第二十二話 壁画
「さて、先の話を聞く限りお主に改心を求めるのはほとほと無理な話であるようじゃな。」
魔王は普段みせることのない冷たい瞳でロック鳥へと語りかけた。
「ひっ!!」
先ほどまでの威勢はどこへやら、翼を切り落とされ身動きの取れないロック鳥は完全に怯えた様子であった。
「この魔王様は歴代最強とうたわれた先代魔王を倒して魔王になられたお方。貴方程度の低俗な魔物が叶うわけないでしょう。──目障りです、もう消えなさい」
レノスはロック鳥にそう言い放つと、瞳を赤く光らせる。
そして自身の数倍の大きさがあるであろうロック鳥を軽々と持ち上げ、そのままゴミを捨てるかのように巨木の外へと投げ放った。
翼を失ったロック鳥は成す術なく落ちていくだけであった。
「レノスも能力が使えるのか?」
「うむ。魔物であっても人型で知能が高いものは能力が使えるものもおる。──と言うよりも、魔物の定義も神が決めたものだ。それ故に、魔物だから能力使えないと言うのはちと違う。獣人族は神を信仰しなかった、だから人型にも関わらず魔物に分類されてしまったのじゃ。仮に神を信仰していれば人側の種族として扱われていたであろうな」
「なるほどな。──それはそうとお前がみせたさっきのひずみのようなものはなんだ? お前が剣を抜くのを見たのは初めてだったが」
「すごかったじゃろ? 我のとっておきの技じゃ! あれは『時間進行』で空間の一部の時間だけを急激に進めるとあのひずみが起こるのじゃが、なぜ起こるのかはさっぱりわからん!」
魔王は得意げにそう語る。
そしてユーマはいつものように聞き流す。
「そうか。──それでここがダンジョンの最上部のようだが……」
「特に祭壇がありそうな雰囲気はないのう。レノスよ、コボルトは何か知らんかのう?」
「──聞いてみます。少々お待ちを」
レノスはそう言うと、物影で怯えていたコボルトに話しかける。
「がうぅ、がう!」
「がう、がうぅう! がう」
そしてレノスはコボルトの言葉を使って情報を聞き出した。
「どうやら正面の扉以外にも出入り口があるようです。コボルト達はそこから出入りしていて、そこには何か壁画のようなものがあると言っていますね」
「ほう。確かに巨木の入り口はツルで覆われていて誰かが出入りした形跡がなかったな」
そしてユーマ達はコボルトの案内でコボルト達が利用する隠し通路へと案内された。
最下層から地下へと下る道があり、その先には人が十人ほど集まれるような小さな広場があった。そこは坑道のダンジョンの先にあった祭壇と同じく、壁には天使などの彫刻が数多く施され先ほどまでの巨木の幹で覆われたダンジョンとは全く異なるものであった。
「これは間違いなく神に関するもののようじゃな。しかし、相変わらず悪趣味じゃのう」
魔王は
そしてコボルトの話通り、壁面には彫刻のほか壁画のようなものが描かれていた。それは壁画と言うよりも地図に近く、またそこには壁画の内容を説明するかの如く神聖文字も描かれている。
「──これか。どうやら神聖文字で書かれているようだが……レノス、解読出来るか?」
「はい。やってみましょう……」
そうしてレノスは壁画をまじまじと見つめ、内容の解読を始めた。
「……この壁画はどうやら神具が隠されている三つのダンジョンについて記されているようです」
レノスの解読によると、大神殿を中心にして東・西・南と大神殿を囲むように神具が祀られている。そして、それらを納める聖殿は坑道のダンジョンと巨木のダンジョンとの間に位置しているようだ。
これは最古の魔王がつくったダンジョンの位置とも整合しており、残り二つの神具が祀られているダンジョンは湖と火山のダンジョンであると言う。
「あとは聖殿だが……何か心当たりはないか? 位置関係から察するに王都が関係しているようだが」
「そうですね……この壁画に描かれている聖殿は王都で間違いありません。──今ではもう知るものは少なくなりましたが、現在の王都は元々最古の魔王の居城であったと言われています。」
「ほう。それは知らなかったな。──とすると、王族も神とつながりがあると?」
「はい……おそらくは何らかのつながりがあるのは間違いないでしょう」
「そうか……はるか昔から神に支配され続けてきたということなのだな」
「じゃが、神はなぜそんな回りくどいことをして信仰を集めるようなことを? そんなことをせずとも自然と信仰が得られそうな気もするがのう」
「そうですね……これも詳しくはわからないのですが、他国の神が関係していると聞いたことがあります。お互いが競うようにして信仰を集めていると」
「ふむ。なるほどのう──」
こうしてユーマ達は残り二つの神具と聖殿の情報を得ることができたのであった。
お読みいただきありがとうございます!
面白いな、続きが気になるなと感じていただけたのならば、是非とも『ブックマーク』や『評価』をいただけると嬉しいです!
評価はページの下側にある【☆☆☆☆☆】をタップ、もしくはクリックしていただければ可能です。
今後も面白い話を提供させていただきますので、是非ともブックマークで追いかけていただければと思います!
ユーマと(ポンコツ)魔王の物語に引き続き応援をよろしくお願いします!!
ご意見・ご感想もお待ちしております。どうぞお気軽に!




