第44話 第四部 9『徳島インターハイの土産』
インターハイ徳島大会も最終日を迎え南ヶ丘の五人の挑戦が終わったが、この大会で彼らがつかみ取ったものは……。
インターハイ徳島大会最終日にも札幌南ヶ丘高校陸上部はしっかりと話題を提供してくれた。そう最後に話題を提供してくれたのは野田琢磨だ。
走高跳に出場した彼は予選を突破できなかった。だが、試合後のインタビューの数はダントツに多かった。今大会で混成競技を含めると走高跳にかかわった選手は男女で二百人ほどになる。しかしその中でベリーロールで挑んだのは野田琢磨を除いては他に誰一人いなかったのだ。高校生の大会では全国で99パーセントの選手が背面跳びになってしまった。北海道の大会でも野田琢磨のベリーロールは注目の的で全国誌にも取り上げられたことがあるのだが、やはり全国大会に出場するとなると、その注目のされ方も尋常ではなかった。
194㎝から始まって三回目の高さが予選突破となるので、200㎝を跳ばなくては決勝には残れない。二回目の高さである197㎝でもチャンスはあるはずだが、なんにしても197㎝という高さは簡単にクリアーできるものではない。案の定二組共に30人以上が挑んだ中で200㎝をクリアーできたのは8人しかいなかった。197㎝を成功した選手もわずか6人しかいなかったので、この高さを一回目と二回目で成功させた四人が追加で決勝進出となった。
そして最初の194㎝をクリアーできなかった選手が25人以上もいたのだ。その選手たちは全国大会にやって来て記録なしで終わってしまったことになる。野田琢磨もその一人である。記録なしで大会を去るのだ。彼らは練習の高さが自己記録に近いか自己新記録の選手が多い。野田琢磨も192㎝の自己記録を越える194㎝の高さをクリアーできず、札幌からこの徳島の地にやって来て一度もバーを越えることのないまま去らなければならなくなったのだ。
2mジャンパーにとってさえ、最初の高さが190㎝を越えるとなるとかなりのプレッシャーになってしまう。だからこの予選突破ラインはとても厳しい設定になっているといえる。走高跳はどちらかと言うと気軽に始められ、記録の向上も短期間で得られる種目だ。足の速さだとか筋力だとかがまだまだ発達途中の選手でも、ジャンプ力やタイミングのとりかた次第ではそれなりの記録が出てしまうことがある。しかし、そこからが本当の勝負で、専門的な鍛錬の積み重ねでしか結果に結びつかなくなる競技だといえる。そして、この予選の結果こそが全国大会なのだ。
タクの予選敗退で、大会初日から常に大きな声がスタジアムに響き渡っていた南ヶ丘の声援もこれで終わりになってしまった。そう思っていたら、野田タクは自分自信でしっかりと全国大会に出場した足跡をインタビューへの答えとして残していった。
予選敗退者に対するインタビューはあまり多くないはずなのに、陸上専門誌の女性記者は真摯に質問を投げかけていた。
「全国的に見ても珍しくなってしまったベリーロールですけれども、背面跳びに変えようと思うことはなかったのですか?」
今までに何度も問われてきた質問なので、野田タクは待ってましたとばかりに笑顔を振りまいている。
「はい、全くそんな気持ちはありません。人と同じだから良いというわけでもありませんし、自分にはこの跳び方があっていると思っています。古臭い跳び方にこだわっているとよく言われるんですけれど、それも自分の個性だと思っていますから」
「残念ながら予選は突破できませんでしたけれど、唯一のベリーロールの使い手として楽しみにしている人たちもたくさんいるんですよ。特に陸上に長い間かかわってきたうちの雑誌のカメラマンたちは野田君の跳躍を楽しみにしていたんですよ。何と言ってもベリーロールって見ていて楽しいですものね。野田君はまだ二年生ですから来年に期待していいいですか」
