522話 新拠点
小人の行商は、ウキウキしている。
中人との交渉が決着したことで、中人の縄張りの一部がバンパイア族のものとなりその運営を小人族が請け負う事に決まったからだ。
縄張りの一部は、小人族が運営管理する事で事実上の領主となる。
この縄張りの一部は、中人とバンパイア、そして猿人との境界にある。
中人としては、いつも揉めている猿人との緩和地帯とする事が出来るためにメリットがある。
バンパイア族としても小人族に全て任せる事で上納金(物資)が入る事でホクホク顔である。
小人族は、交易拠点が出来た事でここから勢力拡大を目指している。
小人族は着実に勢力拡大をしているが、アルが提供したワイバーンが無ければこれほど急激に大きくなることは不可能であっただろう。
少し小さな目な赤いワイバーンは、今日も小人を乗せて飛んでいる。
上空から新拠点を眺めている一人の小人が、街道作りの構想を練っている。3つの種族を繋ぐ街道整備は、一番の急務となっている。人では勿論中二病たちであり、拠点町の建設も投入するつもりである。
小人「足りないですねー。どうしましょうー。」
小人は空の上で考え独り言をつぶやいている。
アルや小人たちが各地に拠点を作りだしたことで、今迄縄張りに拘っていた各種族に変化が出ていた。
今迄の各種族は、どんなに迫害されようが種族の縄張り内に居なければ生きて行けなかった。だが小人の拠点やアルの拠点が各地に出来た事で嫌なら出ていくことが出来ると分かってきたのだ。
その結果、色々な理由のある者達が集ってきちる。
迫害(戦闘弱者)などのだけではなく一発当てようと思う者も多くいる。
小人の行商が各地を回っている事で各種族の者達は、行商をすれば稼ぐことが出来ると理解していった。
新たな拠点に集まっている人たちは、まずは労働者として働く事になる。
小人の拠点では、人で溢れている。
小人「はーい、並んでください。仕事は色々あります。希望の仕事がありますよー。」
小人は大きな声で労働希望者たちをさばいていく。労働希望者の仕事は、街道整備、建築、労働者たちの食事(出店)等町に必要となる者は全てで働く事が出来るのだ。
女子供まで仕事があり、この地域一番の場所となるだろう。
その中でも子供が多くこの場所にやって来る。それは各種族同士の争いで親を亡くし孤児となった子供たちである。
種族内では、迫害されてまともな仕事に就く事も出来ない為に、この新拠点で仕事(食事)を求めてきているのだ。
小人は、この孤児たちを大事にしている。子供たちは食事の為に必死で働き色々な情報を集めてきてくれるからだ。
子供たちの仕事は多岐にわたるが、一番の仕事は伝令である。
この伝令は、各地を走り回り情報伝達を素早くしている。
伝令の他にも、各仕事の手伝いや片付け、掃除係など色々な仕事をさせている。
アル「かなり出来上がって来たな。」
小人「はいかなりのペースで進んでいます。」
アル「一大拠点になりそうだな。」
小人「へへへやっぱりそう思います。私もそう思っているんですよ。へへへ、あっそうだ、アル様新しい情報が入ってきたのですが、あの巨大亀なのですが方向を変えたようです。」
アル「北に向っていた亀が何処へ向かっているんだ。」
小人「それがですね、西へ向かっているようです。」
アル「西、こちらに向かっているという事なのか。」
小人「其処までの情報は入っていません。」
アルは、少し不安になり一度超巨大亀に向う事にした。
ドラゴンに飛び乗り北へと向かっていく。
数刻後、アルは超巨大亀の上にいた。
アル「どうだ亀は。」
監視員「方向が変わった以外は変わりません。ある程度異動したら休憩を繰り返しているだけです、まぁ下では毎度大騒ぎとなっていますが、亀の上は至って平和です。」
そう超巨大亀の通り道では毎度大騒ぎとなっている。それはそうだろう町が踏み潰されるかもしれないのだ。騒がない方がおかしい。
超巨大亀は、北へと向かっていたが、西へと方向転換している。その訳は誰にもわからないが、ある監視員が木になる事をアルに伝える。
監視員「アル様、普通北へ向かえば寒さが増していきます。ですがいまだに防寒着も必要ないのです。」
アル「そう言えばそうだな、そんなに寒くないな。」
監視員「そうなのです。」
アルは監視員の言葉で各地を調査を命じる。亀の通る前と後での違いを調べさせるためにある。
この調査で分かった事は、超巨大亀の通る前と後では、気候は変わらないが、温度が上がった事が判明する。理由は不明だが、地中の温度に変化があるようだ。
騎士「アル様、この報告書は本当なのでしょうか。」
アル「事実なんだろうな、亀が通った後は地中の温度が上がっている。」
騎士「極寒地と言われた土地に麦畑が出来るほどにいなったという事ですか。」
アル「信じられないが事実だ。」
アルは亀の進路を調査していく。すると問題があった事が分かる。それは各地で不作の続いている地域が点在していた。全ての地域ではないが亀の進路に確実に存在していた。
アル「信じられないが、亀は不作が分かっているようだな。不作を分っている訳ではないのだろうが、何かが原因で不作なのだろう。それを亀が行くことで正常になっているのだろうな。」
騎士「地中の中で何かが起こっているという事ですか。」
アル「そうだ、亀の休憩場所ではより深刻な不作があり、村は壊滅寸前の場所もあったようだ。」
騎士「ですが亀により滅んだ村も多いようです。」
アル「・・・・・・まぁまだすべての地域の調査は済んでいない、他にも分かっていない情報が出てくるだろう。判断は其れからだ。」
超巨大亀の歩みは遅い。時速10キロも出ていない。その為に北へと向かって進んでいた亀であるが、まだ人の住める地域を出ていなかった。これ以上北へ進めばもう人は住む事が出来ないだろうという時に方向が変わったのであった。
超巨大亀は、人の住める場所を移動している事が判明していく。




