↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
35/56

第34話:素晴らしいアイデア

「はーい」

 ファイは不満そうに唇を尖らせる。界は仕切り直しだと言わんばかりに両手を叩いた。

「とにかく。夕飯にするぞ」

「今日は、どんなやつ?」

 ファイは瞳をキラキラさせながら、界の背中にくっつく。彼はそれを引き剥がそうとしながら、冷蔵庫の中を漁った。

「えっと...確か適当な食材があったはず」

 だが彼の予想を裏切り、冷蔵庫の中身は過疎化が進んでいた。最近買い出しをサボっていた弊害が現れている。

「...無いじゃねえか」

 界は考え込む。これはまずいぞ。まず自分もお腹が空いているし、ファイの無邪気な期待を裏切る訳には行かない。しかし冷蔵庫の中には冷たい空気と虚無感しか入っていなかった。東崎界、人生で5番目くらいの規模のピンチ。だがその瞬間、彼の脳裏に素晴らしいアイデアが浮かんだ。

「...あれを使えば」

 彼は流しの下にある物置から、2つのカップラーメンを取り出した。ファイは強い興味を示したらしく、彼の背中に覆い被さるかのように眺めていた。

「カイ」

「何だ」

「それは」

「カップラーメン。地球の便利な飯だ」

「便利?」

「まあ見てろって」

 界は電気ケトルに水を注ぐと、スイッチを入れる。ファイは小首を傾げた。

「カイ、何やってるの」

「これか? これは今、お湯を沸かしているんだ。そろそろできるぞ」

「チキュウの機械、凄い」

「...銀河の移動はできる割には、お湯を沸かす技術は無いんだな」

 界の小さな呟きを聞いたファイは、頬を膨らませた。

「む」

「...そんなに怒るなよ」

「それはそれ、これはこれってやつ」

「はあ」

「ワープ航法とかもできるもん」

「...でも電子レンジは無い」

「そんな古臭い機械は使わないし」

「でもお前は、地球の飯を楽しみにしてるんだろ?」

「...うん」

 界はファイの頭をわし、と掴む。

「それで良いじゃねえか」

「そう?」

「どんなに帝国の技術が進んでいようが、地球の飯が美味いことは変わらねえからな」

「カイ」

「何だ」

「たまには、良いこと言うね」

 ファイの真っ直ぐな瞳に見られた界は、頬を赤く染めた。慌てて話題を変えることにする。

「...そ、そろそろお湯が沸けたみたいだな〜」

「カイ」

「...何だよ」

「話題変えるの、下手」

「...ぐうの音も出ないな」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。