吾輩はハロウィーンの意味など知らないのである。
不思議とやけにお腹が空くこの時期。
休みの日ともなれば公園内では肉を焼く匂い。
商店街ではあま~い香りが我輩の嗅覚を刺激する。
今日は平日なので商店街へ出張する事にした。
新規出店している店もあるだろうしな。
みかじめ料の契約とやらでもしてくるか。
『ハロウィンは当店でのパンプキンパイをどうぞ』
やけに長い店名だな?
それにしても今日は町中至る所で得体の知れないヤツ等が徘徊しておるし。
普通夕方ともなれば帰宅するリーマンで埋め尽くされるだろう?
「はいはーい!今日はハロウィンだから自宅パーティ用にケーキはいかがー!?」
「らっしゃいらっしゃい!ハロウィン焼きサンマあるよーっ!!」
「ダンナダンナッ!今日はハロウィンだからウチの娘達は仮装して待ってるよーっ!!」
この浮かれようはなんだ?
お祭りでもあるのか?
しかしおかげで仕事がしやすいぞ?
人混みは最大の隠れ蓑なのだ。
よし、今日の仕事はフードアドバイザーに変更だ!
そんな訳で各店舗のおすすめをチェックでもするか。
まずは魚屋から”ハロウィン焼きサンマ”を調達。
う~む、美味いのは美味いのだが・・・
全体に塗られているこの黄色く甘いものが邪魔だな?
それを除けばただの焼きサンマではないか?
・・・3点!
次は肉屋で”霜降りのジャック・オー・ランタン漬け”を一枚チョイス。
こいつもなにやら黄色いではないか?
・・・やはり先程サンマに塗りたくられたものと同じ味がする。
う~む・・・48点!
八百屋は本日パスだな。
店頭にはゴツゴツの岩みたいな野菜ばっかりしか並んでないし。
でもなぜ顔の形にくりぬいてあるのだろう?
まあ、孫が頑張っているから69点ぐらいはやるとするか。
で、ここが今回オープンした店だな?
ケーキ屋か?
あっ!
あれはパン屋の娘!
うがっ!
なんという恐ろしい顔!
もしかしてこの店は商売敵か?
あの娘はいつも我輩に良くしてくれる。
御子息にメロメロで、彼に近づくためのアイテム扱いなのが玉に瑕なのだが。
仕方ない。
ここは我輩が一肌脱いでやろう。
普段のお礼も兼ねて。
数時間後、商店街に出来たばかりのケーキ屋へ猫の集団がご来店。
あちらこちらへ不潔な猫達が飛び跳ねて店内大騒動!
まるでみかじめ料を払わない風俗店へ嫌がらせをする組織宛らだったという。
※ちなみにパン屋のないろちゃんが不機嫌だったのは、偶然店内にいた五平君を見たからであった。(あの人はおっさん?の50話手前にある登場人物参照)




