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第八十九話合流、お祈りするなよちゃんと合流レーンギリギリまで使え

 朝食後、全員で集まり今後のことを話し合う。

 

「そろそろ城塞都市へ向かおうと思う」

 ロミの療養のためしばらくフェルセブスミーに留まったが、もうすっかり大丈夫なようだ右目の眼帯以外は健康そのものに見えた。


「城塞都市?フェルセブスミーの交易路を使って王都を目指すんじゃなかったのか?」

 初めて聞いた単語だ、ザックリとしか覚えていないがエリミエス山脈を迂回して、フェルセブスミーの整備された陸路から王都を目指すというのが当初の目的だった筈だ。


「あぁ、アルファにはあまり詳しく話していなかったが、シャル王都と城塞都市は隣同士なんだよ、元々は隣国のカリス王国とエリミエス山脈で国境を割っていたんだが、いつだかの戦争で一気にシャル王国が領土を広げてな……その時に王都が直接カリス王国と隣接することになって、それは拙いと築き上げられたのが城塞都市だ、エリミエス山脈の街道の“シャルの玄関”を抜けたすぐ先だ」

 ロミの説明では城塞都市の隣に王都があるから、通る必要があるってことか。


「城塞都市には百合騎士団の陽動部隊が到着しているはずだ、本来我々の方が先に着く予定だったが……」

 陽動部隊……そういえばチラリと言っていた気がする。


 本来の貴族が通りそうなルートで陽動部隊が城塞都市を目指して行き、少数精鋭の信号機(ロミルミレミ)が大回りしてエリミエス山脈沿いに旅をする予定だったらしい。


 しかし迷宮都市の件で計画が完全に狂って、現在のルートを行くこととなったのだ。


「陽動部隊の副団長達と合流すれば戦力も盤石、城塞都市から王都までは近いしから城塞都市まで到達できればほぼ任務完了だ……出発は明後日、今日と明日は物資を揃えよう」

 ロミの言葉に全員が肯いた。

 

◇◇◇◇


 ……物資を揃えると言っても、ネリーがフェイ商会に頼めばほぼ揃う、逆にフェイ商会で揃わない物は特に必要無いものだ。


 そう考えながら俺は木彫りのシャケと向かい合っていた。


 というかフェルセブスミーを周った時に購入した謎のお土産物をどうするか考えている。


 他は服だったりターバンだったりなので、アシヌスへ積んでいるA3W由来の衣服を交換すればいい。


 しかし木彫りのシャケはどうするか……荒々しい波を引き裂いてまさに飛び出してくる躍動感たっぷりのこのシャケ……デカいし邪魔以外なんの意味も無い。


 とりあえず後で信号機(ロミルミレミ)の馬車に載せてもらえるか聞いてみよう。


 そんな事を考えていると、コンコンと部屋の扉がノックされた。


 俺は立ち上がり、扉へ向かう。

 

「どちら様ですか〜?」

 ガチャリと扉を開けると、そこにはレミが立っていた。


 マジで珍しい客人だ、会議の招集だろうか?


「アルファ、一緒に観光に行こう」

 レミから?お誘い?マジで?


「どうした?海水竜にぶっ飛ばされたときに頭でも打ったか?」

 思わず本音が口を出た。


 だってレミが観光という時点でおかしい、アイツは暇があれば棒を振っているか瞑想しているかだ。


 レミの眉間にシワが寄る。

 

「正確にはアタシと2人でお嬢様の観光の護衛をするぞ」

 なるほど、納得した。


 しかし言い方があるだろ。


「いいのか?お嬢様を外に出して、またあの六魔人とか刺客が来たらどうする?」

 確かにお姫様は観光をしたがる方だろう。


 しかしその護衛が俺とレミというのは珍しい。


 まぁロミルミネリーは旅の物資の調達をしているのでフェイ商会を離れられないだろう。


「その為にアタシとアルファで護衛するんだ」

 レミの何を言っているんだコイツはという呆れ顔に、確かにそうだと納得する。


「了解であります、俺とお姫様の服は庶民的にするか?」


「アタシがいる時点で怪しいんだ、どんな格好でも変わらん」

 あ、レミさんもちゃんと自分が目立つ恰好なのはわかってたんだ。


「お嬢様の準備がしばらくあるらしいから、正面玄関で待ち合わせよう」


 じゃあ俺もちゃんと武装して行こう。


 基本の服装は都市迷彩の迷彩服にする。

 

