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仕事猫ニャゴロー  作者: どてかぼちゃ
185/218

吾輩は服などいらないのである!


 遂にその時が来た!

 全身の毛が生えそろったのだ!


 となればこんな服など……エイッ!

 病院のマダムには申し訳ないが、お払い箱とさせてもらう。

 とはいえ、世話になったのも確かだから後でコッソリ返しておくとするか。


 それにしても何たる解放感!

 やっぱり動物本来の姿はこうであるべきだな!

 

 確かに暖かかった。

 寒さ厳しいこの時期に見事なまでの仕事を熟す服には感謝の言葉しかない。

 

 だがしか~し!

 暑すぎるのだ!

 体温調節ができないのだ!

 ムレッムレのムンムンクッサーになるのだ!


 我輩は猫だぞ?

 そりゃクッサイ臭いも放出しようて。

 例えどれ程体を洗われようとだ!

 

 因みにオナラもクッサイぞ。

 その破壊力は水爆をも上回るから気を付ける事だな!


 とりあえず、自慢も兼ねて早速仕事と行くか!

 先ずはいつもの公園で日雇い猫工を拾うとしよう。



 ―― 公園にて ――


 お!

 おるおる!

 行き場のない猫がワラワラとおるわ!


 にしても何か変だな?

 一か所に固まりすぎと違うか?


 あぁっ!

 公園の職員が焚火をしておるではないか!

 暖かいからその周りに集まっておったのだな!

 それなら我輩も!


 

 焚火は公園内の丘を下った場所で行われていた。

 木々から落ちた枯葉を集め、処分を兼ねての焼き芋作り。

 ここでの問題は〝丘の下〟とういところ。

 その理由は……


 

 「ニギャアァァァァァァッ!」


 我輩としたことがなんたるドジを!

 坂で予期せぬ加速をしてしまい、小石を踏んで両前足首グニャリとやらかした!

 スピードに乗って勢いよく転がり、さらにグイグイ速度アップ!

 そのままボーリングのように焚火の中へスットライク!


 {チリチリ……ジュウッ!}


 辺り一帯を包む体毛の燃える異臭と肉の焼ける香ばしい臭い。

 幸いだったのは、公園職員の目の前で事故ったことだった。

 彼等の素早い処置により、坂の病院へ救急搬送!


 喫茶店がわりに集まる老人たちを後にして、優先的に手当を受ける我輩。

 運のいいことに、火傷範囲は40%ぐらいの超危険ゾーンでギリギリセーフ!

 その後5日間、マダムの手厚い看護を受けることとなってしまったのだった。


 

 こうしてまたもや衣服を着せられるニャゴローだったとさ。

 

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