第二十四話 どうして私が暴走族に?
前回のあらすじ!
『入替』の掌光病を駆使して西尾との勝負に勝って見せた源!
意気揚々とコンビニに戻ろうとした源だったが、突然、西尾に呼び止められ...
どうやら、源の力は暴走族総長に気に入られてしまったようだ...
2018年 5月
東京都世田谷区 とある公園にて...
「気に入った!ジブン、『愛暗無狂』に入れ!!」
「......は?」
俺はコイツの、目の前の暴走族族長である西尾の言ったことの意味を、理解できずにいた。
....いや、正確には理解しないようにした。
(な、なななな、なんでそうなるゥ!?)
あまりに突然の勧誘に、俺の脳が状況を処理しきれていない。しかし、このままいけば、確実に俺の未来がよくない方に傾くことだけは瞬時に理解できた。
そんな、半混乱中の俺を余所に、西尾はベラベラと続ける。
「いや~実を言うとなぁ、今度、関東最強と謳われとる、『裂撃斬弩・愛』っちゅうトコとドンパチやり合うことになってんねん。そこでな、ウチも戦力補強したいと思ってたところだったんや!丁度ええやろ!な!?」
「ヒャッハァー!!よかったなアンちゃん!丁度良かったなァ!!」
(いやだ、絶対嫌だァーー!!)
くだらないエロ本がキッカケで、そんな危険な抗争に巻き込まれてたまるか!
俺は持てる全ての勇気を振り絞り、この悪質な勧誘を断ろうとした。
「え、えっと~、丁度いいのはそちらの都合であって、自分的には丁度良くないみたいな...アハハ、」
と、断りかけた俺に、西尾がズンっと顔を近づけてくる。
「入るよな?ん?」
「あ入りますハイ」
(...あーあ、終わっちゃった。俺の平和な人生、ここで終わっちゃった...)
ふと、目の前が真っ白になった気がした。そして直後に俺を襲ったのは、どうすることもできない絶望感。
どうしてこんな目に遭わなくちゃいけないんだ?俺はただ健全な男子中学生として、少しばかりの癒しを求めていただけじゃないか!なのに、なのにどうして...!
「...っていうか、『ドンパチ』ってどこでやるつもりなんですか?このご時世、そんな大きな抗争難しいんじゃ...?」
俺は絶望の最中、一般人として至極当然の事を聞いた。西尾は手をブンブンと横に振りながら、大袈裟に口を開く。
「逆や!!この戦争中の今だからこそ、大人たちはワシらみたいな族に構ってられんくなんねん!ちなみに、会場は多摩川河川敷や」
(...なるほど。確かに戦争の長期化につれて、少しずつ治安の悪化が見えてきたが、こういう輩たちも元気になり始めたのか。あーこの国の未来が心配すぎる。...いや、今一番心配すべきなのは、自分の身なんだけど)
というわけで、俺は半強制的に『愛暗無狂』に加入することになり、来る『裂撃斬弩・愛』との抗争に参戦することになってしまった。俺は西尾に、一週間後の午後6時に多摩川の河川敷に来るように一方的に命令され、一旦解放された。
当然、そのころには本来の目的だった、ピンクの雑誌を買う元気など一切なくなっている。俺はただ茫然と、アスファルトに浮かぶシミを数えながら、手ぶらで帰るのであった。
(ごめん、優人。俺は今、エロ本どころじゃなくなりました...)
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同時刻 少し離れたとある空き地にて...
「ほう、『愛暗無狂』はここに来て新戦力を加えたか。それも掌光病罹患者...」
その男は黒々とした、その角ばった眼鏡をクイっと持ち上げる。
「...よし、決めた。お前らはこの辺の掌光病罹患者の情報を集めろ。俺達も新たな戦力を迎えることにする。俺達のモットー、油断超強敵だ」
眼鏡をかけたその男が一声かけると、周りに整列した数十人の男たちが、一斉に雄々しい声を張り上げる。
「「「ハイッ!」」」
その数十の声を一身に受けた眼鏡の男はゆっくりと立ち上がり、空き地の外へと歩き出す。
「さぁ行くぞ、関西の田舎野郎共を東京から追い返す。そして次は俺達、『裂撃斬弩・愛』が関西に侵攻だ」
「っしゃー!!坂東さん最高!!」
「やっぱ負ける気しねぇわッ!!」
「そういえばこの間ニュースになってた掌光病のヤツが、この近くに住んでるって聞いたぞ!」
後ろで騒々しく歓声を上げる男達を尻目に、坂東と呼ばれるその男は不敵な笑みを浮かべた。
(...愛暗無狂、お前らがどんな戦力を組み込もうが関係ない。俺には、全てがお見通しだ)
続くっ!
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