覚醒
自分でもびっくりなことに話によってヒロインの名前が「シーア」だったり「シーラ」だったりしていたので、「シーア」に統一しました。確か初期設定では「シーア」だったはず…。
「ぐぅ。なんだこの光は!」
村長が顔を手で覆い目を細める。
「眩しい!」
「目を開けれねぇ。」
他にもニブラやラッスンを始めとした村人たち、そして駆け付けた兵士達が、ソルト達を助けに怪物の所に向けて走っていた。
その途中、目的地の方から強い光が発生し、村長らを襲ったのだ。
「いったい何が…。」
村長が顔をしかめ言う。
「確か、シーアがソルトを突き飛ばしてソルトが叫んだとたん、光が発生した気が。」
ニブラが眼を瞑りながら言う。
「むぅ、光が収まってきたな。」
村長がゆっくり目を開ける。
「……ぬぅ!?」
村長が驚きの声をあげる。
「あれは…?」
ニブラ達も目を開けて、ソルト達を見て声をあげる。
彼らの目線の先には、怪物に対峙する、光り輝く人間が立っていた。
「あれは…………もしかして……」
世 界 防 衛 開 始
「シーア…?」
ソルトが声を漏らした。光が収まった後に目を開けると、目の前に光り輝く人間が立っていた。
その人間は体に光輝く鎧を着て、左手に光り輝く盾を持ち、右手に光り輝く虹色の剣を持っていた。
そして、その顔はどこからどうみてもシーアの顔だった。
「!?」
シーアの頭上にはいつの間にか神殿で貰った名前しか書かれていない紙が浮かんでいた。
「なんで…?」
紙に光が集まり始めた。白い紙に金色の刺繍が施され初め、そして何も書かれていないアビリティの欄に文字が浮かび上がった。
『シーア・ハテハテ 聖なる守りて』
「聖なる…守りて…?」
ソルトが唖然とした声を出した。
「クギャアアアア!?」
突然の光りにシーアに驚いた怪物。怪物の持っていた槍の先は折れてなくなっていた。
「ギャアアアアアアアアアアアアア!」
己を鼓舞するためか、大声をあげ、攻撃するために右手を挙げる怪物。
「っシーア!」
ソルトが思わず声をあげる。
「はぁ!」
シーアは怪物の振り下ろした腕を盾ではじき返した。
「グガアッ!?」
思わず体勢を崩し声をあげる怪物。
「はっ!」
「グギャアアアア!?!?」
シーアはそこをすかさず、足を一歩踏み込み剣で右上に切り裂いた。
切り裂かれた怪物は後ろ向きに倒れた。
「っ!ソルト!」
それを確認したシーアは、いまだに血を流しているソルトに駆け寄る。
「待ってて!すぐに癒すから!」
そういってシーアは剣を構え眼を瞑る。祈りを捧げているように見えた。
そして、
「はあああああああ!」
光輝いた剣を大きく横に振りぬいた。剣先からでた光がソルトを包み、ガトを包み、ジャニアスを包み、そして兵士を包んだ。
「痛みが…引いていく…?」
つい先ほどまで背中に感じていた熱くにぶい痛みがどんどんなくなってきた。それと同時に意識もはっきりする。
「ソルト、大丈夫?」
シーアがソルトの顔を覗き込む。
「!」
シーアの顔をまじまじと見つめるソルト。なんだか彼女の顔つきが変わっていたのだ。特に目が。いつも眠たそうなとろんとした瞳から意志の強いキリリとした瞳に変わっていた。シーアであってシーアでないみたいだった。
「どうしたの?まだ意識がはっきりしない?」
シーアが心配そうにソルトに声を掛ける。
「い、いや。大丈夫だ。それより、本当にシーアなのか?」
ソルトが思っていたことを口にした。
シーアは少し目を見開き。
「ええ、そうよ。商人の息子ソルトの婚約者のシーアよ。」
とここでシーアが微笑み、
「これからもよろしくね、旦那様。」
「!?」
そういってソルトを抱き寄せ、くちづけをするシーア。
「じゃあ、まだあの魔物を倒し切ってないから行くね!」
呆然とするソルトを置いてシーアは怪物の方に走っていった。
世 界 防 衛 中
「グギャッ!」
シーアが戻ると同時に起き上がる怪物。
「さぁ、世界に仇名す魔物よ!かかってきなさい!」
「グガアアアアアアア!!」
怪物改め魔物はシーアが挑発すると同時に、腕を振り上げシーアに襲い掛かった。
「ふぅ、はぁ!」
それを盾で防ぎはじき返す。
「ていやっ!」
そしてバランスを崩した魔物を切りつける。
「グギャアアアァァグウアアアアアア!」
更に激昂し荒々しく襲い掛かる魔物。
「せいっはぁっそいやっ!」
先ほどと同じようにシーアは盾で防いではじき、剣で切りつける。
「グガアアアアアアアアアア!」
「はぁっそれっはっ!」
防ぎ、はじき、切りつける。
「ギャアアアアアアアア!」
「はいっとうっしっ!」
防ぎ、はじき、切りつける。
盾も剣も初めて持つはずなのに、見事に使いこなすシーア。
「「「「「「…。」」」」」」」
その美しい舞を踊っているかのような攻防に怪我から回復したソルト達や、追ってきた村長らは声を失っていた。
「グギャア、グギャア、グギャア。」
荒い息をする魔物。明らかにダメージが蓄積されていた。
「そろそろとどめいくわ。」
そういってシーアは剣を構え、目を瞑り祈りを捧げる。剣に光が集まり虹色に発光し始める。
「グギャアアアアアアアアアア!!!!!!!」
魔物も次が最後と悟ったのか、大きく咆哮をあげる。
今まで以上に腕を振り上げる魔物。
「…っ!」
シーアが目を開けた。剣にはこぼれんばかりの光が集まっていた。シーアは剣を空高く構える。
「グギャアアアアアアアアアア!!!」
魔物は最後にもう一度咆哮をあげ、シーアに飛び掛かる。
……ガンッ
「グギャアアア!?」
魔物が驚きの声をあげた。魔物の渾身の一撃は、
シーアの盾に防がれていた。
「ガガガガガガ」
最後はシーアも盾で防がず、剣で切り交じるのだろうと思っていた魔物は悲痛な声をあげた。
「せいっやああああああああああああ!」
「グギャアアアアアアアアァァァァァァァァァァ……。」
最後にシーアが空高く掲げた剣を振り下ろし、魔物の身体を切り裂いた。
魔物は断末魔をあげ、やがて、息を引き取った。
「……。」
「……。」
「……。」
「……わっ」
「「「「「「「ワーーーーーーーーーーーー!!!」」」」」」」
馬車置き場に盛大な歓声が巻き起こった。




