第68話 ごちゃまぜの連携戦
「フッ――男根確認!」
『おお!』『ひっくり返ったぁ!?』『オスだ!』『ご立派ァ!!』
マントをたなびかせて高らかにボスモンスタ―の雌雄を宣言するエロイーネと、いきなりのド派手な魔法に湧き上がるコメントたち。
……BANしないとはいえ積極的に映すものでもないだろうに。
「いやー、これだけのサイズだと壮観だね! ……交尾はどうしてるんだろうか?」
「ちょちょ!? わざわざそんなの見せないでよ!!」
ぎゃあ!? と悲鳴を上げながらもサツキエルが小型モンスターを倒していく。
流石はザコ狩り専門を自称するだけあって小型の相手はお手の物だな。
ニシンたちを囲んでいた群れの連中を蹴散らして彼らの安全を確保しつつ、続けざまに魔法を放って小型モンスターたちの動きを誘導して後続の進路を確保している。
「す、すごい……!?」
「とんでもねぇ助っ人連れてきたなニシン!? よっしゃ、俺たちも負けられねぇ!」
「――好機」
戦況が覆った、と肌で感じ取ったのだろう。
驚きの声を漏らしながらも、ニシンたちは後退ではなく加勢を選んだ。
ニシンとランナーが同時に魔法を放ち、ウエポンマスターがくぐもった声を出して両手剣を握ってボスモンスターへと飛び出した。
あれは彼らの得物だ。
俺たちの増援を好機にしてトドメを刺そうという算段なのだろう。
しかし、タダでやられるほどボスモンスターも甘くはない。
『グゥ、ガアアアアッ!』
再三の雄叫び。
魔法による反撃を警戒してニシンたちの動きが鈍るが、あれはブラフだ。
動きが鈍った一瞬のスキをついて、ひっくり返ったままのファングウルフの尻尾が鞭のように鋭くしなって三人を弾き飛ばしてしまった。
「ぬッ――」
「「グハッ……!?」」
予想外の反撃を食らって三人が宙を舞う。
「おっと、大丈夫か?」
「――かたじけない」
その中で偶然ウエポンマスターが俺の所に飛んできたので受け止め――重たッ!?
全身武装の鎧武者は予想外に重く、俺はすぐに受け止めるのを諦めて勢いを殺してそのまま地面に転がすように切り替えた。
よくこんな重たい装備を着けたまま戦っているもんだよ……
危うく腰をやってしまう所だった。
「三人にはすまないが、あれは早々にケリをつけないと厄介そうだ!」
「イロウさま、わたしも参ります!!」
俺が自分の腰を労わっている間にも戦況は動いていた。
エロイーネが続けざまに魔法を唱え、アナがロングスカートをはためかせて地面を駆け抜ける。
だが、今度はサツキエルが撃ち漏らした小型モンスターが二人へ向けて魔法を放とうとしていて――
「アナ! エロイーネ! 小型の攻撃が来るぞ!!」
「――問題ありません」
俺の警鐘に合わせて新たに動いた影が一つ。
ポポンだ。
「《選択武装》――《大薙刀》」
身を低くした彼女が取り出したのは、身の丈を超えるほどの大きな薙刀。
その長大な得物を地面に叩きつけた衝撃を利用してポポンは大きく跳躍。こちらの迎撃を群れの配下に任せて体勢を立て直そうとしているボスモンスターを狙う。
「これで……終わりです!!」
まさしく一刀両断。
落下の勢いを乗せたポポンの一撃がボスモンスターの首を一刀の元に両断した。
どしーん! と大きな音を上げて倒れ伏せたモスモンスターの巨体が空洞内を揺らし、それを背にしてポポンが俺たちへ手を振って見せる。
「ふう、みなさん。お疲れさまでした!」
『お、お見事……』
あまりにも予想外の結末に、俺たちはただ拍手するしかできなかった。
ひ、人は見かけによらないな……




