第十七話 神の僕
神官長はにやついた顔でユーマ達を見つめている。
「やれるものならやってみるといい。絶望するだろうがな」
「──!」
予想外のユーマの言葉に神官長はその顔を一瞬強張らせた。
そしてユーマは神官長に向かってゆっくりと近付き始めた。
「よかろう。ではご希望通り死ぬが良い!!」
神官長のユーマに向けた指した指から連続して光線が放たれる。
その光線たちは音もなくユーマを襲った。
だがユーマの歩みは止まらなかった。
「な、なぜだ!! なぜ!!!」
神官長は連続して光線を放ち続けている。
しかしその光線はユーマの眼前で散るようにして消滅していたのであった。
そしてユーマは神官長の眼前に辿り着いた。
「どうした? 処分するのではないのか?」
ユーマは神官長を鋭い目つきで睨みつける。
「──ひっ! そ、そうだ! 透明になれば!!」
ユーマの威圧感によって臆した神官長は、透明になって逃げ出そうとした。
しかしその姿が消えることはなかった。
そしてユーマに足払いをくらわせられ、地面へと倒れ込んでしまう。
ドサッという音と共に、地面へと這いつくばる神官長。
咄嗟に体の正面をユーマの方へ向けると、その手を後ろ手にし這ったまま後ずさりし始める。そうして壁際まで追い詰められてしまった。
ユーマは剣を抜き去り、神官長の首へと剣先を向けた。
「──な、なぜだ! なぜ私の姿が見える!!」
「『光』を操れるのがお前だけだと思っていたのか??」
「そ、そんなことがある訳ない! 神聖な『光』は神から選ばれしものにのみ与えられるもの!」
「そうか。なら俺もその神とやらに選ばれたのだろうな。──それで、だ。神に選ばれた俺は神に会ってみたいと思うのだがどうすればいい?」
ユーマは神官長に向けた剣先を喉に押し付けるように突き付けた。
「神に?? 何を馬鹿なことを!! 貴様らのような悪しきものに教えてなるものか!!」
「それは残念だ。おい、魔王。出番だ」
魔王はユーマの声に応じ、神官長の頭へと手を置いた。
「──偽物の魔王なんぞに私は決して屈さぬぞ!!」
「偽物?? 訳のわからぬことを言う奴じゃ……」
そして魔王の瞳が赤く光る。
すると神官長の体がみるみるうちに歳老いていった。
「リスタという神官から報告が上がっているのであろう? 話す気になったかのう? これは戻せぬぞ」
「ふん。貴様らには屈しないと言っただろう。ここで命を落とそうとも決して話はせん」
神官長は覚悟を決めた様子だ。その顔からは一切の怯えが消えていた。
「──どうやら脅しは効かないようだな。では最後にこれだけは教えてくれ。あの村を襲ったのはお前の指示か?」
ユーマは怒気を強めて神官長に問いかける。
「ああ」
神官長は素っ気なく答える。そしてその言葉に呼応するように、ユーマの顔は憎悪に満ちたものに変わる。
「そうか。ならば死ね」
ユーマは神官長の頭上へと剣を構えた。そしてそれを振り下ろさんとした瞬間、魔王がユーマの手を取った。
「こやつはまだ何かの役に立つかもしれん。それにこやつ程度を殺すのはいつでも出来るのじゃから、殺すのは使い尽くしてからでも良いのではないかのう??」
しかし、ユーマは憎しみの感情が優っているようだ。振りかざしたその手を収めようとはしなかった。
その時であった。ユーマ達の背後から突如として女性の声が聞こえてくる。
「そんなやつ殺しても何の価値もないわよ? でもね、教会の傀儡としては便利だから死んでもらうと少し困っちゃうのよ」
ユーマ達は咄嗟に後ろを振り返る。しかしそこには女性の姿など見当たらなかった。
そして再び正面へと視線を戻すと、壁際に追い詰めていたはずの神官長の姿がなかった。
「──!?」
ユーマは咄嗟に辺りを見回す。
すると建物の入り口付近に神官長を抱えて立っている女性の姿があった。
その女性は腰まで届くほどの長髪で、美しい金髪をしている。そして透き通るような青い大きな瞳が女性の白い肌の中で映えていた。
「お前は……?」
ユーマは女性に問いかける。
「──私は神の僕。貴方達、人とは一線を画すもの」
女性はそう言うと、自身の背から翼を生やす。そして神官長を抱きかかえたまま飛び立って行ったのであった。
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