結局
オレには、愛依という幼馴染がいる。
愛依は、とにかくドジっ子でよくつまずく。
家をでてすぐ…
「おい、大丈夫か?」
つまずいた愛依を助けていると、少し離れたところから、オレのとしの離れた妹の智奈がニヤニヤしながら、こっちをみていた。
「あー、イチャついてるー」
と、まさにお子ちゃま発言を投げてきた。
「…別にイチャついてるわけじゃないからな?」
「そ、そうだよ?智奈ちゃん…」
「えー、どうかなぁ?じゃあ、なんで二人とも顔真っ赤なのぉ?」
パッとお互い顔を見合わせ、ちょっと離れた。
…
「あー、これはたしかにイチャイチャかもな。愛依、オレと付き合っちゃう⁉︎」
「またそれ?付き合わないってばー」
「だよな」
と、こんな感じでいつも暮らしております。
オレは、いったい何度フラれたことやら。
なんなら、昨日もフラれたばっかりだ。
部活帰り、暗かったから一緒に帰ろうぜって言って、愛依と下校してたんだけど、車が来たから、こっち歩いてって安全な方を愛依に譲ったら、
「好きになっちゃうから、その優しいのやめてよ」
って言われたんだ。
だからオレは、好きになっちゃえばいいじゃんって返したんだ。
でも、それはダメなんだそうな。
魔法学校では、恋愛禁止なんだとか。
そもそも、愛依は…魔法使いでもヘビつかいでも、おつかいでもなんでもないんだけどね…。
まぁ、そんなこんなでいつもこんなだ。
そんなくだらないある日、愛依が風邪をひいたっぽい。
まだ熱も出てないけど、オレにはわかる。
愛依は、熱を出す前に必ずと言ってもいいほど、カラカラな変な咳をする。
「愛依、もうすぐ風邪ひくぞ?オレの上着着とけ」
「え、でも、部活帰りだし…汗くさく…」
「大丈夫だ。オレは、万年鼻詰まりだから」
…
「宏樹…ありがとう。」
「おー」
愛依がオレの上着をギュッと握りしめた。
そして、オレは空気をギュッと握った。
六時を知らせるメロディが、流れ出した。
「すき…」
…
「えっ⁉︎いま、なんか言った⁉︎」
「ううん、なんでもないよ」
「そっか」
今、すきって言われたかと思ったわ。
でも、そんなわけないし…なんなら、このメロディが好きだっただけかもしれないな。
「あ、そうだ。のど飴あるんだ」
ヒョイっと愛依に飴を渡した。
すると、オレの手もつかんできた。
⁉︎
驚いていると、愛依がクスッとイタズラな顔で笑った。
フッ、なんなんだよ。
オレも思わず笑った。
「もうそろそろ、受験だね?」
「そうだよなあ。やだなぁ」
「ねー」
オレと愛依の進路は、別々だ。
学力は同じくらいだけど、行きたい学校が違う。
このまま、幼馴染で終わっていくんだろうなぁ。
で…そのまま、やっぱり終わりました。
今日は、卒業式。
最後の制服が名残惜しい。
何度も締めたボタンも、今日で最後だ。
最後のボタンを締め終わると、トントンとドアを優しく叩く音がした。
この音は、愛依だ。
「おはよう。起きてる?」
「…あたりめーだろ。まだ寝てたら遅刻するわ」
「あは、たしかにそうだね。ドアあけてもいい?」
…
「もう、ほぼほぼあいてるくね?」
「あはは、宏樹って面白いねー」
「面白くねーよ。」
「そんな面白いあなたに、朗報です」
「人の話、全く聞かないよね。で、朗報ってなに?オレのこと好きになった?」
「写真とろ?一緒に」
「写真?」
「うん、最後の制服記念」
「あー、じゃあとるか」
「うん♡」
こうして朝から、記念撮影が急遽とりおこなわれた。
「どうする?カップルみたいにとる?」
「なにそれ?普通にとるよ」
「へー」
「ほら、笑って」
「「にぃーっ」」
カシャ
「オレのやつでも、撮っていい?」
「うん、いいよ」
「じゃあ、百枚とるからそのうちの一枚事故チューしようぜ」
「はあ?なに言ってんの。さっさと撮って学校行くよー」
「そうそう、おくれましゅよ」
いつのまにか、妹がドアの向こうからのぞいていた。
なので、急遽三人での撮影会もした。
「親子写真がとれてよかったね。お兄ちゃん♡」
「だれが親子だよ…」
「「「あはは」」」
賑やかな朝だった。
愛依とは、最後の登校だ。
なんなら、最後の下校もしっかりおぼえとけばよかったぜ。
今日は、お互いクラス会があるから帰りは、別々だ。
なんなら、もう…このままさようならの可能性だって…
…
このままさようならかもしれないので、楽しく登校した。
まぁ、いつも愛依といると楽しいけどね。
卒業式が終わると、皆での撮影会が始まる。
愛依も、オレもそれぞれ友達と撮影した。
そろそろ仲良し友達とも、写真を撮り終えたので、一度帰って支度しようかなと、帰ろうとしたら…愛依がやってきた。
そして…
「宏樹、またね」
と笑顔で言ってきた。
…
またね?
じゃあねとか、バイバイじゃなく…またね?
「おお、じゃあ…またな」
とりあえず返事をした。
またってことは、また今度ってことだよな?
なんだかホッとした。
これでさよならじゃないんだって。
続く。




