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仕事猫ニャゴロー  作者: どてかぼちゃ
123/218

吾輩は名月が憎いのである!


 今日は中秋の名月。

 この国の人間どもは古の言い伝えを代々守る風習があるらしい。

 空にぽかりと浮かぶ金貨に、ウサギが住むなどバカな事を言う愚か者たち。


 オイオイ、冗談はその哺乳類としてはありえない二足歩行までにしとけよ?

 当然ウサギより先に我輩達の仲間が定住してるに決まっておろうが!

 そんな事は常識だろう?

 なめるなよ人間め!


 そんな訳で、今日の仕事はハンティング。

 縁側などで無防備に放置されている団子をハントするのだ!


 そもそも最近の家には縁側があまり作られない。

 実用性を追い求めた結果、空間の無駄遣いと敬遠される。

 土地の少ないこの国では仕方のない事かもしれない。

 せいぜいキサマ等はウサギ小屋で満足するのだな!


 取りあえず、我輩の知っている家で縁側があるのはと・・・

 最近新築した八百屋に・・・ゴミバイク屋か。

 近いし、先ずはゴミ虫の家へ顔を出してみるか。



 家に侵入し、早速縁側に放置されている団子を発見する我輩。

 きれいな山積みとなっている。

 これになんの意味があるのかねぇ。


 {バシッ!}


 一撃ネコパンチ!

 ゴロゴロと廊下を転げまわるお団子。

 清潔な道路とゴミ一つない土の庭を歩いてきた前足でコロコロじゃれる。

 先程ウンコをつついたのはこの際大目に見るとするか。


 しかし食い物を備える風習は理解できても、この草はなんだ?

 枯れて今にも粉々になりそうではないか?


 うおっ!

 試しに触れたら分解して飛び散った!


 なんだこのフワフワは!

 我輩の耳や鼻の穴へ集中して入ってきやがる!


 ニャニャッ!

 何も臭わない!

 何も聞こえない!

 

 「ウニャアァァァァァアッ!!!」


 とうとう目にも!

 視覚も奪われてしまった我輩は大パニック!

 廊下をのた打ち回る!

 

 複数の家を回るどころか一件目にして大失敗!

 これではハンターの肩書が泣くぞ!?

 それにしても苦しい!


 「やかましいぞっ!!何の騒ぎ・・・・あれ?ニャゴローじゃないか??」


 ゴミ虫登場にも、それどころではない我輩。

 ゴロゴロ転がる事しか出来ない!


 「なんだこの有様は!・・ハハァ~ン、お前が悪さしたんだな?だから神様が怒って罰を与えたんだ。ススキの神がお前の穴という穴へ神罰を与えたんだろうよ。フッフッフ。」


 ふざけるなゴミ虫!

 この世に神などおるものか!

 寧ろ我輩を神と敬え!

 

 ・・・。

 ・・・・たすけて。

 

 「ニャ・・ニャンニャ・・・。」


 「・・・チッ!仕方がないな。かあさーーーーん!綿棒ないかーーーーっ!!」


 こうして事なきを得た我輩。

 偶にはこんなハートフルな話があってもいいだろう。

 そうは思わぬかゴミ虫よ?


 などと思ったお花畑で愚かな我輩。

 その後洗濯機で激洗浄と乾燥機で強制乾燥のコンボ!

 出来栄えは見事ふわっふわに!

 覚えておれよゴミ虫一家め!



 その日不思議と三河家の面々は、洗濯された我輩を随分と可愛がったのだった。

 『超キレイ!』と言われましてもねぇ。

 

 

 

 

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