21.バーナム効果
「桐原、見てこれ!」
私は後ろを振り向いて、雑誌をばさっと机に広げた。
「〝あなたは本当は繊細で、でも周囲には強く見られがちです〟だって! 当たってると思わない!?」
桐原はページをちらりと見て、顎に手を当てた。
「ふむ。〝時に自信があるが、不安になることもある〟〝人に理解されたいと思っている〟……」
「やめて、全部私!」
心当たりがあり過ぎるの!
手で耳を押さえる。そうしたら、桐原が私の手首を掴んで……そっと下ろされた。
「それはバーナム効果だ、工藤」
桐原の眼鏡がキランと光った。
「バーナム効果……」
「多くの人に当てはまる曖昧で一般的な記述を、〝自分だけにぴったり当たっている〟と感じてしまう現象だ。それをバーナム効果という」
「でも当たってるのよ?」
「占い、性格診断、血液型診断などでよく見られる」
私は雑誌を手に取ると、指を差して桐原に見せつけた。
「けどこれ見て。〝あなたは本当は優しい〟って書いてあるのよ!?」
「大半の人はそう言われて否定しない」
「ぐっ……」
た、確かに!
桐原は淡々と続ける。
「〝あなたにはまだ発揮されていない才能がある〟とも書いてあるな」
「きっとあるわね!」
「それもほぼ全員に当てはまる」
むぅ。
私は桐原の机に突っ伏した。
占い、好きなんだけどなぁ。
「〝工藤は本当は繊細で努力家だ〟」
……え? いきなりなに?
「〝人に気遣い出来て、無闇に踏み込まない〟」
「ちょ、桐原?」
顔を上げると、桐原の口元が、ほんの少しだけ笑っていた。
「〝仲良くなると、大きな声で叫ぶように話す〟」
「私じゃない!! もう、それも結局バーナム効果なんでしょ!」
「いや。具体性があればバーナムではない。これは俺が工藤を見ていて思ったことだからな」
心臓が跳ねる。
ちゃんと私を見てくれてることが、嬉しい。
「〝工藤は笑うと可愛い〟」
「……ッ! そ、それはバーナムよね?」
「どうだろうな」
ず、ずるい〜〜……っ!
ーーー♡あやかメモ♡ーーー
*バーナム効果*
誰にでも当てはまりそうな曖昧で一般的な性格の説明を、「自分にぴったり!」と思い込んでしまう心理現象。
占いや性格診断でよく使われるテクニックなんだって。
でも、具体的で個別的な指摘はバーナム効果じゃない!
バーナム効果のない桐原の言葉は、心臓に悪過ぎるの⭐︎
ーーーーーーーーーーーーーー




