17 人生いろいろ 荷物もいろいろ
情けない姿をさらしてしまった。まぁ、人生いろいろだ。
プリエステス、いや、シャンプーは部屋に入って休んでいるが、今、俺は自室で一人反省会を開いている。
俺は今までプリンスとしての学びをしっかりしてきたつもりだった。しかし、現実の社会に出たとき、その学びは薄っぺらで、のほほんと暮らしていたのとあまり変わりがないように思われる。世間のことがわかっていない。これから探索者となって世間を学ぼう。世俗の人のことをもっと知ろう。目標はたくさんあったほうがいい。一つがうまくいかなくても、他の目標があれば、気力を失わずに済む。今、目標は三つになった。
! 黒幕は誰か、どんな組織なのか。
! 二つの加護はなにか。『真理』は少しわかった。発動条件がメガネ、視覚系のスキルだ。もう一つ、『愛』はまだわかっていない。なぜこんな加護を俺が持っているのかも、わからない。
! 世間、世俗の人のことを知る。ちょっと漠然としているが、今はこれでいい。
首都から戻ってきたシャンプーはきっと疲れているだろうから、三日ほど休んでもらってトリアルを出発しよう。明日、剣などの一式が届くから、その整理と、必要なら調整。そして、次の目的地を決めなくてはならない。
大陸中央のミズガルズには三つの国がある。それぞれ泉の名前が由来になっているが、俺が王となるはずだった、南に位置するフベルミル。北西にはウルベ国があり、北東にはミーミル国がある。さて、どっちの国が行ったらいいのか。
翌日、朝食を食べて部屋でくつろいでいると、シャンプーが、荷物が届きました、と声をかけてくれた。一階に降りて、荷物が置かれた部屋ーーそこは空室で使われていなかったーーに入る。荷物は五つあった。俺のが二つ。シャンプーのが二つ。もう一つは小ぶりで立派な箱、たぶんお金とか、貴重品だろう。こんな箱で送ってきて、なんだか不用心だな。
二人で小さな箱から開けてみると、思った通り大金貨とアクセサリーだった。王家のものとは違うデザインの耳飾り、指輪、ブレスレット……いろいろあるな。同じものが二セットあるので、俺とシャンプーとお揃いになるのか。きっと王家の耳飾りのように仕掛けがしてあるんだろうが、見ただけではわからない。さっそく二人で身につける。
似合ってますか? うん、似合っている、似合っている。
適当に答えながら、俺用の二つの箱を開ける。シャンプーも俺に合わせて箱を開け始める。
俺のは剣とナイフ二本で一箱、探索者用の軽くて特殊な生地で作られた上下の服とローブ、靴などで一箱だった。以前の剣はお飾りだったので、見栄えがよく、あまり実用的ではなかったが、今回の剣は地味な作りだが、実用的で、はるかにいいものだ。
剣と杖の違いはあるが、シャンプーのも似たようなものが入っているようだ。俺はその場で着てみるが、シャンプーは無理に重ね着をして、自分の部屋に持っていこうとしている。
俺はシャンプーの背中に声をかける。
「あまり疲れていないようだったら、午後、装備を身に着けて、試しに塔に行ってみるか?」
「はい、行きたいです」
重ね着モコモコのシャンプーが振り返りもせず答えた。




