吾輩は経営者失格である。
颯爽とオープンしたニャゴロースケートリンク公園前店。
開店三日目で既に倒産の危機を迎えていた。
何がいけなかったのか?
頭の中にあるそろばんをハジキまくって計算するも答えは迷宮の中。
あの諭吉舞い踊る華々しい開店初日が遥か遠い昔にも感じられる。
完璧の経営理論だったはずのニャゴローは何度も何度も自問を繰り返す。
何がいけなかったのかと……
川の前であれこれ考えていると、一匹の猫が姿を現す。
ニャン太郎だ。
まともな答えは返ってこないだろうと思うものの、相談をしてみる事に。
すると彼にしては珍しく妙案をそのクルミ程の脳から捻りだした模様。
〝イベントで客寄せをすればいい〟
ゆるキャラはなにも人間の間だけで流行っているのとは違うと彼が言う。
川縁に住むラッコをマスコットにして客寄せに使ってみてはどうかと。
※ここでのラッコとはヌートリアを指す
なるほど!
言われてみればアトラクションにマスコットはつきもの。
その案ゲットだぜ!
ニャン太郎は鼻息荒くして、全て俺に任せろと言う。
なんと頼もしい事か!
そんな訳でマネージメント課主任に彼を任命し、全てを一任。
結果が楽しみである。
そしてその五分後、ニャゴロースケートリンクは川から姿を消した。
倒産ではなく、無くなったのだ。
ニャン太郎は走り出して数十秒後に今回の案を記憶からオート削除。
それでも僅かなメモリーに動物を川へ連れて行くと残っていた模様。
面倒事を手っ取り早く済ます為、ある動物の子供を攫って川辺にダッシュ!
怒り狂った親はニャン太郎を猛追!
あんなデカ物に捕まるはずがないとタカを括っていたニャン太郎。
ところが!
自分をも上回る運動能力を持つその動物に愕然!
必死の逃走虚しく速攻追い付かれてしまった!
捕まった場所はニャゴロースケートリンクのチケット売り場。
悲劇はここから始まる。
この後大暴れしたその動物は、関係のないニャゴローをも血祭りに。
結果、ニャゴロースケートリンクは開店三日目で閉店を余儀なくされた。
いや、破壊されてしまったのだ!
リンクではなく、経営者とその部下である主任が!
もうお分かりかと思うが、動物とはアライグマのアライ君。
遠のく意識の中でニャゴローはこう思った、
いい加減に彼等の荒い気性を学習しろと……
―― 公園内野良猫達の噂話 ――
「お前最近スケートしてるかニャ?」
「うんニャ、ぜーんぜん!」
「オイラも初日以外行ってニャいのよ」
「ニャっぱり?」
「あそこ仕切ってるニャゴローが不気味で嫌なんニャ」
「分かるなニャー! 全身の毛がチリッチリのパンチパーマになってたもんニャ!」
「そそ、なんか威圧的で怖いんニャよなー。あと燃えた臭いでクッサイしニャ」
「それにニャんといってもやっぱり〝飽きた〟ニャ」
「だニャ。〝飽きた〟ニャ」
これは開店初日の会話である。




