吾輩は秋と戦うのである。①
秋。
生物にとって一年の中で最も重要な季節。
来る冬の為に食料を蓄える時期でもある。
野生動物にとって、冬は食料を手に入れる事が難しいのだ。
それは肉食動物や草食動物にかかわらず、どちらも同じである。
ある動物は冬眠の為。
また、ある動物は巣の中を食料で一杯に。
しかし人間とやらは少し様子が違う。
食欲の秋。
これはまあ分かる。
来るべき寒い冬を乗り越える為に脂肪の着衣を纏うのだな。
スポーツの秋。
確かに夏真っ盛りで行えば倒れる貧弱者もいるであろう。
それでも五輪などは夏行われるではないか?
冬季などそのままだし。
こじつけか?
旅行の秋。
別に秋でなくともいいではないか?
場所によっては木々が血の色に染まって美しいかも知れないな。
芸術の秋。
なるほど、クリエーター側から見れば動きやすい点があげられると。
それに塗料や土などの乾燥時間なども考慮しているのか。
鑑賞側からは別に秋でなくともよかろうに。
読書の秋。
ハァ?
これが一番理解できぬ!
別に季節など関係ないだろう?
題材として秋を取り上げるなら分かるが、それでも特別感は少ない。
寧ろクリスマスの方が豊富ではないか?
バカバカしい!
そういえば御子息の机にドストエなんとかやトルスなんとかが数冊あったな?
我輩に早く仕事をしろとでも言いたいのか?
ならば今回は読書関係の仕事に取り掛かるか。
以前あった三島誰やらやなんとか部公房とやらはビリビリにしてやった。
二種類あった村上誰やらもオシッコでべちゃべちゃに。
これが結構骨の折れる仕事で、猫の我輩でもそうそう出るモンではないぞ?
その為にどれだけ水を飲んだか・・・
丁度読書の秋などと言う言葉にイラついていたところだ。
今から仕事に励むとするか。
なにやら図書館とのシールが貼ってあったが、そんな事我輩には関係ないしな。
御子息の成長を促す為、ひとつ立ちはだかる壁を作るお手伝いをするか!
こうして今回も仕事に励む我輩であった。
その夜、トイレで一人泣く御子息の姿が見られたのは言うまでもない。




