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仕事猫ニャゴロー  作者: どてかぼちゃ
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134/218

吾輩は台風になればテンションがあがるのである。


 我輩は今、御子息にベタ惚れな娘のいるパン屋で寛いでいる。


 ほんの数時間前、商店街の八百屋へ営業の挨拶で訪れた我輩。

 外は雨が降っていたから雨宿り序にと。


 しかしバリバリと孫が働いているせいで、店先の物へ手を出すことが出来ない。

 取りあえずは縁の下へ待機。

 通気口の一部が壊れていたのでそこから中へと入り、様子を伺っていた。


 ところが!

 外の雨がどんどん激しさを増してくるではないか!

 雨宿りどころか、我輩家へと帰ることもままならなくなってきたのだ!


 目の前にある通路はアーケードで覆われており、基本的には濡れない。

 そこすら水が薄っすらと侵略してきたのだ!

 

 このままでは我輩も巻き込まれると思い、パン屋へ大至急移動!

 オートマティックドアーをニョキっと出したネイルでソフトタッチ!

 更にはマイヴォイスを織り交ぜる!


 「ニャ~・・ニャ~・・・」

 {カリカリカリ・・}


 「あっ!アンタ三河君とこのネコちゃんじゃないの!?」


 ナイス! 

 御子息の妖術にきりきり舞いであるパン屋の娘の目に留まった!

 この際この娘が色ボケなのは置いておこう。


 「ちょっとちょっと!台風なのにこんな場所でなにしてんの?・・・確かニャゴローだっけ??台風なんて数時間もすれば行っちゃうから、それまでこの中にいなさいね!!」


 どうやらパン屋は今日の営業を取りやめたみたいである。

 いつもなら決して入れてくれない店舗で匿われることに。

 普段から清潔にしているとはいえ、我輩は所詮猫。

 ばっちいもんね・・・。


 幸いにしてこのアーケードは地べたから少し高いところに作られている。

 そこへ薄っすらと水が上がって来たという事は・・・


 そう、道路は既に川の状態。

 この場所から見える店舗と店舗の間にある路地すら水浸し。

 その向こうは道路の色さえも見えなくなっている。


 あっ!

 あれはニャン吉ではないか!


 ヤツは今、商店街横にある小汚いスナックのチカチカする看板に乗っている!

 下が濁流になっており、にっちもさっちもいかない状態!

 だから早めの対策をしなければならないのに!


 とりあえずあの上ならば水が来ることも・・

 あぁっ!?


 {バッシャーン!!}


 「ニギャァッ!」


 看板が水流で倒れてしまった!

 ニャン吉が下へ!


 {ゴッチン!}


 「ギニャ・・・」


 しかもその看板が頭へ!

 早く助けなければ!!


 {ジイィーーーーーッビリリリ!!!}


 「ニギャアァァァァァァッ!!!」」


 うぉっ! 

 チカチカ看板が火花を散らしたぞ!? 

 一瞬ではあるが痺れるニャン吉の骨が見えた気が!


 こうなると最早我輩ではどうすることもできまいて。

 まあ、あいつのことだ。

 そのうちまた、ひょっこりと何処かで出くわすだろう。


 そう言えばお腹が空いたな。

 娘に媚び売ってチーズの一かけらでももらうとするか。



 こうしてパン屋で暖かいミルクと様々な食べ物を提供される我輩。

 波に揉まれるニャン吉を見ながら、偶には大雨もありだなと思うのであった。


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