いいの?
春休みに入ると、とくに予定もないので、男友達と暇さえあれば、遊んでいた。
愛依も、友達と遊んだりしていたみたいだ。
そしてそのまま、明日はそれぞれ別々の高校の入学式。
さすがに今日は、家でゆっくりしていた。
愛依は、元気かな…
何度も愛依に、元気?って言葉を送ろうとしては、消しての繰り返しをしていた。
すると、コンコンと愛依がオレの部屋のドアを叩いた。
「いる?いるよね?いるのは、知っている。早くでてきなさい」
と、くだらない小芝居が始まった。
「でないし、いるよー」
と、返すと
「知ってるよー」
と、ドアをあける愛依。
⁉︎
愛依…
その格好は…
…
「えっ⁉︎それ、高校の制服⁉︎」
オレは、驚いて立ち上がった。
「うん、そうだよ。明日は、朝忙しいから今記念撮影しよ?」
「あー、ならオレも着替えるよ。」
「うん!じゃあ、廊下で待ってるね」
「いいよ、オレの生着替えみてても」
「みませんー」
急いで着替えた。
そして、まさかあるなんておもいもしなかった、記念撮影が開始された。
「事故チューは…」
「しません」
事故チューなしの記念撮影だったけど、楽しかった。
あぁ、オレはこの写真を卒業式同様…何度もみては、ニヤけるんだろうなあ。
記念撮影会から、あっという間に数週間が過ぎた。
高校になると、さすがに下校時間が一緒になることは、ない。
なんなら、それぞれバイトもはじまり、休みも合わない。
なので、幼馴染なのにやっぱり疎遠になりつつあった。
さらに月日は、どんどんぐるぐるまわり、オレの誕生日がやってきた。
なんにもないだろうと思っていたが、愛依から、一番におめでとうをもらった。
なので、オレも愛依の誕生日には一番におめでとうをプレゼントしようと思う。
そして、夏が過ぎ…秋がいつのまにか終わり、冬になった。
そろそろコートが必要な時期だ。
愛依は、風邪ひいてないかな?
大丈夫かな?
心配になり、早めにコート出しときなよ?って連絡すると、まさかのクリスマスを一緒に過ごさない?と連絡がきた。
⁉︎
えっ⁉︎
クリスマスを一緒に⁉︎
いいん⁈
そりゃ、もちろんすぐさまオーケーした。
二人でどこにいくか、プランを考えた結果、恋人デートみたいなクリスマスになりつつあった。
そのまま、やっぱり告白してみちゃう?
いや、たぶん…絶対フラれるからやめておこう。
クリスマスデートみたいな素敵な一日は、あっという間だった。
また、おもいでと写真が増えた。
愛依とは、久しぶりに遊んだ。
連絡は、たまにとるくらいだけど、全くの疎遠ではないので、まぁ…よしとしよう。
バレンタインは、いつも義理と大きくかかれた手作りチョコをもらう。
なので、お返しに本命とデカデカかいたチョコを返す。
高校が別々でも、このやりとりは続いた。
そんなペースで高校三年間が過ぎた。
三年間とも、クリスマスを一緒に過ごした。
しかし、なんにもなかった。
いや、おもいでが残ったからいっか!楽しかったし。
ポジティブなオレは、そう考えることにした。
しかし…
これからは、そうはいかない。
だって…
オレは、行きたい大学が地元だからいいけど…
愛依は、県外の大学への進学が決まっている。
ほんとうに、これでさようならです。
「愛依、元気でな。なんかあったらすぐオレに言えよ?飛んでってやるから」
…
「そんなこと言われたら…離れがたい…」
「じゃあ、ここに残る?」
「それは…できないよ」
「だよな」
…
引っ越し最後の日、愛依は笑顔でオレに
「またね」
と言ってきた。
またね…
またねって言葉が、頭をぐるぐるとしていた。
またねって…
またね?なの?
またねって言葉は、意味深すぎる。
まあでも?さようならじゃないから、またねなんだろう。
うんうん。
そうそう。
…
…
大学生になると、それこそ会わない。
あたりまえだけど、朝も帰りも絶対会わない。
たまに、連絡はする。
でも、恋人じゃないから…
デートするわけでもなく…
業務連絡に近い連絡のみだ。
クリスマスも、ないだろうと諦めていた。
そりゃ…ね。
ないでしょうよ?って思っていたが、まさかのクリスマス一緒に過ごさない?と、愛依からの連絡が入ったときは、テンション爆上がりした。
バイトをしているから、オレはプチお金持ちだ。
愛依の住むところまでなんて、余裕で何往復もできる。
しかし、愛依はこちらに来るというのだ。
実家にも寄りたいからと。
なんとも親孝行な、よきむすめさんだ。
そして、恋人みたいなデートをする…プランなんだけど…
駅まで迎えに行くって、オレは迎えに行ったんだけど…
愛依がベンチで読んでいた本がまさかの…
彼氏との同棲、彼との付き合いかたって本を読んでいたんだ。
…
えっ?
オレの心がチクっといたんだ。
イタタタ…
風船が一瞬でしぼんだくらい、テンションがしぼんで、ベシャってなった。
そんなベシャっとつぶれたオレに気づいた愛依が、笑顔でこちらに駆け寄ってきた。
かわいいワンコかよ⁉︎
もう…
もう、このかわいい笑顔を向けてくれただけで、オレは満足だ。
「久しぶり!」
「おう、元気そうだな」
「うん‼︎」
「じゃ、いくか」
「はい!」
恋人だったら、手を繋いで歩くところだけど…
オレたちは、恋人でもなければ夫婦でもない。
いつも通りの会話から始まって、いつも通り、じゃあ、またねって帰っていく愛依。
愛依は…
彼氏がいるのかな…
いるだろうね。
でも、なぜ…わざわざオレとクリスマスデートなんて…
昔からの儀式的な感じなのかな?
儀式は、大事なんだよ?って、よく言ってたっけな。
魔法学校で習ったって言ってたな。
愛依…魔法使いじゃないけどね?
そもそも、魔法学校なんか、なくね⁇
…
気遣いなんて、いらないのに…
優しいやつだな。
彼氏にしたら、酷だけどね。
ごめんなさいね、彼氏さん。
知らない彼氏さんに、そっと詫びたクリスマスだった。
続く。




