第26話:スマホは兵器?
「もう夕方か...」
界はベランダに立って外を眺める。東京郊外の空は、オレンジ色の夕焼けに染められていた。遠くから夕焼けチャイムの音が聞こえる。ファイは耳をそばだてた。
「防空警報!?」
「違う、夕焼けチャイムだ」
「...何それ」
「えっと...日没になると鳴り出すやつだけど」
「何の意味があるの?」
界は言葉を返せない。何故なら彼自身も知らなかったからだ。
「ちょっと待て。調べる」
彼はスマホを取り出すと、「夕焼けチャイム 意味」で検索する。するとAIがまとめた概要欄に、「防災行政無線の動作確認の為」と書かれていた。そうだったのか。
「カイ」
「何だ」
「その板は何」
彼女はスマホを興味深そうに眺めていた。どうやら帝国には存在しない機械らしい。
「スマホ。スマートフォン」
「ただの板でしょ」
「いや。地球人にとっては大事なものだ」
「そうなの」
「ああ。中にはこの機械が無いと生きられないほど、依存してる奴も居る」
「薬物じゃん」
「...確かに、な」
「じゃあカイもそうなの?」
ファイは不安げな表情を浮かべる。界がスマホを眺めているのを見て、少し寂しく思ったようだ。
「んな訳あるか。俺はスマホに依存していない方だと思うぞ」
「本当?」
「布団には持ち込まないって決めてるし」
「そうなの」
「ああ。だが確かに、依存してる奴も多いよな...どうすりゃ良いんだか」
「分かんない」
「...一応聞くが」
「ん」
「まさか、帝国の差し金じゃねえよな? 俺らがスマホを弄る所為で地球文明を駄目にしようとしているんじゃ...」
「そんな回りくどいことしない」
「そうか。安心した」
「帝国が攻め込む時は、電波で全ての金属を焼き払うから」
「...そうならないことを祈るよ」
界は部屋の中へと戻る。ファイもそれに追随した。
「ファイ」
「ん」
「夕飯作るが、何が良い?」
「チキュウの食事」
「それしか作れねえよ」
「じゃあ美味しいやつ」
「俺の気まぐれで良いってことか?」
「うん」
「分かった。じゃあピザにするか」
「ぴざ?」
「平べったい食べ物だ」
界はそう言いながら、ピザの出前を予約する為にスマホを点ける。
「えっと...サイズも色々あるんだな」
「サイズ?」
ファイは彼のスマホを覗き込む。
「美味しそう」
「まあ、ピザだからな」
「お腹すいてきた」
「今注文するから、もう少し待ってろ」
「承知」




