第二話 守備隊長
2人の戦いは最終局面へと突入していた。
リオ「喰らえ!<牙王>!!」
リオはそう叫ぶと、再びヒートに襲い掛かった。
ヒート「また同じ攻撃かよ!アホな奴だな。ならこっちも<痺火>!」
ヒートは迫り来る猛獣に<痺火>を放ったのだが...
リオ「遅い。」
ヒート「何!?」←目を見開いた。
ガブリ! リオはヒートに噛みついた。彼の鋭い牙は、ヒートの右肩に深く刺さった。
ヒート「うああああーーー!!痛え!!」←絶叫
ヒートは絶叫した。リオの牙が刺さった右肩からは、大量の血が流れ出ていた。
野次馬A「おいおい、大丈夫か!?もしかするとあいつ死んじまうんじゃ!?」←取り乱している
野次馬B「とにかく誰か治療できる奴を連れて来い!」
思いもしない展開に、野次馬たちはパニック状態に陥っていた。しかし、その中でレオンだけが冷静にこの状況を分析していた。
レオン「…(何故だ?リオって奴の動きが早くなったと同時に、ヒートって奴の動きが鈍くなったような気がした。もしかすると、あの<百獣王>って言う技に秘密があるんじゃないか?これは面白い。だが、ヒートって奴が気の毒だ。早く治療させてやらねば…)」
ヒート「ちくしょう!痛えじゃねーかよ!この野郎、いい加減に離れろ!!」
リオ「…」←噛みついたまま離れない。
ヒート「痛えって言ってんだろう...離れやがれ!<発火>!」
ボワッ!! ヒートの体が突然、火に包まれた。当然、彼に噛みついていたリオも火に包まれた。
リオ「なっ!熱っ!!」
リオはあまりの熱さに耐えきれず、ヒートからすぐさま離れた。
ヒート「ようやく離れてくれたな。俺が深手を負うなんて、予想外だぜ!」
リオ「ちっ!次は必ず仕留めてやる。」
ヒート「望むところだ!今度はこっちから行かせてもらうぜ!」
リオ「来いよ!返り討ちにしてやる。」
その時だった。この騒ぎを聞きつけた≪HEROES≫の隊員が、2人の元へ駆けつけて来たのは…
その隊員は、身長が190㎝ほどある大柄の黒人男性で、後ろに数人の部下を引き連れている。
隊長「君たち止めるんだ!ここがどこか知っているのか?ここは≪HEROES≫の本部前だぞ!そして今日は式典だ!君たちはそれを台無しにする気か?場をわきまえるんだ!」
リオ「黙れ!死にたくなければな!」
リオは、注意を呼びかけた隊長に対して、睨みを利かせながら罵声を浴びせた。
隊長「なっ、何だと?私は≪HEROES≫の守備隊長を務めている者だぞ!その私に対してその態度は許されぬぞ!」
リオ「聞こえなかったのか?死にたくなければ黙れと言ったんだ。それともあれか、貴様死にたいのか?」
隊長「なっ…(こいつのこの並々ならぬ殺気はなんなのだ?これがHEROになろうと言うのか… こいつはいずれ脅威に成り得る存在だな。どうする、始末するか。)」
ヒート「おい、お前の相手は俺だろ?よそ見すんじゃねーよ。あと、おっさん!今、超楽しくなってきたとこなんだ。少しだけ、黙っといてくれる?」
隊長「おっ、おっさんだと!?これでも私はまだ、28歳だぞ!」
ヒート「さてと、殺りますか!」←ニヤリ
リオ「叩き潰してやる!」←ギロリ
2人は隊長の話を無視し、戦闘態勢に入った。
隊長「おい!君たち聞いているのか?おい!」
レオン「守備隊長さん!あの2人に説得は無理ですよ。止めたいなら力づくで止めるしかありません。なんなら俺が止めましょうか?」←ニヤリ
隊長「くっ、それには及ばん。私が止める。」
リオ「喰らえ!<獅子舞>!」
リオは空高く飛び上がり、上空から襲い掛かった。
ヒート「上か、面白い!<火炎弾>!」
ヒートは右手を天に突き上げた。そして、吹き上げる炎を球体にし、それをリオ目掛けて放った。リオは迫り来る炎には目もくれず、獲物であるヒートのみを凝視していた。その為、リオが<火炎弾>に直撃することは避けられない状況となった。がしかし、この男が立ち塞がった。
隊長「止めろと言っているだろ!<鉄壁の守備>!」
ガイィィィィーン!!隊長はリオと<火炎弾>の間に入り込み、全身にバリアを張って弾き返した。
リオ「何!?」
リオは後方に吹き飛ばされ、そのまま地上へ落下した。
ヒート「わっ、ウソだろ!?」
ヒートも弾き返された<火炎弾>を受けて、後方へと吹き飛んだ。
隊長は全くの無傷で地上へと降り立った。
レオン「さすがは≪HEROES≫の守備隊長!なかなか強いね。」
隊長「私はこの場所を守らなければならないのだ。だから、当然誰よりも鍛えているよ。まあこれで一件落着だな。お前たちあの2人を医務室に連れてってやれ!」
隊員「了解しました。隊長!!」
指示を受けた隊員たちは、2人を5・6人がかりで押さえつけ、本部へと連行した。
隊長「そう言えば、君の名前を聞いていなかったな。周りの連中が慌てふためいている中、よくもあんなに冷静でいられたな。只者ではないな?」
レオン「俺の名前はレオン。別に大したことではないですよ。ただ、あの2人の戦いに興味があったから、ずっと見ていたのですよ。」
隊長「レオンか、覚えておこう。そして、彼らのこともな。」
レオン「隊長さんの名前をまだ聞いてないのですが…」
隊長「おっとこれは失礼、私の名前はガードナーだ。よろしくな!」
レオン「ガードナーさん、こちらこそよろしくお願いします。」
ガードナー「さてと、そろそろ入隊式が始まる時間だ。私はここで失礼するよ。君も早く行った方が良い。初日に遅刻は厳禁だからな。」
レオン「そうですね、それでは。」
そう言ってガードナーとレオンは別れた。そして、レオンは入隊式に参加した。
レオン「…。(リオとヒートか、あいつらは注目すべき存在だな。あとは、ガードナーさん。やはり、ここはレベルが高いな。これからがもっと楽しみだ!)」
レオンは実力のある同期、そして本物の隊員の力を目の当たりにし、高揚感を抱いていた。こうして、彼にとっての≪HERO≫物語は幕を開けたのである。
続く...




