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第73話 また今度!

「アハハー! おにーさんやーらしー!」

「い、意外と手が早いんですね……」


 サツキエルが笑いながら俺の背中をバシバシと叩き、ポポンが俺を警戒するかのように俺から距離を取った。


 待って。

 そんなつもりは全くないから……


「あ、そーだ。おにーさんたちはどうなの? これからみんなで打ち上げも兼ねてゴハン食べに行こうって話してたんだけど。今のトコ参加はアタシとエロイーネちゃん」

「へ!? 私もですか!?」


 びっくりするエロイーネにサツキエルが「かくほー」と言いながら抱き着く。


「だってエロイーネちゃん。ポポンちゃんと違って何か予定があるってわけじゃないんでしょ? 反射的に断った感じだったし」

「ぎく」


 声に出ちゃったよ……


「というわけで現在参加は二人だけなんだけど。二人はどう?」

「……俺はアナに任せるよ」


 ダンジョン配信者の打ち上げに、今回サポーターだった俺一人だけで参加するわけにもいかないし。


 交友関係を広げるチャンスという見方もあるが、さすがに女子会みたいなメンツの中に男一人で混ざれるような根性はなかった。


「申し訳ございませんサツキエルさま」


 なので俺は判断を仰ぐようにアナの方を見ると、アナは残念そうにぺこりとサツキエルへ頭を下げた。


 そしてササっと俺の腕に抱き着いて、一言。


「夜は、()()()のお夕飯を準備しないといけませんので」

「「「……おー」」」

「飯の誘いで飯を理由に断るな」


 しかもなんで俺限定なの?


 そしてみんながなぜか感心するかのように声を上げてるし。


 何より、俺を「断る理由」にされるのはゴメンである。


 頬を赤らめながら腕に抱き着いてくるアナの額へデコピンをして、俺は彼女を引きはがした。


「夕飯って、俺だけじゃなくて()()()()()()()()()()()だろ? 最近ずっとアナが作ってたんだから、今日くらい他の奴が代わったっていいじゃないか。何なら俺がやるし」

「イロウさまの手料理ですと!?」


 ぐいっと引きはがしたはずのアナが顔を近づけてくる。


「むしろイロウさまの手料理に興味深々なのですが!」

「お前はトースト一枚な」

「ご無体なあああああぁぁ!!」


 アナはがくんと膝を突いて泣き崩れた。


 ……そんなに?


 自慢じゃないが、アナの料理の足元にも及ばないぞ? 


 野菜炒めとインスタントの味噌汁くらいが精一杯なんだぞ?


「ひゅーひゅー、そんなにお熱いならアタシたちは邪魔しちゃうね」

「はい……お幸せに」

「お夕飯、お風呂……それとも、わ・た・し? ――フフ、流石はボクのライバル。すでにお相手と熱い関係を築いているだなんてうらや――素晴らしいね!」


 エロイーネさんは配信時のスイッチを入れ直さないでください。


 からかうような口調ながらも、こちらの事情は察してくれたのだろう。


 サツキエルは残念そうにエロイーネから離れた。


「ざんねーん。エロイーネちゃんとサシも悪くないけど、せっかくなら人数多い方が楽しいし、またあらためて誘うね?」

「は、はい! その時は必ず!」

「わ、私も……」

「ええ。もちろんです」


 ポポン、エロイーネ、アナの三人がそれぞれ頷く。


 続けて、サツキエルは俺の方へ悪戯っぽい笑みを向けた。


「その時は、とーぜんおにーさんも一緒にね?」

「……あの男性陣と一緒なら」

「んー、それはおにーさんの態度次第かなー?」


 ニヤニヤとあからさまに悪だくみするサツキエル。


 ……面白そうなオモチャを見つけたような目で俺を見ないでください。


「サツキエルさま。イロウさまは渡しませんよ?」

「ちぇー、セキュリティげんじゅ~だぁ」


 ニコリと(目は笑っていない)するアナの忠告に、サツキエルは「冗談だってぇ」と態度を裏返した。


 た、助かった……?


「でも、女の子で囲んで調子よくさせたらこのおにーさん、チョロっと雰囲気に流されたりしそーじゃん? アナちゃんもシたいことあったら協力してあげてもいーよ?」

「……その話、詳しく聞かせてください」

「聞くな聞くな」


 そして目の前にターゲットがいる状態で悪だくみをしないでくれ。


「ま、競争率高そうなつよつよのおにーさんの処遇はともかく、また機会があったらコラボでも遊びでも集まろーね!」


 なんてサツキエルが締めくくるように言い、アナたちがSNSの相互フォローなど連絡先を交換してから、この場はようやく解散となった。


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