511話 元族長、職が決まる
元族長「これだけしかいないのか。」
元族長宅の大広間に集まった人数は、10人程であった。狐人族の大勢力と言われた元族長の権威は地に落ちてしまっていた。
元重鎮「クソー、なんてことだ。たったこれだけに人数では次の族長選は戦えないぞ。」
狐人「えーッとですね。元族長と元重鎮さんにお伝えしますけど、私たちは応援するために来たのではありません。忠告に来たのです。このまま元族長と元重鎮が狐人族をかき回してしまうと以前からの付き合いのある私たちの立場が余計に悪くなるのです。ここはもう少しおとなしくしていて下さい。」
元族長「きき、貴様ぁぁぁ儂に逆らうのかぁぁぁ。」
狐人「はーーー、何も分かっていないんですね。」
元族長「なにおー、儂に逆らって狐人の中で生きて行けると思っているのか。」
狐人「はぁぁぁぁぁ、生きて行けますよ。あなたにはもう何も残っていませんから。」
元族長「ききき貴様ー。」
怒りでブルブルと震えている元族長に追い打ちをかける様に狐人が説明していく。
狐人「いいですか、あなた達が仮病で寝ている間にこの縄張り内で総当たりの戦いがありました。その結果で狐人族で順位が決定しました。元族長と元重鎮のあなた達は最下位です。」
「「えっ。」」
縄張り内で最下位、それはトップから最下位に落ちてしまった事であり、以前族長時代に取り決めてしまった。決め事が頭をよぎる。
元族長「さ最下位だと儂が最下位、儂が最下位、この儂が最下位だとーーーー。」
元族長は、怒りで震えていた物が恐怖で震え出してしまっていた。
元重鎮「冗談だよな。へへへなぁ、冗談だと言ってくれ。」
この場に集まっていた狐人たちは、元族長と元重鎮の縁者たちであった。この縁者たちも今ではかなり下の地位となり肩身の狭い思いをしている。それでも狐人族は実力主義と会って這い上がる機会は有るのだ。
狐人「いいですか、説明しますが良く聞いていくださいね。後で知らなかった、聞いていないとは言わないようにその為にこれだけに人数で来ているのですからね。」
狐人は、元族長と元重鎮の二人に説明を始める。それは二人にとって信じられないものであった。
内容としては、二人はこれから適性検査を受け職を決める事Tなっている。もう老人と言える齢であるが、無職は許さないのである。というのもこの二人に財産が残っていないからである。
もし財産が残っていればそれを食いつぶして活きる事は可能であったが、今迄の悪行での弁償や保証でなくなってしまっていた。
その事実に呆けてしまった二人だが、元族長は「こ、この屋敷は儂の物だー。」
狐人「いいえもう違います。それもお伝えするために来たのですよ。三日後までに出て行ってください。」
元族長「・・・・いやだ。誰が出てくかぁー。」
狐人「私は伝える事が仕事ですので後は知りません。」
この狐人の言葉は、元族長にとって一番の衝撃であった。元族長の親戚であり何時もであれば何とかします問う言葉が帰ってきていたからであった。
元族長「貴様、今迄の恩を忘れたのか。」
狐人「今までの恩ですか、知りませんよそんな恩。尻拭いというのであればよく知っていますけど恩は受けた事がありませんね。」
元族長「ききき、き、き・・」
元族長は怒りが頂点となり振り切ってしまったようで頭から血を噴き出してしまった。
慌てる周りの物達であったが、狐人は黙ってみているだけであった。
(あーこれで族長は楽になれますね。最下位の仕事をしなくて済むでしょう)
だが、元族長はしぶとかった。老人特有の粘り強さで何とか生きていたのだ。それとアル達のスキルのおかげで元の状態に直してしまっていた。
アル「おー元族長、今日から働いてもらうからな。一応治療費も分割で払ってもらうぞ。」
元族長「・・・・・・」
狐人族の最下層の仕事、それは肥溜めに処理であった。
元族長が決めごととして決めたものであった。
その肥溜め処理場には、元族長と元重鎮達が勢ぞろいしていた。
元族長「お、お前たちもここにいたのか。」
元重鎮2「あーいたぞ。我らは総当たり戦を拒否したからな当然最下位になった。」
元重鎮3「試合をしても同じ結果だが、まだ恥をさらさないダメましだな。」
元重鎮達の話では、元族長一派の試合はかなり悲惨なものであった。
将軍や隊長などをコネで就いていた役職者たちは、訓練もしなければ現場にも出ていなかった。出ていた物は会議だけであり、現場は有能な部下が全て仕切っていたからだ。
その為にブクブクと太り動きもかなり悪くなっていた。そんなもの達が試合に出てもいい的でしかなかった。女子供に迄負ける者までいた事で途中からは試合を棄権していた。
元族長「まさかお前たちはそんなに弱いのか。」
「「「「「「・・・・・・・・」」」」」」」
小人「えーーーーーっといいでしょうか、話は後にして頂いて仕事をしてください。」
小人の一言で皆無言で仕事を始めていく。元族長は唖然としている。今までであれば文句の一つや十は出ていた場面であり、そんな事は我らに許される言葉では無かったからだ。それが一つの文句もなく黙って仕事をしなければいけないのだ。
小人「元族長さんも仕事をしなければ飯抜きとなりますよ。この仕事は歩合制ですからね。」
そうこの歩合制も元族長の画期的アイデアで決まった事であった。歩合とは、成果が無ければ0という事である。
肥溜めのブツを何回運んだ。ブツを肥料とするために何かかき回しと細かく決められている。全て当時面白おかしく笑いながら自分達が決めた事であった。
10回運んで1食、最低20回運ばなければ1日2食にありつく事が出来ない。プラス宿代としてあと10回運ばなければならなかった。
普通であれば一日30往復する事は可能だ。何しろ肥溜めから肥料場迄100Mぐらいしかないのだから全く問題なくやれる。だが元族長にはまだプライドという厄介なものが残っていた。
元族長以外は諦めているのか皆黙って仕事を始めている。
元族長は職場を放棄してしまった。誰も止める者は居なかった。
数日後、元族長は村の道で物乞いをしていた。
働く事を拒否してしまった元族長は、家もなく食料も無い事で腹が空き動けなくなっていたが、知り合いがチャリンと元族長に施しを与えた。それがきっかけとなり元族長は物乞いという職に就く事となった。




