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仕事猫ニャゴロー  作者: どてかぼちゃ
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112/218

吾輩は秋と戦うのである。②


 芸術の秋。

 我輩の得意分野である。


 絵画はゴミ虫バイク店といったキャンパスにペンキをブチまけて作る。

 するとアンディもチビるポップアートの出来上がり。

 しかしこれは秋に限った事ではないな。


 秋はこちらが本命か?

 畑や田んぼなどのキャンパスを見ると、俄然湧き出る創作意欲。

 特にこの時期になると首を垂れる稲穂がその合図を担う。


 早すぎると面白みのない作品に仕上がってしまう。

 かといって、遅すぎれば大きな戦車みたいなのがガリガリ刈って白紙状態に。

 タイミングが難しいのだ!

 収穫前が一番なのである!


 作り方はこう。

 まず稲穂の輝きを確認。

 金色に近くなればなるほど最高である。


 その巨大なキャンパスの為、近所の猫達にも創作のお手伝いをしてもらう。

 普通に理由を話しても手伝ってくれないからフィクションを騙る。

 田んぼの中にはカエルや野鼠、イナゴなどが大量にいるぞと。


 今年も夕刻の陽が落ちる直前に実行。

 前猫が突入するのを見計らって、我輩は近くにある電柱の上へ。

 隣接する畑やビニールハウスで使用するのか、必ずこういった場所にはある。

 しかも古臭い木で出来たやつが。

 おかげで爪を使って難なく上る事が出来るのだ。

 

 ひょいひょいっと天辺まで上る我輩。

 上から全体を見渡す形に。


 そこから人間には聞こえない周波数の鳴き声で指示。

 全猫達を思い通りに誘導。

 犬笛みたいなものが出す音だと思ってもらえばいい。


 声をあげる度、一斉に方向転換する猫の集団。

 彼等の通った後は稲が倒れてクッキリ跡が残る。

 ふむ、いい感じだ。


 小汚い野良猫達とはいえ、普段公園警備で我輩と鍛えているだけの事はあるな。

 その体力の無尽蔵な事!


 何十回とそれを繰り返して漸く出来上がる田んぼアート。

 この後毎回ヤツラに何もいなかったと詰め寄られるのだが、それはご愛敬で。

 どうせ次の日には忘れてしまうのだし。


 出来上がったのは素晴らしき幾何学模様。

 完全に陽が落ちてハッキリとは我輩でも分からない。

 それでもなんとなく陰影で形は認識できる。

 こうして今年も芸術作品を完成させた!

 

 だが一つ問題が・・・

 毎回の事なのだが、電柱を上るのは簡単だが、降りるときは非常に危険。

 駆け下りるのは当然無理!

 だから上る格好のまま。爪を使いゆっくり後ずさりするよう一歩ずつ・・


 「ニャッ!」


 しまった!

 後ろ脚と前足が同時に滑った!


 「ニャアアァァァァァァァァ・・・・・・ウグッ!」

 {ドスッベキボキッ!!}



 次の日町はミステリーサークルが現れたと大騒ぎに。

 その近くの電柱脇で発見された横たわるハチクロの猫に、誰もがこう思った。


 『宇宙人の仕業だ!キャトルミューティレーション途中で落ちたんだ!!』と・・・。

 

 

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