533話 それぞれ
今大陸中で、小人族と中人(アル達)の存在が疎まれてきている。
それは、地下都市建設から始まった。工事労働者の選別で弾かれた者達が至る所で噂を流しているからであった。
その者達は、種族ごと合流している者達もいるためにかなりの人数となってきていた。
狐人「へーーー、ここが大陸正当種族の基地なんだ。」
??「どうだ凄いだろう。あんな小人なんかに負ける事は無いんだよ。」
狐人が連れて来られた場所は、森の奥に存在する盆地にあり隠れるに適した場所と言える。小人の操る赤いワイバーン(上空)からでも中々見つける事が難しい事でこの場所が選ばれていた。
この基地には、多くの者達が働いている。小人の町より少し劣るが、町を追い出されてきた者達の集まりであり、もうこの基地以外に行く場所の無い者達であるために、文句はあるがそれを口に出す者は少ない。
基地の周りでは小人族と同じように地下都市の建設が進められている。だがゴーレムがいない事で工事は進んでいない。
基地長「地下工事は、間に合わないか。」
側近「5年後にはある程度完成しますが、基地に住む者全員は無理です。」
基地長「そうか、残念だな。」
側近「・・・・」
この基地には、10万人を超える者達は労働者として働いている。地下工事だけではなく、農作物を作る者、酒を造る者と色々な仕事に従事している。小人の町と何ら変わりはないように映るが、大きく違う事があった。
地下工事の都市計画では、2000人から3000人が暮らす事の出来る地下都市であり、小人族の創り出す地下都市とは規模が違っている。そして基地で働く者達は、その地下都市に住む事はできない。
基地の上層部の者達は最初からだますつもりで建設しているのである。
その事実はまだバレていない事で基地内はまだ平和であった。
基地長「氷河期か、厄介なものだな。」
側近「本当に氷河期が5年後に来るのでしょうか、いまだに信じられません。」
基地長「あー必ず来る。余の先祖が書き残した書物にもあった。星の意志が凍らすとなっている。」
側近「・・・・・」
この基地以外にも幾つかの所属が独自に地下都市計画をしている。又オアシス争いをしている種族も多いが、小人の地下都市計画が各種族には現実的であり、大々的に工事を行っている為に信用度が違っている。
騎士「アル様、調査資料が届きました。」
アルは、騎士からの調査資料を読んでいく。
この資料は、大陸全体の調査資料であった。
正確な人口は把握は難しいが、おおよその人口は把握する事が出来た。中央大陸の総人口は10億人と推定された。
アル「10億人か、かなり多いな。」
騎士「多産な種族が多いようです。赤子の次期に半数以上が死ぬようですが、ボーションの普及と薬の普及で死亡率が減ってきています。
それと食料は豊富になった事で生き延びる者達が増えている事が原因と思われます。」
アル「そうなるよな。」
アルは自分達が普及させたボーションや薬によって以前は死んでいた者達も多くが生き残っているのであった。
アル「10億人の内、地下都市に移住できる者達は、今の所5億人しか生き残る事ができないな。あとの半数は見殺しか。」
騎士「そうなります。ですが地上のオアシスは300以上もあります。亀の上の町もある事でその合計10万人は収容できると思われます。
アル「地上のオアシスなどは、詰めれば300から400はいけるだろうだが占有した種族がそれを許さないだろうな。」
騎士「自分達だけでオアシスを独占するという事ですか。」
アル「地上が氷におおわれるのだ。それくらいはやるだろう。」
騎士「・・・・・・」
アルの予想通りオアシスを占領した種族は、他種族に対してオアシス移住を条件に地下都市工事をさせている。
これは小人族を見習って行っているのではなく、自分たちが生き残るためであった。オアシスは小さく多くの者が住む事はできない。
そこで地下都市工事を行う事で皆が住めると勘違いをさせている。
労働者が住む事の出来る地下都市ではなく、自分達種族が住む地下都市であることに気付く者はいない。
騎士「オアシスは、やはり強者の虎人族、獅子族、熊人族と大型種族が多いようです。あとは蟻人族がかなりオアシスを占有しています。」
アル「蟻人か、地下に巣も造り出すことが出来るな。いずれ蟻人の天下になるな。」
騎士「小人より勢力が大きくなりますか。」
アル「なるだろうな。何しろ多産だ。それに地下に住む事が出来る種族だからな。」
騎士「地下に住む事の出来る種族は、モグラ人、兎人などもいます。」
アル「まぁ種族で動けば行けるだろうが集団行動がモグラも兎も無理だろう。」
騎士「あーそうでした。」
アル達も中央大陸に住む全員を救いたいと考えている。だが現実は不可能という結論になっていた。
地下都市工事をどんなに頑張っても救う事の出来るのは半数という結論であった。
それでもダンジョンを増やし地下都市を拡張している。一人でも多くのもの達を救う為に小人族を中心に工事を進めているのであった。
アル「それで、他種族たちは戦争を仕掛けてくるか。」
騎士「間違いなく戦争を仕掛けてきます。ですが今すぐではありません。小人たちの創り出す地下都市がある程度完成した頃と予想しています。」
アル「だろうな、自分達では作る事の出来ない地下都市なのだ。小人族が完成させてそれを奪う事で生き延びようとするだろうな。」
騎士「はい、予想では大陸各地で1億から2億人が小人族の町に襲い掛かると思われます。」
アル「普通では防げないだろうな。」
騎士「敵も分かっているのでしょう。占領はできると。」
アル「そう思うだろうな・・・・・」
今中央大陸内では、地下都市を必死に工事進者達、氷河期を信じない者達、そして完成後に奪おうと思っている者達に別れている。
全体的には氷河期が到来する事を信じる者達が圧倒的だが、それでも信じないものも多くいる。
一番少数な者達は奪う計画をしている者であるが、氷河期が近づけば一気に大勢力となる事が予想されている。




