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仕事猫ニャゴロー  作者: どてかぼちゃ
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209/218

吾輩は雷神である。


 「危ないから向こうへいきな」


 交通整理の爺さんはそう言った。

 実は今、商店街入り口前で小規模だが工事をしている。

 四本足のトラックからキリンの首が出て、その上へ人間が乗り何やら作業を。


 腰には様々な道具をぶら下げておるな。

 ペンチとかニッパーなどと呼ばれる類のモノが多いような……。

 

 え?

 なぜ道具の名前を知っているのかだって?

 そんなもの美也殿に決まっておるだろうが!


 ペンチは猫の舌を引っ張るもので、ニッパーは爪を根元から切断する道具。

 他にも知っているぞ!?

 木槌は頭を殴るやつでハサミは髭を思いの長さにカットするやつだろう?

 ドライバーなど最悪で、あれは肛門をほじくる器具ではないか!

 あぁ―――――――っ!

 思い出すだけでも脳髄が溶けて耳から流れ出そうだわ!

 

 そもそも道具とは動物を必要以上に可愛がる為の物。

 それぐらい我輩達の間では常識だわ!


 だからそこで疑問が生まれるのだ。

 それ等を工事に使用するなんて……見る限り動物の姿はないし。

 一体なんの工事なのだ?

 もう少し近くで見学してみるとするか。


 

 トラックのタイヤを利用して先ずは荷台部分へ。

 この時交通整理の爺さんが我輩を追いかけてくるも転んでしまい難なく突破。

 

 たぶんジジイは足首やらかしたな。

 あの年齢ならば入院のベッド生活による筋力喪失、寝たきりとなるだろう。

 残念だが人生終了だな。

 

 でも我輩のせいではないもんね。

 転んだのは自分のミスなんだからね!


 それを尻目にキリンの首を上り、頭部分に相当する箱の中へ侵入。

 となれば当然……


 「うわっ! なんだお前? 危ないから下へ行け!」


 なに?

 危ないだと?


 舐めるな人間!

 キサマより修羅場を幾度も経験しておるぞ!

 その我輩に向かって危ないなどと!


 憤慨したニャゴローはキリンの首を飛び出し電柱の頂点へ飛び乗る。

 これにより、作業人の制空権を制圧し、上から目線で見下せるからだ。

 そして彼は目で人間に語り掛けた。

 

 控えおろうっ!

 頭がたかあぁぁぁぁぃっ!


 与えられた仕事を淡々と熟すマシーンのような仕事をしているからなんだ?

 それで偉くでもなった気分なのか!?

 そんな仕事、我輩でもできるわ!

 ちょっとその〝黒い蛇〟を貸してみろっ!


 勢い余ったニャゴローは〝黒い蛇〟に前足を伸ばした。

 あと少しで肉球が届くといったその瞬間!

 彼の身体を電流が激しく駆け巡る!


 「ニギャアァァァァァァッ!」


 これは衝撃に打たれた時の表現用疑似電流ではなくリアル電流。

 そう、人間のしていた仕事は電気工事。


 触れた電線自体は作業員が持っている物なので、現在電気を帯びていない。

 実は降り立った場所が悪かったのだ。

 電気が流れている電柱の電線に後ろ足が触れてしまい、感電したのだ。


 その電撃は凄まじく、痺れると同時に体内の水分を急激に奪っていく。

 香ばしい臭いが辺りを包むと、そこには焼け焦げたタオル的ななにかが……

 勿論ニャゴローである。

 

 そしてボロ雑巾となった彼は風に乗り、何処かへ飛んで行ったそうな。

 なんとな~く坂の病院方向へ……

 


 

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