 もしあのロミを竜血化させたゾンビのような相手が現れたら危険なので、プレートキャリアには、重いがライフル弾も止めるセラミックのプレートを挿入する。


 いつものダンプポーチ(空のマガジン入れ)をベルトへ付けて、ハンドガンはM18、予備のマガジンは2個。


 プレートキャリアにはスタングレネードと攻撃型手榴弾をいくつか、後はAK-47の予備マガジンも多めに前面4個、背面にさらに予備の4個を持つ。


 AK-47はシングルポイントスリングでしっかり背負う。


 更に防弾仕様のヘルメットを被る。

 

 この前の観光と違ってしっかりした武装で部屋を出る。


 正面玄関へ行くと、まだ2人は来ていないようなのでしばらく待つ。


「そんな!アルファさんまで!」

 突然後ろからお姫様のお怒りの声が聞こえた。


 振り向くとそこには、いつもの豪奢な刺繍や装飾品がされたドレスでは無く、庶民が着るような服――ちょうどこの前ルミが着ていたような物――を着たポニーテールのお姫様がいた。


「これから観光なのに鎧着てたり武器持ってたりしたら風情がないじゃないですか!」

 プンスカとお姫様が俺とレミの服装にお怒りモードだ。


 まぁ確かに風情は無いなぁ……


「お嬢様、アタシは呪いでこの鎧を外す事はできませんし、アルファはお嬢様が襲われた際に対応する最善の装備を選択しただけです、申し訳ございませんがご辛抱を」

 レミがお姫様に言い含める。


 立場上最善を尽くさないことは許されないので、言っていることはごくまともだ。


 問題はレミの方は重りみたいな物な所だが……


「むー……仕方有りませんね、わかりました」

 お姫様もレミ相手には交渉は通じないと判断して歩き出す。


 レミも俺もその後を追って、護衛しながらの観光を始めた。


◇◇◇◇


 この街はただ歩いているだけでも爽やかな海の風が吹き、とても気持ちがいい。


 お姫様も上機嫌に道を歩いている。


 ……お姫様の格好はどう見ても庶民なのに、脇を固める2人が厳つい恰好なので皆が道を空けてくれる。

 

 港まで行って船の荷下ろしを見学したり、表通りの露店を見て回ったりする。


 他にも色々港のレンガでできた倉庫街を見て回り、お姫様は四角く切られた石を見たことはあるそうだが、レンガを見るのは初めてで興味深く触ったりしていた。


 そんなこんなであっという間にお昼時となった。


「そろそろ昼食にしましょう!1度巡ってるアルファさんのオススメのお店はありますか?」

 お姫様が俺へキラーパスを出す。


 1度見て回っただけでそんなにいい店を知っているわけがない。


 なのでネリーに教えてもらった店にしよう。


「前に回った時、ネリーからお勧めされた店がある、そこへ行こう」

 店まで歩くと、すぐに特徴的な木彫りのカジキの立派な看板が見えてきた。


 お姫様はどうやら気取った様子の無い庶民的な店にワクワクしているようだった。


 海の街というだけあって、どうやら大きな荷物を持ち込んだりもあるらしく、カジキの亭の床はかなり頑丈なようでレミでも入ることが出来た。


「わぁ!私こういう店初めてなんですよね!フェイ商会の料理も美味しかったですけど、ここはどんな料理があるのですか?」

 俺がお姫様とレミに、この前に食べた料理の事を説明して美味かったことを話していると――


「ゲ、変な格好の奴がいると思ったらこの前の女たらし野郎、女の子もこの前とは違うじゃん……マジで女たらしだったか」

 明らかにこちらに向けて声をかけられ、そちらを見るとアクアブルーの髪に長い杖の魔法使いと、エルフの弓使いが立っていた。


 発言はエルフの方だったようだ。


「あ、こりゃどうも、その節はお世話になりました……誤解を解くために言っておきますけど、前の2人と今日の2人ともう1人で6人パーティなんですよ」

 俺は正直にパーティ構成を話す。


「6人パーティ……あと1人の性別は?」

 エルフさんがグイグイ来る。


「……女性……っすね」


「ヒャー!ハーレムパーティってヤツ?初めて見た!」

 今まで何も考えてないわけでもなかったが、傍からみればそのように思われても仕方ない。


 レミは既に眉間にシワが寄りパグ犬顔になっておられる。


「わぁ!ハーレムパーティですか!それもいいですね!」

 そう言うとお姫様が俺へしなだれかかってくる。


「最低」

 アクアブルーの髪の魔法使いに軽蔑の目で見られて1言、すぐに離れた場所へ行ってしまった。


 エルフさんもそれに続いて離れて行った。


 会話が終わったのを見計らって、店員さんがこちらへ来る。

 

「3人目と4人目はもう間に合ってましたか……ご注文をどうぞ」

 ニヤニヤとした顔の茶髪の褐色肌なお姉さんが注文を取りに来た。

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