「はい、もちろんです。今回は初めての全国大会でしたし、僕自身まだまだ鍛錬が足りない状態ですから、来年までには上位を争える選手になって帰ってきたいと思います。僕の学校の仲間が優勝したり、入賞したり、素晴らしい成績を残してくれましたのでとっても刺激になっていますから。来年は僕自身もその仲間入りしたいと思ってます」
「そうですね、札幌南ヶ丘高校は男女の混成競技と女子の走り高跳びで入賞者を出していますからね。しかも八種競技の野田賢治君は大会記録で優勝していますから素晴らしいですよね。それに、来年の全国大会は北海道が会場ですものね……」
「……そう、ですよね……」
野田琢磨は実はこの事実を知らなかった。
ミックスゾーンのすぐ上でそのインタビューを聞いていた南ヶ丘のメンバーから笑い声が起きた。
「タックンしっかり!」
「タク、知らない、きっと」
「札幌南ヶ丘はかなり偏差値の高い進学校だと聞いていますけれど、全国大会でこれだけの成績を出すには何か特別な練習方法なんかがあったりするんですか?」
「はい、そうですね、まあ、特別と言えば特別なような気もしますね。例えば、冬季間は『沼田スペシャル』という練習パターンをしていました」
「沼田スぺシャル? ですか……。それは、顧問の先生の名前でしょうか?」
「そうです。僕たちは沼田恭一郎先生と隣の学校の上野悦子先生の二人に教えてもらっています。陸上の練習は特に変わることなく一般的な基礎練習が多いんですけど、冬の間は別な部活の練習に派遣されたりちょっと変わった練習をしてきました」
「別な部活に派遣、ですか? それはどういう……例えば?」
「そうですね、それぞれの選手に応じて沼田先生が振り分けてくれるんですけど、僕なんかはバスケットボールとハンドボール部に派遣されてしごかれてます。それと野球部とは雪中サッカーの定期戦をすることになってます」
「鉄棒だろタクー」
「縄跳びもだよタックン」
「豊平川」
インタビューを受けているタク以上にスタンドの部員たちが盛り上がってしまった。
野田琢磨は武部に匹敵するくらいの話し上手で、インタビューの記者の方も驚きを隠せない。
「あのー、さっきから声をかけてくれているのは仲間の人たちですか?」
「はい、もうこうやって毎日いじめられっぱなしです。でも、みんな優秀でいい奴らばっかりなので楽しい学校生活送れてます。僕たちはみんな北海道から長い時間かけてやって来ましたけど、このスタジアムではみんないい思い出と貴重な経験を積むことができたので、ここでの一日一日を決して忘れることはないと思います。そして、ここにいる仲間はみんな二年生なので来年の北海道インターハイではみんなして中央に旗を上げたいですね」
「……そうですか。みんな二年生だったんですね! それはすごいことですねー。……ああそういえばそうですよね。八種競技の野田賢治君は大会記録で優勝したので三年生かと思っていましたけれど、二年生なんですね。それと、女子の山野さんと川合さんも二年生で……、男子1500の中川君もそう……二年生なんですよねー。そしてあなたも、野田琢磨君も二年生なんだー。これはもう、すごいことじゃないですか! ちょっと気づきませんでした。いやー、札幌南ヶ丘高校はかなりハイレベルな進学校と聞いていたので、そのことにばっかり目が言っていたのですが、二年生なんですねみんな。これはすごいですねー!」
スタンドの南ヶ丘のメンバーが一斉に拍手した。
「もう一つだけお願いします。今名前が挙がっていた野田賢治君も同じ野田姓ですが札幌にはこの名字が多いのですか?」
「えー」
というスタンドの声を受けて野田琢磨がしっかりと話を返してくれた。
「いや、かえって珍しいかもしれません。それに二人とも札幌じゃないんです。野田賢治の方は岩内町の出身ですし、僕は札幌の近くの江別市から通ってますから。本当にたまたま偶然珍しいことに一緒の学校で一緒の部活になったということなんです。でも、なんかきっと運命的なことがあるんじゃないでしょうかね」
