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第24話 インドア派にダンジョン配信はつらい

「とうとう本音を吐きましたね……!」


 我慢の限界とばかりにラッカリカが声を荒げた。


「いい加減にしてくださいドロリーッ! いくらあなたでもワガママが過ぎます!! やっぱりゲームに熱中するあまり外で働きたくないからゲーム配信をしたいだなんて言い出したんですね……!? そんな人を養っていられる余裕がないのは知っているでしょう!?」

「ドロリーは元々インドア派。魔法も解呪のために研究していただけ。暇つぶしならゲームの方が楽しい。魔法は飽きた。インドア派のドロリーにダンジョンはつらい」

「あっちのお歴々が聞いたら卒倒しそうな言葉ね……」


 あっけらかんと断言するドロリーにトリントが肩をすくめて苦笑し、ラッカリカがさらに目くじらを立てた。


「またそう言って! あっちでも研究にかまけてほとんど外に出たりしなかったのに、ずっとそのままだと健康的にもよくありません! 太っちゃいますよ!?」

「ドロリーは不老。それに、太るのは胸とお尻だけ」

「「なッ、う、羨ましい……!?」」


 それは話がズレていないか?


 俺が内心で思うも、異性の俺がツッコむには少しデリケートだったので存在感を消していると、ドロリーが観念したかのような嘆息をしてからこちらを見てきた。


「けど、このまま勝負を続けてもあまりにも実力差がありすぎて決着が分かり切っているのは確か。ドロリーもそれは望んだことではない」

「……そうだな」


 このままやってもドロリーの完敗になるだけだ。


 ドロリーがその点を()()()ぼかすように言っていることには言及せずにいると、彼女は涼しい顔のまま言葉を続けた。


「それに、ドロリーのせいでラッカリカたちに迷惑がかかるのもドロリーの望むことじゃない」

「だったらどうするつもりだ?」

「取引」


 まっすぐに俺を見据えるドロリー。

 言葉と共に、彼女は俺の両手を取り――


「イロウに養ってもらう」


 おもむろに自分の胸に押し当てた。


「「「はあッ――!?」」」

「んん……代わりに、この手でドロリーの身体を好きにしていい。イロウがドロリーのために働いて、ドロリーはイロウとの手で気持ちよくなる。ウィンウィン」

「いやいやいや……」

「そんなわけないですよドロリーッ!?」


 俺の手が押し付けられた瞬間ビクンと身体を震わせながら語るドロリー。


 突然のことに俺が絶句していると、ラッカリカが間に入って俺の手を開放した。


「というかソレ、単にドロリーがイロウさんに触ってほしいだけじゃないですか!? 私は認めませんよ! そんなうらや――不純な関係は許しません!」

「……ふうん。イロウくんってやっぱりおっぱいが好きなんだ」

「なんでそうなる……?」

「ドロリーも知ってる。おっぱいは男のロマンだと。男はロマンのために大金をつぎ込むことだってあると」

「それはごくごく一部の男だけだ!」

「こっちでは確か、パパか」

「それ以上はいけない」


 ドロリーの口を塞いで黙らせる。


 しかし、そんなことでドロリーの暴走は止まらなかった。


「れろ。ぺろれろ」

「なッ、お前いま舐め――!?」

「もっと」


 こいついきなり手のひらを舌で舐めてきた!?


 俺はたまらず手を放そうとするが、ドロリーが掴んで逃がしてくれない。


「やっぱり、イロウの手が気持ちいい」

「だから何だよそれ? 触り方ならともかく手だけで何が変わるんだよ?」

「おそらく、イロウの魔力が理由」


 俺の魔力?


 内心で俺は首を傾げた。


 ダンジョンが発見され、ドロリーたちのような異世界人がやって来るにつれてこっちの世界にも魔力なりなんなりのエネルギーが存在するというのは周知の事実だ。


 けど、だからと言ってそれで何で俺の手が気持ちよくなるというのか。


「気持ちのいい所にピンポイントで刺激をくれる。それを無意識でやっているなら、おそらくイロウの魔力にそういう適性があるかも」

「……なるほどね。つまりイロウくんが実はテクニシャンだったと」


 ドロリーの言葉にトリントが目を輝かせる。


 うわ、厄介な奴が目をつけてきた……


「心外ねイロウくん。誰が厄介なおねーさんよ」

「おい今ナチュラルに思考を読んで」

「問答無用! おねーさんにも試させなさい!」


 言葉と共にトリントが飛び掛かってきた。


 突然の奇襲だったが、対処できないタイミングじゃない。

 俺が空中のトリントをやんわりとソファの方へ撃墜するとトリントが「やーん」と残念そうな声を上げた。


「イロウくんのいけずぅ……」

「いきなり襲い掛かってくるな。というかトリント、ずっと思ってたんだが……お前って俺より年下じゃなかったか……?」

「やあん、女の子の年を聞くなんてデリカシーがな~い」


 いや若いって言うのはむしろいい方じゃないのか……?


「だってイロウくっておねーさんっぽい女にからかわれるのが好きでしょ?」

「…………」


 とんだ偏見によるものだった。


 あまりにも的外れな返答だったので、俺はニヤニヤしたトリントを無視してここまで黙りこくっているラッカリカの方を見た。


「イロウさんの手、イロウさんが触る……イロウさんが」

「ラッカリカ?」

「わっひゃいッ!?」


 ビクンと肩を跳ね上げるラッカリカ。


「な、なななんでしょうかイロウさん!? 触りたいならどこかでもどうぞ!」

「いや触らないけど……」

「触らないんですか……?」


 なんで残念そうなんだ……?


 露骨にしょぼんと肩を落とすラッカリカ。

 あまりにも残念そうな顔をするものだから、俺は思わず彼女の頭を撫でてやった。


「んっ、これは……確かにいいモノですね」

「そう。イロウはテクニシャン」


 なんだか不名誉なことを言われている気がする……


 頭を撫でるのにテクニックなんてあるのだろうか。なんて俺が疑問を浮かべていると、ラッカリカが名案を思い付いたとばかりに手を叩いた。


「決めました! ドロリー、明日ダンジョン配信をしませんか?」

「いや」

「イロウさんをサポーターにつけます」

「やる」


 即答だった。


 どうやって説得したモノかと頭を悩ませていたのに、まさかこんなにあっさりと配信をしてくれるとは……まさかそこまで俺の手に執着しているとか?


「ゲームの腹いせ。サポーターなら何をしても」

「エッチなことはダメですよ?」

「いやそれ以外にもNGはあるだろ……」


 あとダンジョン内でその手の行為は全てBAN対象である。


 まあ、なんにしてもやる気になってくれて何よりだ。


「ん。イロウにドロリーがすごいと分からせる」

「そうなることを願ってるよ……」

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