↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
25/54

第24話:第六世代と超新星爆発

「...いただきます」

「いただきます!」

 ファイと界は、昼食のパスタを食べていた。界は彼女がフォークをちゃんと使えるか心配していたのだが、指でつまんで食べているのを見て杞憂だったと思った。彼女にとっては、地球のお行儀など何の関係も無いのだろう。界は少しだけ羨ましい気持ちになった。

「カイ」

「何だ」

「これ美味しい」

「だろ。地球の伝統料理だ」

「伝統...?」

 ファイは訝しげな表情を浮かべる。帝国の方が長い歴史を持っていると言いたげだ。

「いやでも、俺らの伝統だからな。帝国とは違うけど、こっちはこっちで...」

「カイ」

「なんか言いたげだな」

「チキュウ人が生まれたのって、いつ?」

「...絶対負ける気がするから、お前の方から教えて欲しい」

 界の提案に、ファイは麺を飲み込んでから答えた。

「良いよ」

「よし。じゃあお前の種族(?)は、いつ生まれたんだ?」

 ファイは唇を指で拭いながら、口を開く。

「大体2000万年前」

「意外と最近だな」

「私みたいな円錐状の角を持ってるのは、第六世代って云うの」

「じゃあそれ以前は、第五世代だったのか」

「そう」

「よく分からないシステムだな」

「うん。カイの方は?」

 界は記憶の糸を辿る。確か、現生人類であるホモ・サピエンスが生まれたのは...

「...約20万年前だ」

 途端に、ファイは目をキラキラさせて喜ぶ。

「勝った〜」

「...そりゃ最初から勝敗は決まってたようなもんでしょ」

「第何世代?」

「知るか」

「角ってあったの?」

「...いや、ねえな」

「でもカイに角が無いのって、進化の過程で...」

「...そういう訳じゃないと思うけどなあ」

「そうなの?」

「うん」

「そっか」

 ファイは納得したか分からない表情で、パスタをつまむ。それにしても、このガキは美味しそうに麺を啜るな。界はいつの間にか、自分の妹を見ているような感覚になっていた。

「カイ」

「どうした」

「お腹いっぱいになった」

「...そうか、良かったな」

 界は内心、彼女にとっては腹いっぱいにご飯を食べるのが珍しいのかな、と思った。ファイは食いしん坊のようにお腹をさする。

「ファイ」

「ん」

「お前、やっぱりガキだな」

「む」

「...そうなると思った」


 その日の午後も、界とファイは帝国について一緒に勉強した。内容は主に、軍事史だった。ただ界は太陽系の宇宙史しか知らないので、よく分からない部分も多かったが。それでも、驚いた出来事は多々あった。

「ファイ」

「何」

「お前、超新星爆発って見たことあるか」

「ある」

「まあ銀河全体じゃ、よくあることか」

「あの時は死ぬかと思った」

「やべえんだな」

「でも1000年前の教訓のおかげで、何とか避難することができた」

「1000年前?」

「うん。あの時は、第61管区が全滅したんだって」

「それって、これか?」

 界は宇宙の図鑑を見せる。そこにはM1、かに星雲の姿が映っていた。

「これ」

「やっぱりそうか」

 かに星雲は、1054年に起きた超新星爆発の残骸である。その時の記録は、陰陽師からの話として藤原定家の日記にも記載してあった。

「俺らの祖先が、その爆発を記録に残しているんだ」

「へえ。そのくらいの知恵はあったのね」

「...平安時代の人たちが泣いてるぞ」

「でも、チキュウの人たちもちゃんと空を見上げてたんだね」

「そうだな」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。