「そうなんですか。たいへんよくわかりました。それにしても野田君は話がとても上手ですね。南ヶ丘高校の生徒はやっぱり優秀なんですね」
「いや、普段はみんなバカなことやってます。その場に応じて対応するのは『自主自律』という校訓から身に着けていく僕たちの特徴かと思います。もっとも、話すのが得意なのはあそこでカメラを構えている陸上部専属カメラマンの武部君の方がはるかに上ですね」
南ヶ丘の皆が歓声を上げた。
「専属のカメラマンですか?」
「はい、あの、といっても本人が来たいから自費で来ちゃったんですけどね。カメラの腕はプロ並みです。話したりストーリーをでっちあげ、いや、そのストーリーを創り上げるのはもっと上手です。それで、将来は北海道知事になる予定みたいです」
また歓声が上がった。まるで学校祭のステージ発表の時のようだった。
「北海道知事ですか? もう将来の方向性が決まってるんですね! さすがですね。皆さんそんな感じなんですか?」
「まあ、大体ですけどね。どっちかと言うと家業を継ぐというか、僕とあと二人は親が開業医なので後を継ぐ予定ですし、もう一人は社長令嬢ですからどこかの御曹司に嫁ぐんじゃないですかね」
「まあ、ホントに? お医者さんが多いんですか。 野田賢治君も?」
「いや、アイツはもと網元の家なので、どうするんでしょうね。よくわかんないんですけど、アイツには誰もかなわないような日本を代表するアスリートになって欲しいですね」
「おー!」
という歓声とともにスタンドで大きな拍手が聞こえた。
「なんだかすごい人たちの集まりじゃないですか。もうほんとに来年の北海道インターハイが待ち遠しいですね。私も是非もう一度インタビューしたくなってきました。はい、決めました私は来年北海道まで飛びますから。またインタビューさせてもらいますよ」
また拍手が盛大に沸いている。
「是非、ぜひお越しください。えーと、『土生さん』でいいんですか?」
「はい!そうです。なかなか私の苗字は正しく読んでもらえなかったんですけど、さすがですね。そう言えば私と同じ年代の高校生クイズで南ヶ丘のチームが活躍していましたものね」
「鈴木さんでーす。うちの隣に住んでまーす」
山野紗季がしっかりとムードに乗って反応している。
「じゃあ、来年札幌でまた会いましょうね!」
「はい、来年もインタビューよろしくお願いします」
「ありがとうございました」
「ありがとうございました。じゃ!」
スタンドの南ヶ丘生徒たちからも「ありがとうございました」の声がかかり、土生さんは笑顔で手を振っている。野田タクもスタンドに手を振りながらミックスゾーンを後にした。こんなに長いインタビューをしている選手はいなかった。そしてこの話の一部はしっかりと陸上の専門誌で取り上げられることになり、野田タクは北海道の陸上界では有名人になってしまった。
当然のことだが、この場面を激写していた武部の写真は陸上部の部室にパネルにして貼られることになった。
全国大会最終日が終わり、夕食後ホテルのラウンジにいる沼田恭一郎と上野悦子の夫婦はやっと一息つける時間を迎えていた。午後11時を過ぎ真夏の徳島の暑さからも少しだけ解放され、8階にあるラウンジの大きな窓からは、ずっと遠くに真っ黒になってしまった瀬戸内海が見えていた。生徒を引率してきて一週間。こんなふうに穏やかな時間を過ごすことはなかった。もう明日は札幌に帰るだけになった。四国徳島までやって来て、生徒と一緒に戦ってきた二人の気持ちも少し緩んでいた。
「……前にも言ったけどね、去年の旭川で菊池美咲さんがノダケンの応援してる姿になーんか引っかかるものがあったんだよねー……」
「うん、そんなこと言ってたなー。岩内の小山に聞いていたこともあったしなー」
「やっぱり似てるものねーあの二人。それにしても……こんなことってあるんだねー」
