの教育によく無いわね」


「そこまで言うかね………あっ!?」


「今度はどしたの?

ってえええーーまさか!?」


「腰が!

腰をいわした!」


「まさか、そんなぎっくり腰!?

こんなになるまで暴れて!!

安静にしてなきゃダメじゃない!!」


「サーセン、………ひっ!

治ったか?

なんかすいませんでした、あッ、ハアァーーーンーーーーーーーー!!!」


「もう余計に悪化するでしょ!!」


「試験どうするの?」



おまけ

 その頃、ポロポロはドマジの工房に訪れてお互いの意見に花を咲かせていた。


「そういやアイツ、得物はどうしてんだろな?」


===漁師の男 ジョン・ベルン===


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