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第十五話 大神殿

「これがクレアの言っていた神官しか通れない森か?」

 森の入り口には何かを示すかのように、天使をモチーフにした石像が置かれている。そして街道の先は濃い霧で覆われており、二歩先の足元も見えないほどであった。


「しかし悪趣味じゃのう……。この天使、そんなに気に入っているのかのう?」

 魔王はそう話しながら天使の石像に手を触れる。瞬間、天使の石像の瞳から淡い光を放ち始めた。


「──おおっ!?」

 咄嗟に魔王が石像から手を放し、その体を仰け反らせる。

 すると不思議なことに、今まで森を覆っていた霧がすっきりと晴れ始めた。


「おい、魔王。何をした?」

「いや、さっぱりわからん」

 魔王は首を思いきり横に振りながら答える。


「まあいい。進めるのならば進むだけだ。いくぞ」

「うむ」

 そうしてユーマ達は街道を先へと進んで行った。


 そして森を抜けた先に、大神殿が姿を現す。

 大神殿は小高い丘の上に鎮座していた。今までの教会とは規模がはるかに異なり、一つの街はあろうかと言うほどの規模だ。

 大神殿入り口には大きな城門が設けられ周囲は石造りの城壁が囲われていた。それは神殿というよりも、牢獄に近いほどに外部と隔絶した独特の空間が形成されているのがわかる。


「天使のレリーフ……あれが大神殿か」

「うむ。そのようじゃのう。ここからでもわかるくらい神官風のやつらがうじゃうじゃおるのう」


 ユーマ達のいる街道からは大神殿の中の様子が少しだけうかがうことが出来た。

 そして大神殿へと近付くにつれて、その全容が露わになる。


 大神殿は城壁の中にいくつもの建物を有しており、その一つ一つが教会と同等程度の大きさであった。そして、中央に鎮座する一番大きい建物は、石のほか、硝子もふんだんに使われており、かなりの金と労力がこの建物に使われたことがうかがい知れた。

 そして大神殿の中にいるのはそのほとんどが神官のようだ。城門の脇に二人の立哨(りっしょう)が、城壁の上に数人の見張りがいる。


「どうせ騒ぎになるんだ。正面から行くぞ」

 ユーマはそう言うと、城門に向けて駆け出した。


 立哨(りっしょう)達は森から飛び出してくるユーマ達の姿をすぐさま確認し、警告を放つ。

「なんだ貴様らは!! 止まらんと敵とみなし排除する!!」

 だがユーマ達には足を止める気配がない。


「──敵襲!! 敵襲だ!!」

 立哨(りっしょう)達の警報により、城壁上に砲台が出現した。警報から迎撃準備までの動きはスムーズで洗練されており、練度の高さがうかがえた。


 そして次の瞬間、「撃て!!」の合図とともに、空気を吹き飛ばすほどの爆音が辺りにこだまする。

 砲台から砲弾が発射されたのであった。

 けたたましい音を立てながら砲弾がユーマ達を襲う。


 しかし、その砲弾がユーマ達へ届くことはなかった。

 砲弾がユーマの剣の間合いに入った瞬間、ユーマは剣を抜き、砲弾を切り裂いた。

 真下から斬り上げるように放った剣筋に沿って、砲弾は真っ二つとなり、ユーマ達の後方へと被弾する。


「──なっ!!」

 立哨(りっしょう)達が驚くのもつかの間、次の砲撃準備が整わないうちにユーマ達が城門へとたどり着いた。


「少し眠っていろ」

 ユーマはその言葉と共に、立哨(りっしょう)達の頭に軽く触れ、その意識を奪う。そして立哨(りっしょう)達の体を城門の外へと投げ捨てた。


「魔王。やれ」

「うむ」

 ユーマの合図を受けた魔王は城壁にその手を触れた。そしてその瞳を赤く光らせる。

 すると、城壁を構成する石材達がボロボロに風化し始めた。


 瞬間、城壁の一部が音を立てて崩れ始める。そしてそれに連鎖するように前面の城壁が全て崩れ落ちた。

 轟音と砂煙が辺り一帯を包み込む。


 ユーマ達が砂煙の中から姿を現すと、そこには敵襲に気付いた数十人の神官兵達が集まっていた。

 神官兵達は全ての建物から続々と溢れ出す。


「貴様らの目的は何だ!? ここが大神殿と知っての所業か!」

「神官長に会いに来た。神官長はどこだ?」

「──!! 我ら神官兵はその全員がBランク以上の能力(スキル)持ちだ。貴様らに勝ち目などない!!」

 神官兵はユーマの言葉に応えるように刃を突き付ける。


「……そうか」

 ユーマはその手に構えていた剣を地面に置くような仕草を見せる。


「物分かりが良いではな──!?」

 神官兵がその言葉を発しきる前に、その体は宙に浮かび始める。

 周囲に集まっていた神官兵達も同様に、皆揃って宙に浮かび始めていた。


 そして神官兵達の体は横向きに水平状態となり、人の頭ほどの高さまで浮かび上がる。


「な、なんだこれは!?」「おおお!?」

 宙に浮かぶ神官兵達は手足をばたつかせ態勢を整えようとするも、その手足は虚しく空を切るだけであった。

 うつ伏せ状態の者もいれば、仰向け状態の者もいる。驚きのあまり手にしていた武器を落としてしまう者も多数存在していた。


「──さて、どうするか?」

 面を上げたユーマの瞳は赤く輝いていた。

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