512話 バンパイア族
狐人族の問題も一段落したことでアル達は、旅立つ事になっていたが、霊人族の族長が必死で止めている。
霊人族の族長は、もう疲れ果てていた。自分の記憶と折り合いをつけながら霊人族を纏め、日々問題に対峙していたことで引退を考えていたのだが、息子の問題もあり先送りとなっていた。
跡取りが居なくなったことでアルに押し付けようとしていた。
アル「族長、それは霊人族の問題だ。霊人族内で決めてくれ。」
族長「そう言わずに、霊人族は問題児ばかりです。アル様ならば上手くやっていけるでしょう。」
アル「霊人族は問題児だから嫌なのだ。分かっているだろう。」
族長「そこを上手く使う事が出来るのはアル様しかいないのですよ。」
アルと族長は、霊人族の皆がいる前で話していた。
霊人族内でも、アルが族長となれば上手く行くと考える者もいる。特に牛乳屋などはその筆頭であろう。
それでもアルは、霊人族だけに構っている暇などないのである。
アル「あーー解った、わかった。いずれ戻る事を約束しよう。その時まで族長を続けてくれ。」(嘘です戻る気はありません)
アルのこの一言で族長は、納得してくれた。
小人「アル様、次はどのあたりに行くのでしょうか。」
アル「今噂が広がっている。バンパイア族の所に行こうと思う。」
小人「えっ、バンパイア族ですか。」
アル「小人も行ったことがあるのか。」
小人「縄張りの境には行きましたが中には入りませんでした。それにあそこは急激に大きくなったことで他種族全てと戦争中です。」
アル「だから興味があるんだ。噂では始祖と呼ばれる族長一人から今の大勢力となったというではないか。」
小人「大丈夫でしょうか。」
アル「まぁ心配するな。いざとなればだドラゴンで空へ逃げる。アハハハ。」
バンパイア族は、今一番の話題となっていた。
何しろ始祖と呼ばれている一人のバンパイアから始まり今では大きな町になっているという。
この大陸内で一人から種族として成り立つことは無い。
アル達は、バンパイアの町の門前にいる。
バンパイアの町は、色々な種族が暮らしている。それはバンパイア族にとって必要な事であり、町の住民たちも納得している事がある。それはバンパイアには血が必要という事であった。
バンパイアの主な主食は生き血であり、死んだ者の血では生きていけないのである。
その為に常に人のいる場所でなければ生きる事が出来なかった。人以外でも獣の血でも何とか生きる事はできるが人の血の方が効率よく力を発揮できるのだ。
門番「本当に入りたいのか、もう一度言うぞ。街に入るには献血をしなければならないいいのか。」
アル「問題ない。襲われるのではなく献血だろう。1リットルも2リットルも血を抜くわけじゃないんだろう。」
門番「そんなに抜くかー死んじゃうだろう。」
門番もバンパイアであり、毎日血を飲んでいる。
バンパイアは最低でも1週間に一度は生き血を飲まなければ生きていけない。これは最低限生きるだけであり。本来は毎日飲む事がベストである。
だが生き血となれば、拒否されることが多く。今ではバンパイアの町に滞在する者は献血を条件に中に入る事を許している。
門番「俺が言う事じゃないが、お前ら馬鹿なのか。」
アンネ「ぷっ、馬鹿なんです。」
アル「アンネ、それはないだろう。興味があるだけだ。」
騎士「馬鹿でしょう。普通ありえませんよ。」
戦士「ありえないですね。」
アルに付き添っている騎士や戦士からアル批判の言葉が出てきている。アルは怒る事もなく聞き流している。
門番の忠告と誓約書にサインしたアル達は中に入りまずは献血を行なう。この献血は滞在日数によって変わっている。10日までは最初の1回のみだが、11日目に、2回目の献血を行ない30日を超える場合は、一月に一回の献血義務をおう。
11日間に2回の献血をする事はバンパイア族にとって譲れない境界線なのだろう。今のバンパイア族を維持するために必要な事なのだ。
アルは、町中で宿をとりアンネと町の散策に出かける。
町は、かなり賑やかで、色々な種族が暮らしている。
アンネ「他の町とは違うわね。」
アル「そうだな、かなりの種族が暮らしているな。」
そうこの町では普段いがみ合っている種族が仲良く暮らしているのである。かなり違和感のある町の光景となっていた。
アル達が色々な店を回り一息入れている所に巡回中の兵士が声をかけてくる。
兵士「今日ついたばかりですか。」
アル「よく分かるな、今日この町に到着したばかりだ。」
兵士「でしょうね。」
兵士がアル達の姿を見てこの町の住人でない事、来てすぐのものと分かる理由はアル達が剣を携帯していたからであった。
この町の住人たちや慣れた者達の多くは剣を携帯することは無い。その理由として治安が良い事と剣で人を斬ると血が出るからであった。
バンパイアにとって血は食料でもあるが興奮剤でもある。バンパイアは血をみると興奮状態となる者が多い。全てとは言わないがかなり過激となる者がいる。
その為に街中では剣を携帯する物が少ないのだ。兵士などは携帯しているが町人などは持つことは無い。
兵士「この町で剣を携帯する者は殆んどいないんだ。俺たちは血を食料としているが、一種の興奮剤にもなっているんだ。人によって興奮しすぎて止まらない者もいてな。」
アル「そうだったのか、明日から携帯は止めておくよ。」
兵士「その方がいいだろう。幾ら治安が良くても悪いやつらはいるからな。剣を持っているから襲われる事もあるんだ。よそ者と分かるからな。」
アル「バンパイア族がよそ者を襲うという事なのか。」
兵士「あーまぁーな、そういうやつもいるから気をつけてくれ。」
アルと兵士の会話でアンネはかなり不思議に思っている。何故武器である剣を持つと襲われるのか、何故持っていなければ見逃されるのか、それはバンパイア族の決め事が影響している。
町の住民はバンパイア族の中間である。その仲間を襲った場合は、処刑されるこれが又かなり惨い形で処刑されてしまうのだ。
バンパイア族にとって町の住人は、大事な食料であり守る価値のある物であった。