「運命って言っちゃえば簡単なんだろうけど、すごいもんだな。おかげで俺なんかこの五日間でクッタクタだよ……」
「五人も連れて来たことなかったものね。去年はゼロだったし。その前は大迫君一人だものね」
「いや、それより、やっぱり怪我させてしまうってことの怖さだよ。去年の大迫についで今年もだからな……」
「でもノダケンは怪我してても勝ってしまった。そこが大きな違い。スポーツ選手がその後大きく成功するかどうかってこういう場面を乗り越えられるかどうかだよね。大きな舞台で活躍する人ってやっぱりこんなピンチを乗り越えてきた人たちなんだよ。みんなどこかの時点で何かあるんだ。でも、ちゃんとそれを克服できた人だけが成功者になれるんだよ」
「ああ、そうかもしれないな」
「『神は乗り越えられる試練しか与えない』っていうのを実践できた人だけが成功者になる。だから、ノダケンはすごいことになる……」
「それ、聖書の言葉だろ! お前の好きな新渡戸稲造はキリスト教徒だった? オレはカソリックの高校だったから宗教の時間ってのがあってさ、聖書でそのこと教えられたけどね。ほら『JIN―仁―』っていうドラマでも出てきてたろー」
「うん、新渡戸は札幌農学校の二期生だったからクラークさんとは会ってないんだけどね、クラークさんの影響は大きくてみんな改宗してたみたいだね。内村鑑三なんかもそう。でもこの言葉はね、キリスト教とは関係なく人の生き方として残っているから、よく言う『言霊思想』だと思うんだよね」
「そういうのも心理学的な学びなのか?」
「そればっかりじゃないけど、言葉ってやっぱり、中学生とか高校生ぐらいの子たちには大きく影響与えるからね。女の子なんかは特にすごい影響されやすいし」
「今日の野田タクのインタビュー聞いててさ、ちょっと場違いな雰囲気だったんで、俺やめさせようかと思ってたんだけどね、奴らの言葉遣いとか対応の仕方がすごすぎて口はさめなくなってしまった。インタビューしていた女性の記者の人も感心してたけど、ホントに頭いいんだよアイツら。予選落ちしてガッツリ落ち込んでるはずなのにあんな楽しそうにインタビューに対応してんだから!」
「あなたね、何年南ヶ丘にいるの、いまさらそんなこと感心してどうするんですか。みんなとっくに気づいてますから……」
「いやいや、あのね、今までも頭いい奴がいっぱいいたのはわかってる。武部美由起なんかホントに天才的に頭いいんだ。けどね、この五人はさ……、いやノダケン以外の四人はさ、見事にすごいヤツらなのさ。ちょっとしたことですぐにみんな理解してしまうし、一番いい対応するし、仲間を守ろうとするし、相手にも敬意を払ってるしさ……。もう、物事すっかり見えている奴らばっかりなのさ。高校生でこんなヤツラいないだろう、普通さ」
「うん、わかるよ。すごいよねあの子たち。でもね、ノダケンを除外する必要ないよ。学力的に他の子たちより低かったり話がうまくなかったりするけどね、理解力は抜群だよ。運動能力の問題じゃなくって、頭の中で理解して取り組んでいるもの。そしてね、喋りは下手だけどあの子がやろとしていることはちゃんと仲間たちに伝わってるんだよ。同意したときの顔の表情だとか、先頭に立って動いてくれたりすることを仲間はちゃんと理解しる。みんなそれがわかってるんだよね。だから、あの子の周りにはみんな集まってくるでしょ」
「うーん……そうなのかなー」
「だって、あの武部君とか中川君なんかがノダケンにベッタリでしょう。あの二人はどっちかって言ったら、ちょっと独りよがりの変わり者だったはずでしょう。武部美由起さんもそうみたいだけど」
「へー、さすがだね心理学専攻課程!良く見抜いたな。武部美由起は天才的に優秀だったけど、破天荒な奴だったからな。大森先生が担任でさ、いっつも愚痴ってたもの。『常識では測れねえ奴だ』ってさ。んで、去年弟の武部を担任してて『やっぱり兄弟だ』って言ってたからな。中川はアニメやゲームオタクでほとんど自閉症気味だったらしいし……」
