第38話:未知との遭遇その2
「大学、か...」
界は夕暮れの街を歩きながら、小さく呟いた。街灯が点き始めた街は、橙色に染まっている。彼はシャツの袖を捲ったまま、電柱の側で空を見上げた。なんか空を見ていると、やけに自分が小さい存在に思えてきた。
そんなことを彼が考えていると、十字路の向こう側に人影が見えた。黒っぽい服装をしていて、落ち着かない様子で周囲を見渡している。何かあったのだろうか? 界は少し不審に思いながらも、人影の側を通り過ぎようとする。だが、その人物は彼に話しかけてきた。
「あの、すみません」
「はい」
界は振り返る。しかし、数秒後に彼の表情は凍り付いた。その人物は残暑厳しい9月にも関わらず、黒い長袖に白いエプロンを着けていた。そして漆黒のスカートにブーツ。つまりメイドさんの格好をしていたのだ。
まだそれだけなら良い。彼女の群青の髪の上には、円錐状の物体が乗っかっていた。どこか既視感のある形——ファイの角。
つまり、このメイドの格好をした少女はファイと同じく、宇宙人だということか!? 界は今すぐどこかに逃げ出したい気持ちになった。だが足がすくんでしまい動けない。
「えっと...何の用ですか?」
界は100%ファイに関する用事だと思いつつ、群青の髪の少女にそう尋ねる。彼女は帽子を角に乗せてから、口を開く。
「つかぬことをお訊きしますが」
「はい」
「ファイ・プロゲネディカ様と一緒にいらっしゃる、アガリザキ カイ様でいらっしゃいますか?」
「...え」
界はしばらくフリーズした。




