第65話 突発コラボの捜索隊
「……失礼しました」
「はひ――う、うむ! 向けるのはエッチな視線だけにしてくれたまえ!」
「あ、それはわたしにお願いします」
どっちにもそんな視線は向けないので勘弁してください。
ちょっと素の返答っぽいものが垣間見えたが、それを言及するのはエロイーネという配信者のマイナスにしかならない。
俺が謝罪すると、エロイーネは話題を切り替えるため軽い咳払いをした。
「ところで、キミたちはここで何をしているんだい?」
「実はですね……」
アナが手短に説明した。
「なるほど、その一大事は見過ごせないね」
「たいへんー、ならアタシも手伝おっかな」
「ほ、本当ですか!?」
二人の言葉にポポンの顔が明るくなる。
「もちろんだとも。性の伝道師は健全の権化でもあるからね」
「ま、最近ちょっとザコ狩りのし過ぎでマンネリだったし。これからモンスターのたまり場を回るんでしょ? ならザコには困らないよね!」
「あ、ありがとうございます!!」
ふ、二人とも中々に独特な理由ではあったが……
なんにせよ、これで落とし物捜索の配信者は四人。
非常に個性的なメンバーだが、ちょうどRPGのパーティみたいになったな。
「うう……美人さんばっかり集まっちゃった。私も目立てるようにがんばらないと」
やっぱりもっと派手な服の方がいいかな、とかアナたちの影響を早速受けたっぽいポポンが自分とアナたちを見比べながら呟いている。
……あなたはそのままでいいと思います。
◇――――――◆
さて。
図らずも人員が揃ったことで俺たちはさっそく最寄りのたまり場へとやってきた。
モンスターのたまり場と言っても、特定のモンスターがそこを縄張りにしているというわけではない。
ダンジョンは内部構造が変化する特性上モンスターは一定の場所を縄張りするというケースは少なく、基本的には都合のいい環境を移動する生態がある。
たまり場というのは、そんなモンスターたちがよく休憩などに使う場所のことだ。
ま、細かい生態だ何だって話はさておき。
たまり場はよっぽどのことがなければなんらかのモンスターがいる。
ということは、それをターゲットにした配信者も集まるということ。
「……やっぱりいるな」
「いますねぇ……」
その例にもれず、俺たちがやってきたたまり場にも先客の配信者がいた。
「激しく戦っていますね……」
「うわぁ、ザコザコはいっぱいだけどボスもいるよぉ~」
「どうやらモンスターの群れがたまり場を使っていたみたいだね」
全員でたまり場の入口から中の様子を覗き込む。
「あれは……ファングウルフの群れのようですね。ポポンさま、戦ったモンスターの種類は憶えておられますか?」
「うん……確か、ファングウルフとも戦ったはず」
なら、落とし物が見つかる可能性がありそうだな。
……しかし、向こうはまだ戦闘中だ。
ボスモンスターに区分される個体を中心にしたファングウルフの群れ。
それと対峙するのは数名の配信者だ。
見た所、彼らと同数のカメラゴーレムが周囲を飛び交っているのを見るに、どうやら向こうもコラボ中のパーティのようだ。
『いかがしましょうか、イロウさま?』
『……下手に介入しても向こうの配信を邪魔してしまうかもしれないな。みんながどうするかにもよるが、いっそ先に別のたまり場を見に行っても――』
と、その時だった。
ドカアアアアアァァンッッ!!
大きな衝撃音と共に、俺たちのいる場所まで何かが飛んできた。
「きゃ――って、おや?」
「わわ、だいじょーぶ!?」
群れに気付かれたのかと思ったが、違う。
たまり場の中から飛んできたのは、群れと戦っていた配信者の一人だった。
若い男の配信者だが、ボスのいるモンスターの群れに挑んだにしては装備が軽装のような……
と、訝しむ俺たちを前にして、配信者は藁にでもすがるかのような剣幕でこちらに訴えかけてきた。
「た、た……助けてくれええええ!」