「その二人がノダケンに惹きつけられて見事に変わったって話でしょ。だから、あの子の持ってる力って学力じゃ測れないものがあるんだよ。だってそうでしょう。去年からの南ヶ丘の陸上部、全然違う雰囲気になってるでしょう。気が付いてる? けっしてあなたのおかげじゃないよね。……ノダケンが作り出したんだよこの流れは。あの子が南ヶ丘陸上部を変えたの!」
「うん、そうかもな。いや、きっとそうだな」
「なんかが違うと思うんだよね。だってあの子とつながりがある人が多すぎるんだよ」
「つながりって?。あいつ岩内から来たんだぞ」
「いやそういうことじゃなくって。うーんと……、例えば山野さん。紗季ちゃんだけじゃなくて、山野さんの一族がノダケンのお爺さんたちとつながりがあったらしいんだよ。この前、紗季ちゃんから聞いた話だと山野さんのひいお爺さんがノダケンのお爺さんたちに助けてもらったことがあるんだとか。そしてね、ノダケンの下宿先の丹野さんも。武部君が京都の生まれで丹野さんと京都の話で盛り上がれる関係なんだっていうのよね。だから毎朝武部君がノダケンを迎えに行って、丹野さんとも京都の話をしているうちに彼のお父さんが丹野さんの実家とつながりがあることが分かったって……。そこまで行ったらなんか、ちょっと普通じゃない気、しない」
「まあ、たまたまそういうこともあるんじゃないか。縁があるってことだろうし……」
「いや、それだけじゃないんだよ。川合さんの妹……彼女がノダケンと書道のつながりで北園高校に行ったときに、たまたま彼女の尊敬する先輩がノダケンととっても仲の良い幼馴染だったらしいんだよね。でも、そんなのってある。そしてそして、その誠さんっていう人は菊池美咲さんのことを知っていてお姉さんだということをみんなに話してしまうことになるわけだよね。……これって、すごくないですか?」
「そうだな……。でも、そういうことなんだから事実でしかないだろう!」
「そうよねー……。でもね、こうやって考えてみるとね、ノダケンがこの学校にやって来て、ものすごく大きな転換が起きてるわけでしょう。それぞれの人生においてね。ノダケン自身もそうだし、周りの人たちみんなに、そしてあなたにもね……もちろん私も含めて。これってすごいことじゃない?」
「ああ、お前が運命論者だということは知ってたけど、なんか変だぞ」
「いや、こういうことってあるのよ絶対。それをいま私たちが初めて経験してるんだよ。今までもどこかで誰かはこういう経験をしてきたんだと思うの。歴史が動く時ってこういうことがあるんだよ。そして必ずこういう、池に投げ込まれる小石の役目をする人がいるんだよ。そして波紋はどんどん広がっていく」
「あのな、ミステリーとかファンタジーじゃないからね……現実を美化しない方がいい」
「まあね、考えすぎると変な方に行っちゃいそうだけど、楽しくない、こうやって考えてみると。あの子達にはこんなこと言えないけど、人の一生にはこんな素敵なことも起きると思えばいいでしょう? 今はホントに素敵なことが起きてるんだから。ねえ、そう思うでしょうあなただって?」
「まあな、そうかもしれないな。みんな面倒くせー奴らだけど、面白い奴らだし……って、お前アルコール入ってるだろそれ?」
上野悦子はアルコールに弱い。ビール一杯で寝込んでしまうような体質だった。
徳島インターハイの最後の夜は、南ヶ丘高校陸上部員みんなの心の中に大きなものを残したまま更けていった。そして、彼らだけじゃなく、大きな役目を終えようとしている二人の陸上部顧問の心にも大きな記憶として残る日々が終わったことを伝える夜になった。
『ノダケン』~南風の頃に~ 第四部 完
インターハイの終了で第四部も終了しましたが、すぐに第五部が開始されそうです。




