第69話 落とし物の行方
群れの長であるボスモンスターが討伐されたことで、配下であった残りのファングウルフたちは蜘蛛の子を散らすように逃げ出していった。
ボスモンスターの群れを、突発コラボのパーティが撃破。
ダンジョン配信の取れ高――冒険の成果としては十分なモノだろう。
しかし、俺たちの目的は冒険することじゃなかった。
「……ダメだぁ! やっぱりみつからねぇ!!」
「こっちもダメみたいだ……」
ファングウルフのボスを倒した後のたまり場。
そこかしこに小型モンスターたちの戦利品が散らばっている中で、ランナーとニシンがそれぞれ泣き言を叫んだ。
「アハハ! よわよわのザコがいっぱいだったからよわよわの戦利品がいっぱい……」
「むむむ……サツキエルくんの言う通りだ。あの大群を相手取った後じゃあ、どれが戦利品でどれが落とし物かすら見分けがつかないよ」
「だからと言ってここにある戦利品を全て回収――するのも、難しいですね。わたしたち全員で持ち帰るのも現実的じゃなさそうです……」
「……取捨選択」
二人と同様にアナをはじめとした女性陣も捜索中だ。
ランナーとニシンは戦闘後に俺たちの事情を話したら「助けてくれたお礼だ!」と快く捜索に手を貸してくれたのだが、それでもファングウルフたちの戦利品の山に比べれば人員としては微々たるものである。
彼らの申し出はありがたい限りだが、どこかで一区切りつけられないモノか……
ちなみに、ウエポンマスターは隅で休んでもらっていた。
何でも俺たちが駆け付けるまでの間、ほとんど一人でボスモンスターを受け持っていたらしい。そりゃ俺たちもお疲れ様ですとしか言えない。
……それ以前に戦闘が終わったというのに全身武装のままだから小物の捜索では力になれないと考えたのだろう。
配信中だから仕方ないけど、それでちゃんと休憩できてるんだろうか……?
そんなこんなで、休憩中のウエポンマスターを除いた残りの全員でポポンの落とし物を探しているのだが……残念ながら成果は出ていなかった。
「ぐおぉー! コメントからも目立った発見はねぇなぁ……」
「ご、ごめんなさい……」
「いやいや! アンタが謝ることはねぇって!」
「そうそう! あの最後の一撃はすごかったし! 僕やランナーなんてほとんど役に立ててなかったし! ほら、ランナーも誤って!」
「……ゴメンナサイ」
「そんな! 謝らないでください!」
……しかし、これだけ探して見つからないとなると。
やはりポポン落とし物である彼女のお守りは別の場所にあるのだろう。
スマホを手に取る俺の他に、エロイーネが同じ考えに至ったようだ。
「……今更な疑問だが、ギルドに落とし物の問い合わせはしているのかい?」
「は、はい! なくしたって気付いた時すぐに。ですが……」
「その時はなかったとしても、時間が経った今なら違うかもしれない。次の場所を探す前にもう一度ギルドへ問い合わせてはどうだろう?」
「お二人とも、それなら――」
「みんなが戦っている間に俺の方で問い合わせてみたよ」
エロイーネが言った通り、時間が経った今なら誰かが届けているかもしれない。
そう思ってギルドへ問い合わせたのが、ちょうどポポンがボスモンスターを倒した直後のこと。
つい今しがたギルドからの回答が返ってきたのだ。
スマホの画面を見て俺は独りごちる。
「……なるほどね」
「どう? 落とし物見つかったー?」
「いや、どうやら落とし物には届いていなかったみたいだ」
なんだぁ、と全員が一同に落胆する。
『……あれ?』
短い沈黙の後に全員が疑問に首をかしげる中、俺はポポンへ結果を告げた。




