吾輩は油断していた訳ではないのである!
今日もせっせと仕事を熟すはずだった我輩。
だが近所のゴミ虫バイク店でとんでもないことに・・・。
今回の仕事はズバリ書類審査!
つまりは適当な物に印鑑を押す作業。
それ等には当然生物も含まれる。
ヤツの可愛がっているドットUFOに判を押してやろうと身を潜めていた我輩。
因みに判とは我輩の爪で深い傷跡を残す事である。
ホレ、よく熊が木に自分の縄張りを示すためにするであろう?
あれと同じことをこの黒色に白点のあるヘンテコ頭の魚?にしてやるのだ!
問題は大きさである。
裏手の倉庫で生活をしているコイツは非常に図体がデカい。
生物と言うより座布団のよう。
深さこそないが、車とやらがゆうに一台は入るようなプールで泳ぐコヤツ。
もし落ちれば我輩とて食べられてしまうのでは?
・・・。
ブルブルブル!
そんな弱気でどうするニャゴロー!
ここは攻めあるのみ!
ヤツの背中を見て見ろ!
がら空きではないか?
座布団が水に浮いていると思えばなんも怖くなかろう!
あ!
水面へと浮かんできた!
今がチャンスではないか!?
「ニャッ!!!」
決死の覚悟でヤツの背中へ飛び乗る我輩!
うまい事取り付いた!
ここだ!
我輩右前足の爪を全開にして大きく振りかぶる!
抉るように振り下ろそうとした瞬間!
{チクッ!}
「ニャンニャ?」
なんだか背中がチクっとしたな。
まいっか。
それにしてもコヤツの背中はこんなに赤かったかな?
「!」
その直後、突如として激痛が!
何とか力を振り絞ってこの場を脱出!
水の中へ落ちれば命を落としかねない!
「ニギャアァァァァァァッ!!!」
焼ける!
背中から腹の中を溶かされている様だ!
散々のた打ち回る我輩!
そのまま意識を失ってしまった。
「ニギャアァァァァァァッ!!!・・・ニャニャ?」
「お、目が覚めたかニャゴローよ。お前二日間も寝たままだったんだぜ?てっきり死んだのかと思ったよ。倉庫行ったら血まみれで転がってるんだもんなー。」
助かったのか?
それにしてもまだ強烈な痛みがあっがような・・・。
「どうせ俺の飼っているエイになんかしようとしたんだろ?あいつ毒針あるんだから気をつけなきゃな。医者が言うにはもう少し発見が遅ければ死んでたってよ。・・・ほれ、薬を塗ってやろう。」
どうやらゴミ虫が病院へ連れて行ってくれたのか。
ハッキリとは分からなかったが毒針がどうのとか言ってたな。
って事は、刺されたワケだ。
我輩の傷跡へ薬を塗り込むゴミ虫。
まるで手下が幹部へとこびへつらっているようにも。
それにしても赤い薬とは珍しいな。
普通粉は飲み薬で・・・
「ほーれニャゴロー。このハバネロパウダーがお前の細胞を活性化させて治りがはやくなるだろうよ。」
「!!!」
この後一週間、地獄の赤い粉を振りかけられ続ける我輩。
ゴミ虫への怒りと恨みが細胞を活性化させ、想像を絶する回復を見せる!
燃えさかる憎悪が焼けるような苦痛を上回り、痛みを忘れさせてくれた!
皮肉にもその事が一番の薬となったのだった。




