第67話 突発コラボVSボスモンスター
「今戻ったよランナー!」
「おせーよニシン! 見捨てられたかと思ったぞ!」
たまり場の中は大きく開けた空洞となっていた。
俺たちがたまり場へ飛び込むと、一足先に戻っていたニシンが今まさにモンスターの群れに囲まれている配信者たちと合流を果たしていた。
鎧武者のような井出立ちで鬼の仮面をかぶった重武装の配信者と、ニシンと同じく軽装の好青年っぽそうな配信者の二人。
好青年の方がランナーなのだろう。
群がってくる小型モンスターを蹴散らしながら、ニシンの到着に合わせて彼に視線を向ける。
「戻ってきた所で悪いが、こりゃ俺たちだけじゃ無理だ! どうにか隙を作って引き上げるぞ――」
「大丈夫! ちょうど助っ人がいたよ!」
「来る――」
群れの小物を倒しながら言葉を交わすランナーとニシンに重武装の配信者――ウエポンマスターが警鐘する。
ボスモンスターの攻撃だった。
「ガオオオオオオオォォッッ!」
ファングウルフの咆哮。
奴らの持つ魔力によって増強された音が衝撃波となって三人を襲う。
すぐにウエポンマスターが二人を庇ったことでダメージは軽微だが、衝撃波の勢いを殺し切ることはできずに三人共吹き飛ばされてしまった。
群れの長である巨大なファングウルフが敵の陣形を崩し、配下である小型モンスターがトドメを刺す。
ファングウルフの群れがよくやる狩りの手段だ。
たとえ配下の追撃を逃れてもボスモンスターをどうにかしない限り、配下を倒し切るまでその繰り返しになる。
ニシンたちは見事にその術中にハマっていて、ボスと配下の両方を相手取ってじりじりと消耗させられているようだった。
「クソッ、ザコは少なくなったが……」
「みんな気を付けて! またボスが――」
今度はニシンが声を上げる。
後に続く俺たちにも向けられた警鐘だろう。
ファングウルフは咆哮による衝撃波だけではなく、基礎的な魔法攻撃も併用してくる。
彼は増援である俺たちが巻き添えを食らわないよう気を使ってくれたのだろうが……ファングウルフたちの狙いは違う。
狙いはニシンたち三人。
――手負いから仕留めるつもりだ!
先に戦っている三人はすでに限界だ。
先に手負いの三人を仕留めて増援にきた俺たちを対処するという腹積もりなのだろう。
――モンスターの術中にハマるのはマズい。
数の優位はまだ群れにある。
下手な加勢では俺たちもニシンの二の舞だ。
ゆえに、攻略法は至極単純――
「「《魔法詠唱》!!」」
群れの連携が厄介だったら、ボスモンスターと小型モンスターそれぞれを蹴散らしてしまえばいいのだ。
「ザコザコの相手はアタシがやるよ! 《ヒューズショックウェイブ》!!」
「ちなみにモンスターのアソコは配信に乗ってもBANにはならなくてね。せっかくだから雌雄を確かめてみようか! 《ロックアッパ―》!!」
それぞれの魔法を唱えてサツキエルとエロイーネが飛び出す。
サツキエルの魔法が地面を伝って小型モンスターたちに炸裂。
電撃を伴った爆発の連鎖がニシンたちを取り囲んでいた連中を蹴散らす。
同時にエロイーネの魔法によって地面からせり出した岩石が今まさに今まさに追撃を仕掛けんとしていたボスモンスターに命中。
アッパーカットの要領でファングウルフの顎を打ち上げ、そのまま奴の巨体をひっくり返した。
「フッ――男根確認!」




