第18話:ツングースカ大爆発
「植民地とかも、せいぜい近くの惑星でしょ」
「宇宙に植民地なんかねえよ」
「え」
「だってロケット打ち上げの度にニュースになるんだぞ。植民地ができるのは、あと100年くらい後だろ」
「ええっ!?」
ファイは髪を触りながら目を丸くした。どうやら信じられないらしい。
「嘘!?」
「嘘じゃねえよ。次いでに言っておくと、宇宙に行く軍も存在してない」
「え」
「紛争は地上で発生する。せいぜい軍事衛星を打ち上げているくらいだ」
「...産業革命起きてる?」
「おい、今のは聞き捨てならねえな」
「だって全然進んでないじゃん」
「俺に言われてもな...」
「だから帝国に自治領にされちゃうのよ」
「はっ!?」
今度は界が驚く番だった。
「ちょっと待て。つまり地球は帝国の支配下なのか?」
「勿論」
「でも侵攻とか無かったぞ」
「こっそり撃ち込んだの、120年くらい前に。でもチキュウの軍は隕石だと断定して、それっきり」
「それって、『ツングースカ大爆発』かっ!?」
界は頭がクラクラしてきた。あれって帝国からの侵攻だったのか?
ツングースカ大爆発とは、1908年6月30日に中央シベリアで起きた隕石衝突事案である。ロシアの山奥だった為死者はゼロだったが、沢山の樹木が枯れて生態系も破壊された。現代では隕石か彗星の衝突だとされているが、肝心の隕石が見つかっていないのである。
「結構大きなミサイルだったんだけど」
ファイはそう言いながらドライヤーを傾ける。
「いや無理があるわ! だってその頃なんて、ロケット研究すらされていたかどうか...」
「反撃能力とか無いの?」
「ある訳無いだろ...」
「で、当時の帝国宙軍はこの星をどうするか話し合って」
「なんか蚊帳の外なのがムカつくな」
「気付くまで待つことにした」
「...あと300年は気付かないと思う」
「...雑魚が」
「もう泣いちゃうからやめて...」
界は地球人としてのプライドが粉々にされた気分だった。




